ロンドン気鋭の才能 LEO PROTHMANN、3つのコレクションから辿るクリエイション
<LEO PROTHMANN>は、乗馬文化とハイグラマーを掛け合わせた「Stable Glam」を掲げるロンドン発のブランド。デザイナーのレオ・プロフマンは、1997年ミュンヘン生まれ、スペイン・マヨルカ島の農場育ち。幼少期から馬術に取り組み、14歳ではプロレベルの障害馬術競技に参加。16歳でベルリンに移住し、クラブカルチャー・クイアカルチャーに触れる。21歳でロンドンに移住し、<Craig Green(クレイグ グリーン)>や<Matty Bovan(マティ ボーヴァン)>でのインターンを経験。2023年ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションのウィメンズウェア科での卒業コレクションがリック・オーエンスの目に留まり、<Rick Owens>のFW24「PORTERVILLE」のメンズコレクション、FW25「CONCORDIANS」のウィメンズコレクションでコラボレーションが実現した。2023年から自身のブランド<LEO PROTHMANN>を始動し、AW26からはロンドンファッションウィークの公式スケジュール入りを果たしている。馬術で経験する土や労働の泥臭さと競技の華やかなイメージといった二面性の共存「Stable Glam」がブランドコンセプト。
2025年秋冬コレクション「FINCA」
レオが育ったスペインのカントリーハウスを起点とするコレクション。馬や羊、ロバに囲まれた環境で培った自然への感覚や、丈夫で長く使える衣服への関心に、16歳で移り住んだベルリンで触れたナイトライフ、さらに乗馬、ホスピタリティ、ファッションへと移ってきた自身の経験を重ねた。カラーはレオ自身が描いた5点の絵画から抽出。レザーや、乗馬競技で馬を暖めるために使われていた厚手のウール製ホースブランケットなど、自身の記憶と直接結びついた素材を取り入れている。シルエットでは、ドイツの彫刻家Hede Bühl(ヘーデ・ビュール)の作品やシェル状のフォルムを参照。レオの原点であるスペインの風景と乗馬文化を、彫刻的な衣服として再構成した。

乗馬競技の際に馬を暖めるために使われていた、イエロー、ブルー、レッド、ブラックの太いストライプ入りウール製ホースブランケットをガーメントへ再構築。Hede Bühlの彫刻やシェルの形状を参照し、通常水平に取るシームラインを垂直方向へ移すことで、厚みのある素材に立体的な輪郭を生み出している。

本コレクションでレオがレザーに求めたのは、毛を刈った馬の毛並みを思わせる、滑らかでわずかに油分を感じる質感。ベジタブルタンニングのワックスレザーを使用している。「Shell Bomber」はセミベジタブルタンニングのカウレザー製で、ジップポケットとステンレススチール製ハードウェアを装備。天然皮革のマーキングや色の個体差を残し、着用とともに色艶が変化していく。

「Shell Bomber Wool」は、ボディに100%デッドストックのアーミーウール、ポケットにセミベジタブルタンニングのカウレザーを使用。カスタムのステンレススチール製ハードウェア、ジップポケット、曲線を描くパネルラインを組み合わせ、異なる硬さを持つウールとレザーでShellの立体感を構成している。

厩舎で使うラバーブーツにヒールを組み合わせる発想から制作された「LP Boot」。誇張したプラットフォームに、ラバー製グリップソールと重量感のある金属製スクリューヒールを組み合わせている。
QUI’S PICK
LP AW25 “FINCA” SHELL BOLERO JACKET
<LEO PROTHMANN>を象徴する「Shell」カットを、コンパクトなボレロジャケットへと展開した一着。タバコカラーのセミベジタブルタンニング・カウレザーに、ステンレススチール製のハードウェアを組み合わせ、Shell特有の曲線的なフォルムを際立たせている。
天然皮革ならではのマーキングや色調の違いを生かしているため、一着ごとに表情が異なるのも特徴。着用を重ねることで色艶が深まり、それぞれ固有の経年変化が生まれていく。
Lining:コットン 90% / ポリエステル 10%
Hardware:ステンレススチール
Color:Tobacco、Black
2026年春夏コレクション「GAIA」
出発点となったのは、ギリシャ神話に登場する大地の女神ガイア。レオは約4万本の玄武岩の柱が連なる北アイルランドの世界遺産ジャイアンツ・コーズウェー(Giant’s Causeway)にガイアが身を潜め、その周囲に鍛冶職人、守護者、騎手、土地を守る者、料理人、夜の女性たちが集う架空の共同体を描いた。その住人たちのための衣服を「鎧」であり「記憶」でもあるものとして構想し、エプロン、ボンバー、ハーネス、ドレスなどへ展開。シアスター・ゲイツ(Theaster Gates)の作品からイエロー、ブルー、マルーン、ストーン、ホワイトの色彩を取り入れた。さらに「Inversa(インバーサ)」によるフィッシュレザーや<Converse(コンバース)>との協働などを通して、ブランドが継続してきたレザー表現を新たな素材とプロダクトへと広げている。

顔から上半身を覆う「Helmet」は、<LEO PROTHMANN>のCageシリーズから派生したピース。セミベジタブルタンニングのカウレザーを細い帯状に構成し、顔と胴体を横切る立体的なラインを形成している。ストラップとメタルリングで身体に沿う位置を調整でき、頭頂部には4本のリベットで留めたブランドのシグネチャータグを配置。硬質な構造を持つ一方、レザーは着用を重ねることで身体の形に沿って馴染んでいく。

伝統的なレザーパンツの名称を冠した「Lederhosen」は、ベジタブルタンニングのラムレザーを用い、首、背中、脚をストラップでつなぐ構造。ステンレススチール製のリベットとボルトを配し、股部分にはジップ付きポケット、中央にはカードポケット、脚にも収納用ポケットを備えている。衣服とハーネス、バッグの機能を一体化するような設計が特徴で、身体を囲むレザーのラインがシルエットを形成する。

「Blacksmith Gauntlets」は、鍛冶職人を意味する名の通り、腕全体を覆う大型のレザーガントレット。ベジタブルタンニングのラムレザーを主体に、手首から腕にかけてアジャスタブルストラップを配置し、ステンレススチール製のリベットとボルトで固定している。表面にはジップ付きのバッグポケットを組み込み、防護具のようなボリュームの中に収納機能を持たせた。

<Converse>との協働では「Chuck 70」を一度解体し、<LEO PROTHMANN>のデザイン言語で再構築。レオにとって<Converse>は10歳のときに両親から黄色の一足を買ってもらい、履き込んだという私的な記憶を持つ靴でもある。完成されたスニーカーのシルエットに装飾を加えることをせず、構造そのものをほどき、新たな形へ組み直している。
QUI’S PICK
LP SS26 “GAIA” MINI BELT BAG
SS26「GAIA」で採用されたINVERSA™のSilverfinレザーを用いたミニベルトバッグ。ミシシッピ川流域に生息する非在来のコイ類から作られたフィッシュレザーにカウレザーを組み合わせ、コンパクトなフォルムに仕上げている。鮮やかなイエローと、魚皮ならではの細かな鱗の表情も印象的だ。
開口部にはメタルエンドを備えたベルトストラップを配し、手持ち用のストラップにはスパイク状のボルトディテールをプラス。天然素材のため、一点ごとにマーキングや色調に違いがあり、使い込むほどに色艶が深まっていく。プロテクションやハーネスの要素を取り入れた「GAIA」の世界観を、小さなアクセサリーに凝縮したアイテム。
Lining:セミベジタブルタンニング カウレザー 100%
Hardware:ステンレススチール
Color:Yellow
2026年秋冬コレクション「CABAÑA」
レオがメキシコ・オアハカ州サン・ホセ・デル・パシフィコで過ごした時間から生まれた。霧や湿った大地、気候と時間によって色を重ねた建築から、マッド、マスタード、オックスブラッド、ティール、フォレストグリーンを抽出。長時間にわたって山間を歩いた経験から、形を明確に保つ構造と、それが身体に沿って徐々に柔らかくなる状態へと関心を広げた。ブランドが継続してきたShellやCageも新たな構造へ発展。「Nene Valley Leather(ネネ・ヴァレー・レザー)」、<Dr. Martens(ドクターマーチン)>、<Cubitts(キュービッツ)>などとの協働を通して、耐久性やプロテクションというテーマを素材、アウター、フットウェア、アイウェアへと展開している。「CABAÑA」は<LEO PROTHMANN>にとって初めてロンドン・ファッションウィークの公式スケジュールに加わったコレクションとなった。

ブランドが継続してきたShellフォルムを、2026年秋冬コレクションではキルティングレザーのパーカやアウターへ展開。オーバーサイズの構造を保ちながら、着用すると意図的に柔らかなスラウチが生まれるよう設計されている。特にショルダーは大きな曲線を描きながら形を保持し、袖口へ向かって徐々に落ちていく。

2026年秋冬コレクションの「Cage」は、端材のレザーを細長いストリップにし、一本ずつ等間隔に配置することで構成。内側をボーニングで補強し、身体から離れた立体的な輪郭を保っている。一本一本のレザーを手作業で配置するため、レオ自身もスタジオで制作してきた中で特に技術的難度の高いガーメントのひとつとしている。ルックブックでは、ケープ状のものから身体を包むロングドレスまで、帯状のレザーが連続する複数のバリエーションが確認できる。

<Dr. Martens>との協働では、「Jadonブーツ」をハイキングを意識した仕様へ再構築。アッパーにはカーゴポケットを加え、防水性と透湿性を備えた。着想となったのは、サン・ホセ・デル・パシフィコの湿った山間をレオ自身が歩いた経験。コレクションの出発点となった土地の環境を、カラーや装飾だけでなく、実際の機能としてフットウェアへ反映している。

英国のアイウェアブランド<Cubitts>との協働による限定サングラス。レジン製のフレームに<LEO PROTHMANN>のメタルワークを加え、2026年秋冬コレクションの衣服に繰り返し現れる曲線的なラインをアイウェアへ展開した。大きく湾曲するアウターやCageと同じ造形言語を、顔まわりの小さなプロダクトに凝縮している。
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自らが育ったスペインの家を辿った「FINCA」から、架空の共同体を描いた「GAIA」、メキシコでの記憶を起点とする「CABAÑA」へ。3シーズンを貫くのは、レオ自身の乗馬経験とレザーへの探究、そして身体を包み、守るための構造だ。「FINCA」で際立ったShellシルエットはその後も継続し、「GAIA」で存在感を増した「Cage」は、「CABAÑA」で端材のレザーとボーニングを用いた構造へと発展。Silverfinのフィッシュレザーは2026年春夏コレクションから2026年秋冬コレクションへ引き継がれ、フットウェアでは<Converse>、<Dr. Martens>と、シーズンごとに異なる方法で既存のプロダクトを再構築してきた。
「CABAÑA」で初めてロンドン・ファッションウィークの公式スケジュールに加わった<LEO PROTHMANN>は、2026年9月に開催される2027年春夏シーズンにも参加が決定している。自身の記憶や土地との関係を起点にしながら、素材と構造の語彙を更新し続ける<LEO PROTHMANN>が、次なるコレクションでそれらをどのように展開するのか。さらなる進化に注目したい。
LEO PROTHMANN
Website:https://www.leoprothmann.com/
Instagram:@leoprothmann






