南沙良 – アニメの世界へ
初めての声優への挑戦で感じた戸惑いと発見、そして自身を惹きつけるアニメ表現の魅力まで、率直な言葉で語ってもらった。


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声だけで感情を表現するのは本当に難しい
― 南さんはラジオやポッドキャストもされていますが、おしゃべりがお好きなんですか?
おしゃべりは大好きです。
― アニメーションの声を担当するのは初めてだったと思いますが、今回の出演が決まったときの率直な感想を教えてください。
アニメを観るのはもともと好きだったので、すごく嬉しかったんですけど、恐れ多いといいますか。自分の声に自信があるわけではないので、大丈夫かなという不安もありました。
― アニメ声優に挑戦してみたいという思いは以前からあったのでしょうか?
なかったですね。自分に務まるとは思ってなかったので、これまではあまり考えたことはありませんでした。

― 俳優が声優に挑戦するのは、勇気がいることですよね。とくにご自身もアニメファンだと、アニメを観る方の気持ちもわかるじゃないですか。
大変ですよ。私がもし観る側だったら、批判していたかもしれません(笑)。なんでこんなにヘタクソなんだよ! 棒読み!って(笑)。
― いやいや(笑)。南さんの声は儚さがあって、今回の役にすごく合っているなと感じました。とくに意識したことはありますか?
普段は声だけでなく、動きや目線、それこそビジュアルなどで寄せられる部分も大きいので、声だけで感情を表現するのは本当に難しいですよね。錦織(敦史)監督とお話を重ねて、アドバイスもいただきながらがんばりました。
― たとえばどんなアドバイスを?
私はどうしても声質が細い方なので、エネルギーが必要な場面ではもうちょっと語尾を長くすると力強く聞こえるよといったことなど教えて頂きました。

― 収録現場はいかがでしたか?
錦織監督はすごく穏やかな方で、和やかな雰囲気にしてくださいました。ただ、いつもと全く環境が違うのですごく緊張しましたし、集中力を保つことも大変でした。
― アフレコはおひとりで?
いえ、長谷川育美さんたちと一緒に。声優さんたちの中で演じなければいけないのはとんでもない緊張感があり、ちょっと死にそうでした(笑)。
― 緊張の中にもやりがいを感じた部分もあるのでは?
アニメが好きなので、自分がその世界に入り込めたという経験は貴重でうれしかったです。普段からお芝居のワークショップにも通っていて、そこでも声はすごく大事だと言われていたので、今後は声の表現の幅ももっと広げたいですね。

共感できるポイントがあったので入りやすかった
― 今回は「夜露死駆★少女」の主人公・ステラの声を演じられましたが、彼女をどんなキャラクターとして捉えましたか?
自分の居場所はどこだろう、自分ってなんなんだろうといった気持ちを内に秘めている女の子なのかなという印象がありました。私は共感できるポイントもあったので、すごく入りやすかったなと思います。
― とくに共感できた部分は?
周りに馴染めなかったり、人との距離感で悩むところがあったりといった部分でしょうか。ビジュアル的にも周りのギャルたちと比べると親しみやすいと思いますし、自分に重ねやすかったです。

― 完成した作品をご覧になった、率直な感想を伺えますか?
アクションシーンも迫力満点で、独特な疾走感がある、魅力的な作品になっていました。見た目のポップさと、そこで起きていることの激しさのギャップが素敵だなと。やっぱり可愛い女の子たちからしか得られない栄養素もあるから、観ていてすごく楽しかったです。
― 他の2本もご覧になりましたか?
もちろん。それぞれ全然違う作品ですけど、続けて観ると『GROTESQQQUE-グロテスク-』というひとつの作品になっていて、すごいなと思いました。
『エリィアンズ』はすごくかわいらしい印象で、その中で異質なものへの違和感や、自分が知らないものに対する恐怖、そして切なさが感じられて、すごくおもしろかったです。
『ノクターン~このグロテスクな夜に~』はそれと対照的に、静かで美しい作品でした。映像もきれいで、美しさと怖さが同時に存在している。観ていると不思議な気持ちになって、引き込まれました。
― 同じ監督の作品なのに、こんなに幅広い表現ができるんだと驚かされた一方で、通底するテーマも感じられる映画になっていましたね。
ただ私に関しては、試写を観た母親から「もっとがんばれ」って言われてしまいました(笑)。作品自体はめっちゃ素晴らしいのでそこは安心してください。

実写では表現できないところがたくさんある
― 南さんはアニメ好きとのことですが、アニメは今もよく観ますか?
今もよく観ますし、それこそ学生時代は家でずっとアニメを観ていることが多かったです。
― すごくステレオタイプ的で語弊があるかもしれませんが、引きこもりとアニメって、なぜか親和性が高いですよね。
それは間違いないです(笑)。私も当時は、実写の映画を観たいって気持ちにならなかったです。
― 描かれ方としてもよくある組み合わせです。
やっぱり現実逃避みたいなところが大きいんでしょうね。ここではない世界。実写を観ると、結構くらっちゃうことも多いので。
― 日常と地続きでない世界に没頭できることもアニメならではの魅力なんでしょうね。
実写では表現できないことがたくさんあるし、幅が広いですよね。あと、私はファンタジーが好きなので、おのずとアニメになりがちです。

― そういった意味では『GROTESQQQUE-グロテスク-』も、アニメでなければなし得ない表現になっていますよね。では最後に、これから作品をご覧になる方へのメッセージで締めさせてください。
映像は迫力があり、ポップでかわいらしいけど、感情の描写が繊細で、そこがすごく素敵だなと思いました。不思議な世界観のなかで、共感できるところもあって、本当に自由で楽しい作品になっています。35組ものアーティストが参加していて、音楽も素敵なので、ぜひ劇場で体験していただきたいです。
― また別の作品でも、南さんの声のお芝居が楽しみです。
機会があればぜひ。
― ちなみにやってみたいキャラクターはありますか?
何ならできるんですかね……人以外がいいかも。カエルとかしか思いつきませんけど(笑)。

Profile _ 南沙良(みなみ・さら)
2002年6月11日生まれ、東京都出身。2017年、『幼な子われらに生まれ』で俳優デビュー。翌年『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』で大島志乃役として初主演を果たし、第43回報知映画賞新人賞、第61回ブルーリボン賞新人賞など多くの映画賞を受賞。大河ドラマ「光る君へ」(2024)で紫式部の娘・藤原賢子役を熱演。映画『万事快調<オール・グリーンズ>』(2026)では朴秀美役として主演を務め、女優としての新たな魅力が話題を呼ぶ。NHK10月期 ドラマ10「会社員」が毎週火曜よる10時~放送中。その他主な待機作は、映画『劇場版 虎に翼』(2027年1月15日公開)、映画『カイジ 人生リベンジゲーム』(2027年1月29日)など。
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Information
映画『GROTESQQQUE-グロテスク-』
11月6日(金)公開
出演:市ノ瀬加那、南沙良、井上和(乃木坂46)、中西アルノ(乃木坂46)、一ノ瀬美空(乃木坂46)、冨里奈央(乃木坂46)、長谷川育美、早見沙織、内田真礼、安済知佳、富田美憂、大久保瑠美、釘宮理恵、星野源
監督・脚本・キャラクター原案:錦織敦史
企画・プロデュース:JOEN・アニプレックス
制作:CloverWorks
配給:ANIMEC
©Atsushi Nishigori, CloverWorks/Project GTQ
- Photography : Hirokazu Takei
- Styling : Marie Takehisa
- Hair&Make-up : Eriko Yamaguchi
- Text&Edit : Yusuke Takayama(QUI)