QUI

MUSIC

BOY SODA – 音楽が人生を導く

Jul 23, 2026
R&Bを軸に、ソウルやジャズ、ファンクなど多彩な音楽性を横断しながら、唯一無二のグルーヴを生み出すオーストラリア発の新鋭、BOY SODA(ボーイ・ソーダ)。ニューアルバム『SOULSTAR(DELUXE)』をリリースした2026年6月、初来日のタイミングでインタビューが実現した。
音楽との出会いから、自身のルーツ、アーティストとしての信念、そして8月に控えるSUMMER SONIC 2026への思いまで。音楽の導きに人生を委ねる、BOY SODAの創作哲学に迫った。

BOY SODA – 音楽が人生を導く

Jul 23, 2026 - MUSIC
R&Bを軸に、ソウルやジャズ、ファンクなど多彩な音楽性を横断しながら、唯一無二のグルーヴを生み出すオーストラリア発の新鋭、BOY SODA(ボーイ・ソーダ)。ニューアルバム『SOULSTAR(DELUXE)』をリリースした2026年6月、初来日のタイミングでインタビューが実現した。
音楽との出会いから、自身のルーツ、アーティストとしての信念、そして8月に控えるSUMMER SONIC 2026への思いまで。音楽の導きに人生を委ねる、BOY SODAの創作哲学に迫った。

 

 

 

 

音楽はいつも僕をどこかへ連れて行ってくれる

― まずあなたを音楽の道に導いたきっかけからお聞かせください。

小さいころからずっと音楽が好きで、ずっとパフォーマーになりたかった。夢はそれだけ。「もしうまくいかなかったらどうしよう」なんてことは考えず、音楽がすべて。それが僕の生き方だね。

― どんなアーティストから影響を受けましたか?

R&Bに恋をした最初の曲は、アッシャーの『Something Special』。それからフランク・オーシャン、シザ、ディアンジェロ、アンジー・ストーン、エリカ・バドゥに出会った。そして彼らが影響を受けたジャズにも興味が湧き、ビリー・ホリデイ、ビル・エヴァンス・トリオ、ルイ・アームストロングも聴き始めたんだ。

― あなたの音楽には、ジャンルを横断する自由さ、相反する要素が共存する面白さがあります。都会的なムードと同時に、土っぽくて身体的なグルーヴも感じるんですよね。

自分の好きな表現から影響を受ける一方で、常にオリジナリティを模索しているんだ。808ベースのサウンドを生演奏にしたらどうなるんだろうとか、カントリーミュージックのようなスライドギターをR&Bに合わせたらどう響くだろうとか、異なる世界を衝突させる方法を見つけることで、最もオリジナルな音楽に出会えると思っているよ。

― 言葉にできない感情や心の揺らぎがにじみ出ているように感じたのですが、自身の感情をどうやって音楽に変換しているのでしょう?

音楽は、自分でもまだ知らない自分にアクセスするための、本当に美しいツールだと思うんだ。音楽を作ることは、僕の潜在意識と深く結びついていて、完成した曲を聴くことで、自分自身についての新しい発見をすることがよくある。曲を書いて、3か月後にようやくその意味が理解できることだってある。

音楽が降りてくる感覚に身を委ねるということは、自分自身でもまだはっきりと気づいていないことが、すべてその曲の中に詰まっていくということなんだ。

― それは音楽の大きな魅力ですね。ほかに、音楽の力や可能性を感じる瞬間はありますか?

音楽の、人を結びつける力かな。今回の来日では、luvというバンドとスタジオでセッションしたんだ。お互い言葉はあまり通じないけれど、音楽なら理解し合える。4小節のイントロも分かるし、コードがいつ変わるかも分かる。音楽は、スピリチュアルな言語なんだと思う。

それに、これまで存在しなかったものを生み出しているということも、僕にとっては信じられないことだよ。何もないところから何かを作り出せるなんて、本当に不思議で魔法のようだね。

― luvとのセッション、ワクワクします。どこかで聴くチャンスが?

まだ何も決まっていないけど、リリースされるといいな。

ディアンジェロのセッションみたいに、全員が楽器をつないで、その場で何が起こるか試してみたんだ。16トラックのテープにも録音できたから、それも最高のご褒美だったよ。

― あなたの表現は、現在のオーストラリアの音楽シーンとシンクロしていると感じますか?

僕の友達はみんなそうなんだけど、移民の2世や3世の若者たちがたくさんいるんだ。彼らは、異なる世界やサウンドを見事に衝突させながら、自分のアイデンティティをアートに刻み込みたいと心から願っている。そこが一番素晴らしい部分だと思う。

これほど多くの色彩に囲まれているということ。それが、僕の音楽を必然的にカラフルにしてくれている。

― そうした多様性が、オーストラリアらしさでもあるんですね。個人的なルーツが、自身の表現のオリジナリティにつながっている部分も?

僕の母はオーストラリア系で、父はサモア人なんだ。いまは自分のサモアのルーツと再び繋がるための、とても美しい旅の途中にいると感じているよ。いつかサモアに行って、その文化に深く浸りながらアルバムを作りたいな。

― 音楽を通して成し得たいことはありますか?

音楽の何が一番好きかって、それが自分をどこへ連れて行ってくれるか分からないところなんだ。音楽に集中してさえいれば、いつも僕をどこかへ連れて行ってくれる。いまも、音楽が僕を東京に連れてきてくれた。

もし運命というものがあるなら、音楽を作って、音楽に人生を引っ張ってもらうことが唯一の方法だという確信を持っているよ。

 

自分の直感は決して間違った方向へ導かない

― 2025年にリリースしたデビューアルバム『SOULSTAR』のタイトルには、どんな思いが込められていますか?

これは僕の直感についての作品なんだ。何かを正しいと感じたら、ただそれに身を任せるということについて歌っている。自分の直感は決して間違った方向へ導かないと信じている。自分の魂(SOUL)に従えば、星(STAR)が自分の道を照らしてくれるはずだ。

でも、聴いてくれるひとそれぞれに異なる意味を持つ言葉だとも思うんだ。きっと、聴き手の数だけ“SOULSTAR”があるんじゃないかな。

― アルバムを聴いていると、生楽器がすごくいきていると感じました。サウンドデザインで意識していることを教えてください。

生楽器の要素は僕にとって本当に重要だった。というのも、音楽を作るという点において、誰もがとても手軽にアクセスできる時代から僕たちが抜け出しつつあると感じていたからなんだ。

サンプルライブラリのようなものは、一時期、音楽をどれも似たようなものにしてしまった。でも僕の耳は、もっとリアルでアナログなものを強く求めていたんだ。それが本当に恋しかった。いま、シルク・ソニックやヴィクトリア・モネ、ラッキー・デイといったアーティストはみんな、R&Bやソウルの最も音楽的だった時代を彷彿とさせる音楽をやっているよね。

― パフォーマンスや音楽では、ある種のほころびや不完全さに魅力が宿ることもありますよね。完璧な演奏を追求せず、不完全なテイクを選ぶこともありますか?

オリジナルのアルバムの最後の曲『Platonic & Sacred』は、最初に友達と一緒に実家のバスルームでボーカルを録って、その後、スタジオで録り直した。もちろんそっちの方がきれいでクオリティも高かったけれど、何だか説得力がなかったんだ。結局、iPhoneのボイスメモの音源をそのまま使うことにした。儚さや無防備さは、作ろうとして作れるものじゃないからね。

― 2026年6月には、新曲5曲を追加した『SOULSTAR(DELUXE)』をリリースしました。このアルバムに込めた思いを教えてください。

そもそも、アルバムを作れるということ自体が恵まれていると受け止めている。それ自体が僕にとっては奇跡だし、とても幸運なことだね。世界には、素晴らしいアイデアを持っているけれど、それを形にするための環境やリソースがない人たちがたくさんいると思うから。そのうえ、アルバムとして自分が作り上げた世界をさらに深く掘り下げて提供できるなんて、本当に光栄だよ。

― 8月のSUMMER SONIC 2026で、ふたたび日本に戻ってこられますね。ライブのステージングで大切にしていることについて伺いたいです。

自分の音楽を一緒に作ってくれた人たちと、一緒に演奏することが本当に重要だ。最初は彼らに見合うだけの対価を与えられない時期もあったけど、「どうか辞めずに残ってほしい、絶対にみんなを上のステージへ連れていくから」と約束した。だから、僕が彼らと日本でライブができるということは、あの約束を果たせた瞬間になるんだ。

では最後に、日本のファンへのメッセージをお願いします。

日本が大好きなんだ。いますぐビザを取りに行って、できるだけ早く日本に移住したい(笑)。

本当ですか?

初めての来日だったけど、日本を最高に楽しみました。食べて、買い物して、また食べて(笑)。今日の衣装も日本で買ったんだ。8月に日本に戻って、またみんなに会えることを楽しみにしているよ。

 

Profile _ BOY SODA(ボーイ・ソーダ)
オーストラリア出身。現代R&Bシーンにおける革新的なアーティストであり、ライブへの強いこだわりと、揺るぎないクリエイティブ・センスを武器に急速な躍進を遂げているシンガーソングライター。2025年1月にリリースした「Lil' Obsession」がバイラルヒットを記録し、Muni LongやAmbréらからも支持を獲得。一気に“知る人ぞ知る存在”から、世界が注目する新鋭アーティストへとその存在感を広げた。さらに、2025年のオーストラリア・ARIA Awardsでは「Best Soul/R&B Release」を受賞。デビュー・アルバム『SOULSTAR』では、その卓越した音楽性と表現力を証明し、同世代アーティストの中でも一歩先を行くサウンドで高い評価を獲得した。今年は『SOULSTAR Deluxe』のリリースに加え、日本最大級の音楽フェス「Summer Sonic」への初出演、さらにはUSヘッドラインツアーも控えており、オーストラリア発・最注目の新世代R&Bアーティストとして、世界的な飛躍を遂げようとしている。

Instagram

 


 

Information

BOY SODA『SOULSTAR(DELUXE)』

YouTube Music

Spotify

Apple Music

amazon music

  • Photography : Keita Sugeno
  • Text&Edit : Yusuke Takayama(QUI)

NEW ARRIVALS

Recommend