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5月4日は、ノストラダムスの日 – 歴史を揺るがす大予言 信じるものは救われる?

May 4, 2023
「1999年、7の月、空から恐怖の大王が降ってくる…」
5月4日は「ノストラダムスの日」。1555年のこの日は、フランスの占星術師であるノストラダムスの予言集『百詩篇集』の初版が世に出た日とされています。この本は史上最も読まれた予言書で、その中にはもちろん、世紀末の日本を震撼させた人類滅亡の予言も含まれていました。
16世紀から現代にいたるまで、彼の予言に世界中が大きな影響を受けてきました。
今日は、ノストラダムスの知られざる素顔と、彼が的中させたとされる様々な予言を紐解きながら、予言の謎と、人々がそれを信じてしまうメカニズムを解き明かしていきます。

5月4日は、ノストラダムスの日 – 歴史を揺るがす大予言 信じるものは救われる?

May 4, 2023 - LIFE/STYLE
「1999年、7の月、空から恐怖の大王が降ってくる…」
5月4日は「ノストラダムスの日」。1555年のこの日は、フランスの占星術師であるノストラダムスの予言集『百詩篇集』の初版が世に出た日とされています。この本は史上最も読まれた予言書で、その中にはもちろん、世紀末の日本を震撼させた人類滅亡の予言も含まれていました。
16世紀から現代にいたるまで、彼の予言に世界中が大きな影響を受けてきました。
今日は、ノストラダムスの知られざる素顔と、彼が的中させたとされる様々な予言を紐解きながら、予言の謎と、人々がそれを信じてしまうメカニズムを解き明かしていきます。

大予言者ノストラダムスの軌跡

日本を震撼させた恐怖の大王

日本でもっとも有名なノストラダムスの予言といえば、1999年のこの予言です。

(※1)

1999年、7の月、

空から恐怖の大王が降ってくるだろう。

アンゴルモアの大王を蘇らせ、

マルスの前後に首尾よく支配するために。

1990年代当時、この人類滅亡の予言がまさに大ブームで、テレビや新聞でも大々的に取り上げられていました。「恐怖の大王」については様々に解釈され、核ミサイル、地震、天変地異などがまことしやかに囁かれ、世紀末の雰囲気も相まって子供から大人まで、どこかでこの予言を信じてしまうような雰囲気がありました。

しかし、実際には1999年7月が過ぎてもこの予言は現実にはならず、人々は安堵し、ノストラダムスは「予言をはずした予言者」というレッテルを張られ、いつしか人々から忘れ去られました。

しかし、ノストラダムスの予言は3597年のものまで存在し、中には的中しているとしか思えない予言も数えきれないほど存在します。

占いを駆使した予言 ノストラダムスの誕生

(※2)

ノストラダムスは、1503年、南フランスのサン=レミ=ド=プロヴァンスで改宗ユダヤ人の家に生まれました。

幼少より学問を好み、とくに数学、占星術、そして医学に興味をもち、青年時代には各地の大学で古典、法学を収め、医学博士も取得しました。

そのころの逸話として、当時大流行していたペストから人々を守った、というものがあります。

当時、ヨーロッパ中を席巻し、不死の病と言われていたペストですが、原因は誰にも分っていませんでした。当時の医師たちは鳥のような奇妙なマスクをかぶり、クチバシにハーブを入れてペストを防いだということからも、医療のレベルが伺えます。

(※3)

そんななか、ノストラダムスは、鼠がペストを媒介することに気付き、直ちに鼠退治を命じたというのです。また、伝統的な治療法である瀉血(血を抜く治療)を否定し、かわりにアルコール消毒や熱湯消毒を先取りするかのように、強い酒や熱湯で市中の住居や通りなどを清め、更にはキリスト教では忌避されていた火葬すらも指示したといいます。

その後、一年間に起こることを占星術を用いて予測する『暦書』を出版し、徐々に予言者として名声を上げ、ついに時のフランス王アンリ2世の妃、カトリーヌ・ド・メディシスに宮廷に招かれ、その運命を占うことになります。

カトリーヌ・ド・メディシス(※4)

ノストラダムスは国王アンリ2世の死の予言を見事に的中させたことで、カトリーヌのお抱え占星術師となっていきます。

その予言がこちらです。

アンリ2世の死を予言

アンリ2世(※5)

「若い獅子が老いたる獅子を打ち負かす

一騎打ちによる戦いの野で

黄金のかごの中で『目』を突きさされ

ふたつの傷はひとつになり残酷な死が来る」

(百詩篇第1巻35番)

1559年、国王アンリ2世の妹の結婚を祝して、騎乗槍試合が行われました。

このときアンリ2世は、スコットランド国軍のモンゴメリー伯と対戦しますが、そこで事故が起きます。

当時の騎乗槍試合の様子(※6)

モンゴメリー伯の槍が折れ、その破片がアンリ2世の右目に突き刺さったのです。

アンリ2世はこの傷がもとで、1か月語に絶命。

この四行詩の形をした予言はその細部まで予見しています
「黄金のかご」は、アンリ2世がかぶった兜のことを指しているといいます。しかもモンゴメリー伯の所属するスコットランド国軍の紋章は獅子なのである。

(※7)

世界を巻き込んだ様々な大予言

過去にはフランス革命やヒトラーの台頭、第二次世界大戦、9・11の同時多発テロも予言していたと言われます。ここ数年だけをみても、2016年のドナルド・トランプの大統領選や、2019年のノートルダム大聖堂の火災をも予見していたと考える人もいます。

的中したと考えられている予言には、どんなものがあるのでしょうか。

皇帝ナポレオン出現の予言

(※8)

皇帝がイタリア近くで誕生するだろう

帝国に多くの犠牲を払わせるだろう

人々は彼が手を結ぶ連中を見ているだろう

あいつは君主というよりも処刑人だと。

(『百詩篇集』第1巻60番)

まさに、イタリア近くに浮かぶコルシカ島で生まれたナポレオンは、革命後のフランスを統括し、皇帝としてヨーロッパ世界に君臨しました。

フランスよりもイタリアに近い仏領土のコルシカ島(※9)

この予言は、ナポレオンがヨーロッパ全土で戦争を起こし、たくさんの死者を出すことを表しているとされています。

マリー・アントワネット処刑の予言

死刑に処されるマリー・アントワネット(※10)

夜 ランスの森を通ってくるだろう

周り道の二人組が 王妃 白い石

灰色の僧侶がヴァレンヌで

選ばれしカベ 嵐 火 切断の因をなす

(『百詩篇』第9巻20番)

1791年、フランス革命の最中に起こった国王ルイ16世とマリー・アントワネット一家の逃亡劇「ヴァレンヌ逃亡事件」を予言したとされる詩です。

「切断」という言葉は、事件の後、国王と王妃マリー・アントワネットがギロチンによって処刑されたことと奇妙に一致します。

コロナ禍まで予言していた!?

ノストラダムスはなんと、このコロナ禍をも予言していたというのです。

今回の世界的な災厄を言い当てているとされる予言がいくつかあります。

「傾斜した公園、大災害。

西部の国々とロンバルディアを通過。

船の火、疫病、捕らわれの身。

射手座の水星、土星は衰退」

(『百詩篇』第2巻第65番)

傾斜した公園は、中国・武漢の公園を、西部の国々は感染拡大が甚大だったヨーロッパ諸国を指しているといいます。

船の火、中世において船は経済の象徴であることから経済の衰退を意味しますし、コロナ騒動の発端となった豪華客船をも連想させます。疫病はそのまま新型コロナ。捕らわれの身はロックダウンを表します。

最後の謎めいた言葉は占星術に基づいており、射手座が水星に入り、土星が衰退する時期は2020年の1月を指し、これは武漢でウィルスが確認された日と一致します。

また、ノストラダムスが記した『暦書』には次のような予言が残されています。

悪疫と火により、木々の実は滅びるだろう。

油の微は豊富にあるが、パテル・デニスは稀少である。

少数の偉大な者が死に、異邦人たちは出発する。

海から野蛮人らが押し寄せ、そして国境が危機に瀕する」

最初の1行は高熱と肺炎を暗示しているとされ、2行目の「パテル・デニス」というのは酒の神を指す、つまりアルコール消毒液の不足を予言しているとされています。

確かにノストラダムスはペストに対してアルコールを使ったという伝説があるため、信じられない話でもありません。そして後半の2行、異邦人と国境が危機に…の部分は言わずもがな、コロナによる国境封鎖を指しているといいます。

そして、気になるのが2行目の「油の微」という言葉。

ノストラダムスの予言によく出て来る言葉で、「戴冠」を意味します。

「ナポレオン1世の戴冠式」(部分)(※11)

コロナウイルスは、電子顕微鏡で見ると、表面に突起のようなものが出ているのが見えます。この突起のギザギザが「王冠」に似ているため、ギリシャ語で王冠を意味するコロナから名前が付きました。

この一致は果たして偶然なのでしょうか?

ヒトはなぜ予言を信じるのか

予言を信じるようの進化した人類

私たちは、“予言”を信じる生きものです。

いやいや、私はノストラダムスの予言は信じませんよ!解釈の幅が広くて抽象的すぎる!と思う方もいるでしょう。

でも、この予言を信じた人は多いのではないでしょうか?

「マスクが不足している。紙不足が起こる。次はトイレットペーパーが無くなる」

実際、この予言は全くの事実無根のデマでしたが、現代人たちがこぞって買い占めを起こし、何か月もトイレットペーパーが消える、という事態に発展しました。

一見、バカバカしいと思えるような予言でも、人々が信じてしまうのはどうしてなのでしょうか?

進化生物学者のKevin Foster氏は「New Scientist」で、私たちは進化の過程で生き延びるために迷信を学習したと論じています。

一般的に動物は、予言が正しかったことと、間違ったときのことを常に天秤にかけています。

これは人間においても同じことです。

草むらがガサガサと音を立てたとき、「風のせいだ」と思うのと、「ライオンだったらどうしよう」と思う人では、「ライオンかもしれない」と思って逃げた者たちが生き延び、子孫を残しました。

つまり、私たちは慎重で用心深い、迷信を信じる者たちの子孫なのです。

信じるものは救われる? 

ノストラダムスの予言の中には、的中したものもそうでないものもありますが、外れたもの中には、「人為的に」外されたものもあるかもしれません。

予言には、「未来に起こる災厄を避ける」効能も確かに存在します。

信じていれば、備えることができ、実際に起こった場合のシミュレーションができるからです。

予言を信じることは、悪いことばかりではありません。

なぜなら私たちは“予言”を信じて進化した人々の末裔と言えるのだから。

 


MV:César de Notre-Dame, Public domain, via Wikimedia Commons
※1:Wikimedia Commonsより
※2:Jean, éditeur à Paris (avant 1837), Public domain, via Wikimedia Commons
※3:I. Columbina (drawer), Paul Fürst (copper engraver), Public domain, via Wikimedia Commons
※4:Germain Le Mannier, Public domain, via Wikimedia Commons
※5:Formerly attributed to François Clouet, Public domain, via Wikimedia Commons
※6:16th century German print, anonymous, Public domain, via Wikimedia Commons
※7:See page for author, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons
※8:Jacques-Louis David, Public domain, via Wikimedia Commons
※9:Crop/edit: UploaderOriginal: See template below., CC BY-SA 3.0 <http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/>, via Wikimedia Commons
※10:William Hamilton, Public domain, via Wikimedia Commons
※11:Gautier Poupeau from Paris, France, CC BY 2.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/2.0>, via Wikimedia Commons

  • Director : Takashi Okuno
  • Writer : Kuuki Asano
  • Edit : Ryota Tsushima

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