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酒井大成 – 知らない部分に惹かれてく

Aug 1, 2024
特撮ドラマでの主演を経て、いま最も注目を集める若手俳優のひとり、酒井大成。今夏の連続ドラマ『三ツ矢先生の計画的な餌付け。』で、山崎まさよしとのW主演を務めることでも話題となっている。
おいしい手料理を通して人と人が心を通わせる“ヒューマングルメラブストーリー”と銘打たれた本作への向き合い方や撮影時のエピソード、自身が惹かれるモノやコトまで、幅広く話を訊いた。

酒井大成 – 知らない部分に惹かれてく

Aug 1, 2024 - FILM
特撮ドラマでの主演を経て、いま最も注目を集める若手俳優のひとり、酒井大成。今夏の連続ドラマ『三ツ矢先生の計画的な餌付け。』で、山崎まさよしとのW主演を務めることでも話題となっている。
おいしい手料理を通して人と人が心を通わせる“ヒューマングルメラブストーリー”と銘打たれた本作への向き合い方や撮影時のエピソード、自身が惹かれるモノやコトまで、幅広く話を訊いた。

料理は人と人の架け橋となってくれる

ー 酒井さんといえば、『王様戦隊キングオージャー』での主演、ギラ・ハスティー役が記憶に新しいところです。なんと5000名近くの中から選ばれたそうですね。

オーディションのときは、そんな人数だったとは知らなかったんです。

ー その約半年前、2022年に実施された「レプロ主役オーディション」でも5000人の中から選ばれたという。すごすぎます。

ありがとうございます! でも事務所に入る以前は、フリーで役者をしながらアルバイトをいくつも掛け持ちしているような状況で。

じゃあ俳優としてトントン拍子に歩んできた感覚は……

正直あまりないです。

― そうだったんですね。そして今夏、『キングオージャー』以来となる連続ドラマ『三ツ矢先生の計画的な餌付け。』がスタートします。

特撮で1年半ぐらい一つの役と向き合ってきたので、最初は石田友也という役を演じることに不安もありましたがすごく楽しみでした。

― 『キングオージャー』ではグリーンバックのセットで撮っているイメージがあったのですが、今回はロケも多かったのでは?

セット慣れしてしまっていた部分もあったので、今回、外の撮影は大変でしたけど新鮮でとても楽しかったです。

― 世界観的にも特撮とはかなり振り幅がありますよね。

そうかもしれません。(山崎まさよしさん演じる)三ツ矢先生を(丸山智己さん演じる)薫という人から守るシーンでは、ちょっとギラ・ハスティーが出てしまいました(笑)。

― 特撮魂が。

薫を手でサッと制して。そしたら監督が来て、「王様感が出てしまっている」と……(笑)。でもそれ以外は、特撮感が強いと言われることもなかったような気がします。

― しっかり切り替えて、自然にやれた?

自分だと判断しにくい部分もあるので、観ていただいた方に判断していただけたら嬉しいです。

― 山崎まさよしさんとの共演には驚きました。

僕も驚きました。山崎さんは大大大先輩ですし、最初は凄く緊張していました。共演が決まってからは映画『月とキャベツ』も観させていただいたんですが、『月とキャベツ』で山崎さんが演じた役は自由で自分に正直なキャラクターで、三ツ矢先生とはまた違うように感じたんです。でもいざ撮影が始まったら、三ツ矢先生として、表情ひとつ、言葉ひとつで僕を温かく包みこんで、安心できるようなやさしさを芝居でぶつけてくれたので、本当にすごいと思いました。

― 山崎さんに引っ張ってもらえた部分もありそうですね。

引っ張ってもらってばかりでした。

― カメラが回っていないときの山崎さんは、どんな方でしたか?

優しくて、本当に頼りになる方でした。でもすごく自由な一面もあって、それこそ自分に正直で、嫌なことは嫌、楽しいときは楽しいと、手に取るようにわかる。時にはお茶目な部分で現場を盛り上げてくださったり。そういったところがとても素敵でした。僕も山崎さんのような大人になりたいなと憧れもあります。

― 三ツ矢先生は料理研究家ですが、山崎さんって料理はできたんですか?

はい。ペペロンチーノはとくに得意料理だと仰っていました。

― 酒井さんは?

僕はあんまりしないんですけど、この作品をきっかけに興味が出てきました。作中で、人生初の揚げ物、カツ丼を作ったんですけど、それがすごく楽しくて。自分が作ったカツ丼をスタッフさんたちが食べてくれて、みんな「おいしい」って。そんな姿を見ていると僕もすごくうれしくなりましたし、料理に対して興味が湧きました。

― 作った料理を食べてもらえることや、喜んでいる顔を見ることがうれしいというのは作品のテーマにもすごくつながってきますよね。料理を通して心と心を通わせられる。

料理ってすごいと今改めて感じています。人と人の架け橋となってくれる存在のような。

― 石田友也という役を演じるにあたって、気をつけた部分、意識した部分はありますか?

まず、「元球児で現雑誌編集者」という石田の経歴は大事な部分だなと思い、バッティングセンターに行ったり、深夜にこっそり家の近くの駐車場で素振りをしたり。知り合いの編集者に仕事内容や1日のスケジュール、大変なこと、やりがいなどを細かく聞いたりしました。また、カメラを使うシーンがあるので、その勉強をするなど、事前に準備できることはやっておきました。

あとは元球児で体が大きいというキャラクターだったので、しっかり食べて、ジムにも通いました。頭じゃなくて体で石田に近づいていっている感覚があって、表面的な部分が変わることで内面も変わる感覚を今回初めて知れました。

― 本作で注目してほしいポイントはどこでしょう?

三ツ矢先生と石田のそれぞれが持っている価値観や考え方、表情をお互いにどんどん知って、成長していく過程をぜひ見ていただきたいです。そしてその間に料理があるんですよね。料理によってコミュニケーションが取れたり、切ない感情が沸き起こったり、そういう心の動きも細かく描かれていると思います。

― 料理のシーン、楽しみです。

きっとお腹が空くと思います! 作品をご覧になった方が、大切な人と一緒に食卓を囲みたいなと感じてくださったらうれしいです。

 

人の気持ちを理解することを諦めない

― 石田には、三ツ矢先生のどういうところが魅力的に映ったのでしょう?

石田の知らなかった丁寧な生活。そういう生活観を知れたことが一番大きいと思います。そこから三ツ矢先生のかわいらしい部分や、犬と戯れる幸せそうな姿など、知らなかった部分が見られて、どんどん惹かれていったんじゃないでしょうか。

― では酒井さん自身が惹かれるのはどういう人ですか?

それは石田と似ているかもしれないです。僕が知らない知識や考え方を持っている人に対してすごくリスペクトがあって、そういう人には自然と僕から寄っていっているかも。仲のいい友達も、いい意味で変わっている人ばかりだから(笑)。

― とはいえ、自分と異なる考えを受け入れられない人も少なくないですよね。人と人が理解し合うためにはどういうことが大切だと思いますか?

難しいですけど、自分のエゴをぶつけてばっかりだったらうまくいかないと思うので、他人の気持ちを理解することを諦めず、わかろうとする姿勢を持ち続けることが大切なんじゃないかなとは思います。

― たしかに。酒井さん自身も人と接するときに意識している部分ですか?

そうですね。ときどき面倒くさくなって遮断したくなるときもあるんですけど、そこは一歩踏みとどまって、なんとか向き合って理解しようとすることは意識しています。

― 本作に限らず、お芝居に向かう姿勢で大切にしていることがあれば教えてください。

それこそ今回、野尻監督に「セリフにとらわれなくていいよ」とおっしゃっていただいて。僕はセリフに忠実にやっていたんですけど、相手の話し方や空気感、場所によっても感情が変わってくるからと。それでだいぶ気持ちが楽になりました。だから今作では対話や感情を一番大事にしました。

― 俳優をやっていてよかったな、楽しいなと思えるのはどういうときですか?

役を通して自分が「こういう感情になれるんだ」と発見できたときは、「この仕事って楽しいな」と感じます。

― 演じる役によっていろんな自分が発見できるのはおもしろそうですね。

これまでは一途でまっすぐな役が多かったので、反対に自分の汚い部分だったり、クールな一面だったり、違ったイメージの役もやってみたいです。

― 俳優としてのビジョンはありますか?

まだキャリアも浅いので、今は目の前の仕事に忠実に向き合っていこうと思っています。

でも映画が大好きなので、いずれは映画で…という気持ちもあるんですけど、どういう役者になっていきたいかはまだ決めきれていません。

今こうやって楽しんで俳優業をやれていることが幸せで。でも、俳優に限らず人生も楽しく生きていきたいです。

 

酒井大成の好きなこと

― 最後に、酒井さんの好きなことについてお聞かせください。まず好きな食べ物は?

ラーメンです。豚骨とか家系とか、こってりしたのが好きですね。ドラマ期間中はむくんじゃうので行けなかったですけど、撮影が終わったら解禁しようかなと。

あとは海鮮。とくに刺身がとっても好きです。カンパチとか。

― 好きな映画は?

1本には絞れないです…(笑)。海外作品ではフランス映画をよく観るんですけど、昔一緒に住んでいたインディーズの映画監督の影響で好きになった、ジャン・ユスターシュ監督の『ママと娼婦』。あとはジェームズ・ディーンが大好きなので『エデンの東』とか。

― 好きな音楽は?

バンド系が多いかもしれません。イギリスのThe 1975、あとは銀杏BOYZとか、never young beachとか。映画と一緒でいろんなジャンルを聴いています。

― 好きな本は?

最近読んだ『星の王子様』。王道かもしれませんが、お恥ずかしながら今まで一度も読んだことがなくて。ジェームズ・ディーンの自伝に「星の王子様が好き」みたいなことが書かれていたので、読んでみようと。

― 好きなファッションブランドは?

ブランドにはあまりこだわりがなくて、古着が多いかもしれません。下北沢のNOILLさんにはよく行っていました。以前は70年代が好きだったんですけど、今はビンテージと現行をミックスした感じが好きかな。でも1年ぐらい買えてないので、落ち着いたら爆買いします。

― 好きな休日の過ごし方は?

自然を見に行って、自然のエネルギーを浴びるのが好きです。車で館山に行って、海から東京を一望したり。「あそこに人がいるんだな」「あそこから来たんだな」とか、観察したり考えたりするのも好きですね。『キングオージャー』の撮影中も月1ぐらいで行っていました。

 

Profile _ 酒井大成(さかい・たいせい)
1998年4月1日生まれ。福岡県出身。レプロエンタテインメント所属。2021年末から2022年にかけて行われた「レプロ30周年主役オーディション」に合格。「イカロス 片羽の街」(2022)にて映画初出演、BSテレビ東京にて放送された「親友は悪女」(2023)にて初のドラマ出演を果たす。その後、スーパー戦隊シリーズ第47作目となる「王様戦隊キングオージャー」(テレビ朝日系)にて5000名の中からレッド役に選ばれ、主演を務めた。
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Information

ドラマ『三ツ矢先生の計画的な餌付け。』

<放送>
■MBS:毎週⽊曜25:29〜(1,2,3話のみ25:39〜)
■テレビ神奈川:毎週⽊曜25:00〜
■テレビ埼⽟:毎週⽉曜24:00〜
■群⾺テレビ:毎週⽕曜24:30〜
■とちぎテレビ:毎週⽔曜25:00〜
■チバテレ:毎週⽊曜23:00〜
<配信>
MBS放送後から「TVer」「MBS動画イズム」にて最新話無料配信
FODで見放題独占配信

原作: 松本あやか『三ツ矢先生の計画的な餌付け。』(ぶんか社刊)
出演: 山崎まさよし 酒井大成
川面千晶 三原羽衣 今森茉耶 /丸山智己 / 宇野祥平
監督: 野尻克⼰(ドラマ「きのう何⾷べた?」、映画『鈴⽊家の嘘』)
脚本: 吉川菜美(Netflix「彼⼥」、映画『交換ウソ⽇記』)

ドラマ『三ツ矢先生の計画的な餌付け。』公式サイト

©「三ツ矢先生の計画的な餌付け。」製作委員会・MBS

  • Photography : Sakai Takahiro
  • Styling : Masashi Sho
  • Hair&Make-up : Lisa Shigeki
  • Text&Edit : Yusuke Takayama(QUI)