だれが最高? 藤原季節 × 細川岳 × 遊屋慎太郎 × 森優作
2020年11月27日公開の映画『佐々木、イン、マイマイン』に出演する藤原季節、細川岳、遊屋慎太郎、森優作。劇中で高校の同級生を演じる4人それぞれが男として惚れる部分をぶつけ合う、ほめ殺しバトルロワイアル。
藤原季節のここが好きだ
森:まず、季節がなにか物事に興味を惹かれて、それに向かい合うときの純度の高さがすごいよね。持って生まれた才能だと思うんだけど、すごくうらやましいし、俺もそうありたいなって思う。
細川:もちろんすべての物事に興味があるわけがないんだけど、どんな物事にも本気で興味を持つ瞬間がある気がしてて、季節はそういうのがめちゃくちゃ多い。
藤原:そうなんだ。……知らなかったな。
遊屋:いまの「知らなかったな」っていうのも、自分に対しての興味もちゃんと受け入れられているんだよね。そこはマジですごいなって思うわ。
細川:あとは、いまの世の中に対して、俳優として作品を作ることで戦おうとしている。そのスタンスが、同じ俳優としてめっちゃ格好いい。
藤原:それは、そうありたいなって思ってて。自分が役者をやってもなにも変えられないんじゃないか、なんの影響も与えられないんじゃないかっていうことを簡単には受け入れないぞっていう気持ちを持ち続けるようにしてる。芝居を通して社会と関わっていけると信じているから。
遊屋:そういうことを言っている人は他にもいるけど、季節は本当にそれを信じているんだろうなってのがすごく伝わってくるよね。
藤原:いま、ひと目惚れが減っているらしくて、ある作家によると白黒はっきりしすぎて中間色が減ってきているからなんだって。スマートフォンなどでインスタントに答えが分かるようになって、いろんなものを明快にしすぎているんだと思う。自分の目の前でおこっていることを見逃して、二度と会えない、いま声をかけなきゃという直感的ななにかが失われている。映画や俳優の存在が、そういった中間色を想像したりする手助けになればいいなと思っていて。
森:でもその話は、本質的なんじゃない?
藤原:俺はひと目惚れをされたいし、していきたい。出会った人に惚れられる人間になりたいから、まずは自分から意識的に惚れていくようにしてる。
細川岳のここが好きだ
一同:……(無言)。
細川:いや、ほめろよ!ちょうだいよ(笑)。
森:じゃあ、俺から(笑)。これは脚本を読んですぐ感じたんだけど、『佐々木、イン、マイマイン』という映画を企画するところからの覚悟やエネルギーは相当だろうなって。岳は役者以外のところも背負ってるんで、そこは純粋にすげえと思う。
藤原:岳は非常に不器用な男だなって。それは生きにくいだろっていう選択をしていくから心配にもなるけど、その生き方に共鳴していく人たちも結構いる。そういうことが『佐々木、イン、マイマイン』に繋がっているんだろうね。
遊屋:うん。普段は優しすぎる部分が、岳自身を締めつけていているように感じることもあるけど、それって余計な心配かもなって。岳が思っていることを出す瞬間に、その中にある固い部分も見えるから。
藤原:俺もその固い部分が見えた瞬間にすごく惹かれる。それを覆っている優しすぎる部分に対して「お前は優しすぎるから、もっと上手に生きていこうよ」って言う必要はないなって思えるようになってきた。
細川:佐々木を演じて、俺が佐々木を魅力的で惹かれる人物だと憧れていたように、佐々木も俺のことをそう感じていたんだなって気づいたんだよね。そしてそれは誰しもに当てはまる。誰だって、誰かにとっての「佐々木」なのかもしれないなって。
遊屋慎太郎のここが好きだ
藤原:遊屋くんは、めちゃくちゃ格好いい。こんなに格好いいんだけど天然で、そこのギャップがまたいい。もう、パーツが全部いいよね。それこそ同性が憧れる顔をしてる。この前、遊屋くんがサングラスをしている写真をインスタグラムにアップしてて、もう尾崎豊みたいだなって。
細川:なのに泥臭さがある。ビジュアルがめちゃくちゃいいのに、それにおごることがない。
藤原:この映画でも、芝居が泥臭い。(藤原さん演じる悠二と言い争う)居酒屋のシーンでも良い意味で顔がすごくみっともなくて、そういうギャップにも好感が持てるよね。
細川:そう。格好いいのに格好悪いところが、俺はめっちゃ好きで。
藤原:ああ、わかるわ。
森:それに、遊屋くんはずっとなにかに悩んでるよね(笑)。いろんなところに意識を向けているというか。
藤原:その意識の向け方も変わってて、移動のバスで写真を撮ってるから、なに撮ってるのと聞いたら「…ビル」って。街とかでもよくすれ違ったりするんだけど、地面を撮ってたり(笑)。独特だよね。感性が。
あとはユーモアがある。笑わせるよね、人を。撮影現場でも、ずっと笑わされてた気がする。
遊屋:うそつけ(笑)。
藤原:(細川さん演じる佐々木の家の)床に穴が開いているっていうシーン。あれは遊屋くんのアドリブなんだよね。あれも笑ったな。
あと、言っていいのか分からないけど忍びの末裔なんだっけ?
遊屋:忍びというか、逃げ武者? 武士なんだけど、戦には行かないっていう。
森:そういうのはイメージに合うよね。
藤原:のらりくらりとかわすような、自分のしたいことをしたいんだという空気感を持っている。
あと飲んでて酔っぱらってくると、影で場を支配して、みんなを笑わせる。それが俺は結構ツボで、ユーモアがあるなーって思う。
森:(佐々木の)家のシーンとかでも、実は場を支配してるもんね。
あと、(バッティングセンターのシーンの撮影で)遊屋くんはバッティングがめっちゃ上手かった。練習にも来れなかったのに一番上手いという。
細川:家の前でバット振ってたから。
遊屋:振ってねえわ(笑)。
藤原:俺たちは手が血だらけになるほど練習したのに……脚本では佐々木だけがバッティングが下手な設定だったんだけど、俺がまったくできなくて、しかたなく2人ともできないという設定に(笑)。
森優作のここが好きだ
藤原:森くんは、もともと恐い人だと思ってた。(森さんの出演映画の)『野火』の印象が強すぎたのか、俺の中で同世代の俳優って枠組みじゃなかった。歴史の縦軸にいる人だって。
森:いやいやいや(笑)。
藤原:でもほんとに『野火』は俺にとってすごく大事な映画だったから、それに出演した俳優っていうのはすごい人だと。今回、「森優作さんになりました」って言われたときには、喜ぶより先に「まじか……どうやって同級生の役やるんだよ、あの人と」って。
森:そんなこと思ってたんだ!でも俺も季節はもっとやんちゃだと思ってた(笑)。
藤原:最初会ったときに、「季節くんって敬語とか使えるんですね」って言われて(笑)。
遊屋:森くんのイメージは、まとっているものがなにもない人。それが本当にすごいなって。だれでも入っていける感じというか。自分で作り出している壁のようなものが一切ない。
森:撮影終わりに遊屋くんと2人で帰ったときに、遊屋くんが俺に向かって「ほんと森くんって緊張しないっていうかゼロなんだよね」って(笑)。「じゃあ、季節や岳は?」って聞いたら、いまでも緊張するって。
細川:まじで?緊張ってどういうこと?
遊屋:いまでもちょっと構えちゃうっていうか、それはある。でも森くんは、まじでない。
森:いいことなのかな(笑)。
細川:俺は普段なにも考えずに生きているけど、森くんと話すとめちゃくちゃいろいろ考えさせられる。
藤原:ああ、わかる。森くんって無限っぽいものを感じるときがある。無限というか宇宙的というか、足を踏み入れたらスーッと沈んでいく沼のような…絶対に底は見えないなって。俳優としてどんな役をやっていくのかすごく気になる。いろんな役を見てみたい!
森:なんでもない役をやってみたいかな。わりと分かりやすく突飛な役が多かったから。
4人の中で付き合うなら?
細川:そういえば撮影現場でもこんな話ししたよな。付き合うならだれ?って。
藤原:俺は遊屋くんだったな。チャーミングだし、おもしろいし、ポジティブだし、一緒にいて明るくなれる。
遊屋:ごめん。ちょっと季節とは付き合えない……。
藤原:やめろ(笑)!
遊屋:俺は森くんかなあ。
細川:俺も森くん。
森:俺は季節だった。
藤原:岳だけはムリ(笑)。
森:なんかめんどくさそう(笑)。季節のめんどくささは許容できるんだけど。
藤原:俺は忘却しながら前進するタイプだけど、岳はずーっと入り込んじゃうもんね。いま『佐々木、イン、マイマイン』の小説も書き上げたらしいけど、そこまで突き詰めるから。
細川:小説は発表の場があるのかないのか分からないけど、とりえず自分の整理をつけるために。
藤原:『佐々木、イン、マイマイン』は構想から6年? その執着心はすごい。
細川:入れ込み過ぎちゃうんだよね。これまでオーディションを落ちたという連絡を受けるたび、携帯を何台2つに折ったことか……。そういう意味でいうと、俺も一番自分とは付き合いたくないな(笑)。
Profile _
藤原季節(ふじわら・きせつ)
1993 年 1 月 18 日生まれ。北海道出身。2014年、映画『人狼ゲーム ビーストサイド』(熊坂出監督)で本格的に俳優デビュー。主な映画出演作に、『ライチ☆光クラブ』(’16/内藤瑛亮監督)、『ケンとカズ』(’16/小路紘史監督)、『全員死刑』(’17/小林勇貴監督)、『止められるか、俺たちを』(’18/白石和彌監督)、『his』(’20/今泉力哉監督)など。現在CX「監察医 朝顔」が放送中。2021年、主演映画『のさりの島』(山本起也監督)が公開待機中。
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細川岳(ほそかわ・がく)
1992年8月26日生まれ。大阪府出身。 主な出演作に『ガンバレとかうるせぇ』(’14/佐藤快磨監督)、『ヴァニタス』(’16/内山拓也監督)、『君が世界のはじまり』(’20/ふくだももこ監督)、『ソワレ』(’20/外山文治監督)、『泣く子はいねぇが』(’20/佐藤快磨監督)などがある。、『愛うつつ』(葉名恒星監督)、『無頼』(井筒和幸監督)などが公開待機中。
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遊屋慎太郎(ゆうや・しんたろう)
1992年5月31日生まれ。静岡県出身。モデル活動を始めると共に、2015年、映画『アレノ』(越川道夫監督)でスクリーンデビュー。劇団ハイバイの舞台に出演する他、主な出演作に 『SCOOP!』(’16/大根仁監督)、『彼らが本気で編むときは、』(’17/荻上直子監督)、『帝一の國』(’17/永井聡監督)、『あざみさんのこと 誰でもない恋人たちの風景 vol.2』(’20/越川道夫監督)『ジオラマボーイ・パノラマガール』(’20/瀬田なつき監督)などがある。
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森優作(もり・ゆうさく)
1989年12月4日大阪府出身。映画『野火』にて第30回高崎映画祭最優秀新人男優賞を受賞。2016 年に連続テレビ小説『べっぴんさん』中西直政役で注目を集める。主な出演作に、映画『地獄少女』(’19/白石晃士監督)、TVドラマ連続テレビ小説『半分、青い。』(’18)『太陽は動かない』(’20)、舞台『市ケ尾の坂-伝説の虹の三兄弟-』(’18/岩松了演出)、『美しく青く』(’19/赤堀雅秋演出)などに出演。今後の公開待機作に2021年『ゾッキ』(斎藤工監督)、『花束みたいな恋をした』(土井裕泰監督)、『騙し絵の牙』(吉田大八監督)など。
Information
映画『佐々木、イン、マイマイン』
2020年11月27日(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開
クソみたいな今を生きてる俺へ、あの頃の俺たちより。
監督:内山拓也
脚本:内山拓也、細川岳
出演:藤原季節、細川岳、萩原みのり、遊屋慎太郎、森優作、小西桜子、河合優実、井口理(KingGnu)、鈴木卓爾、村上虹郎 ほか
©「佐々木、イン、マイマイン」
- Model : Kisetsu Fujiwara(office saku)
- Model : Gaku Hosokawa
- Model : Shintaro Yuya(DECADE)
- Model : Yusaku Mori(DONGYU)
- Photography : Kenta Karima
- Styling for Kisetsu Fujiwara : Hironori Yagi
- Hair&Make-up for Kisetsu Fujiwar : Tomoya Nakamura(Maison de Noche)
- Art Direction : Kazuaki Hayashi(QUI / STUDIO UNI)
- Edit&Text : Yusuke Takayama(QUI / STUDIO UNI)