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スペインの農場の風景を、一生物のレザーワークに|LEO PROTHMANN レオ・プロフマン

Aug 21, 2026
幼少期に始めた馬術で育まれた乗馬やワークウェアへの愛を、彫刻的なレザーアイテムやジェンダーニュートラルなデザインに落とし込んだブランド、<LEO PROTHMANN(レオ プロフマン)>。2023年のブランド立ち上げ当初から<Rick Owens(リック オウエンス)>とのコラボレーションを実現し、2026年にはロンドンファッションウィーク公式スケジュール入りを果たした。気鋭メゾンのクリエーションはどうやって形作られるのか。デザイナーのレオ・プロフマンの哲学から制作工程まで探るため、ロンドンのスタジオを訪問した。

スペインの農場の風景を、一生物のレザーワークに|LEO PROTHMANN レオ・プロフマン

Aug 21, 2026 - FASHION
幼少期に始めた馬術で育まれた乗馬やワークウェアへの愛を、彫刻的なレザーアイテムやジェンダーニュートラルなデザインに落とし込んだブランド、<LEO PROTHMANN(レオ プロフマン)>。2023年のブランド立ち上げ当初から<Rick Owens(リック オウエンス)>とのコラボレーションを実現し、2026年にはロンドンファッションウィーク公式スケジュール入りを果たした。気鋭メゾンのクリエーションはどうやって形作られるのか。デザイナーのレオ・プロフマンの哲学から制作工程まで探るため、ロンドンのスタジオを訪問した。
Profile
レオ・プロフマン
デザイナー

1997年ミュンヘン生まれ、スペイン・マヨルカ島の農場育ち。幼少期から馬術に取り組み、14歳ではプロレベルの障害馬術競技に参加。16歳でベルリンに移住し、クラブカルチャー・クイアカルチャーに触れる。21歳でロンドンに移住し、<Craig Green(クレイグ グリーン)>や<Matty Bovan(マティ ボーヴァン)>でのインターンを経験。2023年ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションのウィメンズウェア科での卒業コレクションがリック・オーエンスの目に留まり、<Rick Owens>のFW24「PORTERVILLE」のメンズコレクション、FW25「CONCORDIANS」のウィメンズコレクションでコラボレーションが実現した。2023年から自身のブランド<LEO PROTHMANN>を始動し、AW26からはロンドンファッションウィークの公式スケジュール入りを果たしている。馬術で経験する土や労働の泥臭さと競技の華やかなイメージといった二面性の共存「Stable Glam」がブランドコンセプト。

レオ・プロフマン

ブランドの全ては開放感のあるスタジオに

ーまずはこのスタジオについて教えてください。

レオ:ここで全ての洋服を生産しています。パターンや道具が揃っていて、この部屋で完結する仕組みです。壁沿いのラックには今までのコレクションアイテムを並べ、その横の棚にはシューズコーナー、窓際にはメンバーの写真を貼っています。現在インターン含め6人のメンバーが働いています。

わたしは毎朝8時半ごろに来て、コーヒーを飲み、スタジオの準備をして、メンバーが来る前にメールをチェックします。10時になったらメンバーが来るので、それまでは絵を描いたり、ビジネスニュースを読むのが好きなのでニュースをチェックしたり、両親に電話したり色々ですね。静かなときにしたいことをします。メンバーが来たら、少しお喋りをして各々作業に向かいます。わからないことがあれば都度聞きますが、基本はみんなやることがわかっているので黙々と進めるだけです。午後1時になったらお昼に出て、近くの河岸に行くこともあります。6時には終業して、金曜日はみんなで飲みに行きます。

ーこの場所にした理由はなんでしょうか?

レオ:ホワイトチャペルにあったスタジオが手狭になったので、この場所に移りました。陽当たりも良く開放感のあるスタジオでいい雰囲気ですよね。ここは政府が管理するブルータリズム建築の建物で、スタジオが数多く入居しています。隣の部屋も借りようか検討中です。この周辺にはナイトライフのコミュニティもあって、たまにスタジオで飲んでから踊りに行くこともあります。

泥臭さと華やかさの共存に惹かれる服づくり

ーブランド美学を「Stable Glam」という言葉で表現しています。どのような価値観を表しているのか教えてください。

レオ:「Stable=馬の厩舎」「Glam=グラマー」で、馬術の世界にはこの「泥臭い美しさ(gritty beauty)」が存在します。馬術はお金のかかる贅沢なスポーツです。でも、厩舎では馬の糞を片付けたり、泥まみれになったり、競技場では汗をかいたり、馬の匂いがしたりする。その泥臭さと美しさの二面性に惹かれます。ナイトライフは華やかに見えますが、実際はそこまでいい面だけじゃない、そういうところが好きなんです。最近「Industrial Leatherwork」という言葉もよく使っていて、わたしの革の使い方は前衛的で型にハマらないやり方です。試行錯誤しながら、どうやったら機能や耐久性と美しさが両立するかを考えながら作っています。

ー「Stable Glam」をよく表す一着はありますか?

レオ:父が持っていたレザーブランド<Chevignon(シャヴィニョン)>の代表的なパイロットジャケットが大好きだったので、参考にしてボンバージャケットを作りました。機能性を持ったジャケットに、上質な革やパーツを取り入れてディティールにこだわる、それこそがラグジュアリーですよね。わたしはこのジャケットを着て、華やかな場であるブリティッシュファッションカウンシルのサマーパーティに行きます。と同時に、ウェアハウスのロンドンのテクノクラブ「FOLD」にもこれを着ていきます。着る人には「Stable」と「Glam」の二面性を楽しんでほしいです。

ーレオさんはミュンヘン、マヨルカ島の農場、ベルリン、ロンドンと、田舎から都市まであらゆるライフスタイルを経験されてきたと思います。その経験はどのように今のブランドに繋がっていますか?

レオ:両親とも乗馬をするので、わたしは生まれたときから馬のいる環境で育ちました。スペインの田舎の農場だったので、家には馬やロバ、羊もいました。6〜7歳のときにわたしも馬術を始めて、ミュンヘンでもスペインでも選手として大会に出場するほどでした。母はカウボーイのようなスタイルのウェスタン乗馬で、わたしはもっとエレガントなイングリッシュ乗馬でした。

人は何かを深く知っているからこそ、クリエイティブになれると信じていて、ファッションを始めたとき、最初に興味を持ったのはレザーでした。馬術の経験は、革の仕上げ方やディテール、耐久性、色使いの理解に繋がっています。このスタジオにあるもの全部焼けて乾いたような色なのは、スペインの田舎の景色から来ているんです。

ースペインの色や風景を最も表していると思う一着はどれですか?

レオ:一番好きなのは去年発売したこのジャケットですね。セミ・ベジタブルタンニンレザーで、表面に少しワックスコーティングが施されています。革が新品のときの状態と比べると経年変化で風合いが美しく変わるんです。新品の色はスペインの冬を思い出させます。そして色が変わるとスペインの夏に。夏になると暑さや乾燥で農場の色が抜けていくのと同じです。時間が経つにつれて、洋服が全く異なる顔を持ち新しい時代を迎えるのが好きで、わたしたちの作品はそこが肝だと思います。

レオ:スペインを思い出させるものに、母から譲り受けた25年前のウェスタン乗馬用の手綱もあります。この手綱で大きな動物をコントロールするのが面白いですよね。とても頑丈でウェスタンらしさがあります。いつもスタジオに置いていて参考資料として使っています。

Lady GagaのファンからRick Owensとのコラボまで

ーレオさんはどのような子どもで、ファッションとの出会いはなんだったのでしょうか?

レオ:小さいときからファッションは好きで、女の子向けの柄入りのタイツをよく履いていました。変わった子でしたね。最初のファッションとの出会いは、11歳で観たLady Gaga(レディ・ガガ)の「Bad Romance」のMVです。当時MTVやVivaでミュージックビデオをずっと観ていたのでそこで衝撃を受けて、YouTubeで何度も見返して大ファンになりました。<Alexander McQueen(アレキサンダー マックイーン)>のファンだったので、Lady Gagaが履いた「プラトスのアトランティス」のアルマジロシューズをYouTubeのチュートリアルを見ながらガムテープでDIYしたんです(笑)。母のお下がりのヒールもよく改造しました。厚底にしたり、削ったり。14歳のときには父にLady Gagaのコンサートに連れて行ってもらって、完全にリトル・モンスターズ(Lady Gagaのファン呼称)でした。

ーご両親もファッションが好きだったんですか?

レオ:両親ともファッション業界とは無関係です。わたしがファッションの道に進むことを懸念していました。16歳でベルリンに引っ越し、高校卒業後は親の助言でホテルマネジメントを学びました。ファッションで失敗したときの保険です。その後パートナーとロンドンへ移住し、ストラットフォードに住み始めました。両親はファッションを学ぶための学費は出してくれなかったので、学費を稼ぐために昼夜レストランやバーで働きました。今は両親も自分の本気が伝わって応援してくれています。

ーファッションを自分のビジネスとしてやって行こうと思ったのはいつですか?

レオ:ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションの卒業ショーでは1ルックしか出せないことに納得できなかったので、クラウドファンディングで資金を集めて、自分でショーを開催しました。16〜17ルック作り、シューズも作り、ランウェイもお酒も音楽も全部用意したんです。これがブランドの始まりです。最初からレザー、クラフト、スローファッションそしてDIYという軸は決まっていました。<Rick Owens>と一緒に仕事をしたとき、契約書や著作権から始まり、そこからプロダクトやショーへと進んでいく経験を通して、「これは遊びじゃない。本気でやらないといけない世界なんだ」と覚悟を決めました。

ー<Rick Owens>とのコラボレーションについて詳しく教えてください。卒業制作で作ったブーツをリックが見つけ、本人からDMが届いたことで始まりました。そのときのことを覚えていますか?

レオ:最初メッセージをもらったときは「オーマイゴッド、やばすぎる、嘘でしょ? 詐欺?」と疑っていましたが、詐欺じゃなかったんです。パートナーには話したけれど、そのほかは誰にも言いふらしたりはしませんでした。とにかく信じて、やることをやるだけです。

ーコラボレーションはFW24「PORTERVILLE」のメンズコレクション、FW25「CONCORDIANS」のウィメンズコレクションへと続きました。実際にどのように制作を進めたのでしょうか?

レオ:FW25「CONCORDIANS」では、わたしも好きだった母のウェスタン乗馬のチャップスをベースに、ポケットを変えるなどして再解釈しました。とにかくやってみる、大胆になることを学びました。静かな学びです。わたしは作って、リックに見せる。彼が気に入ればOK。彼はそのまま何も変えずにショーで使ってくれました。それってすごい信頼ですよね。

ーコラボの中で、自分のブランドの声というものをどう保ちましたか?

レオ:リックのために制作をするときでも、自分のアイデンティティを持ち込むことが大事でした。特にブーツやチャップスといった馬術由来のアーキタイプを取り入れることで、リックの世界観の中でも自分のアイデンティティが見えるようにしたかったんです。いつも自分が持つ世界観や美学を持ち込み、それを彼の世界観の中で融合させていました。

ーコラボって緊張する人も多いと思いますが、素敵な心がけですね。

レオ:そうですね。でもやっぱりやるしかないんです。彼からの学びはそこでした。自分に自信を持って突き進む。わからないことがあったら聞くこと、その二つですね。

まるで料理をするように精密さが求められるレザーワーク

ー実際に<LEO PROTHMANN>の服はどうやって生まれるのか教えてください。

レオ:最初にわたしがスケッチを描いて、チームに共有、ディティールを話し合い、その後説明書を作成して求めるものを明確にします。信頼しているスタイリスト・エタ・グトムンツトッテル(Edda Gudmundsdottir)が意見をくれるときもあります。絵画と一緒で「これ以上手を加えたらダメになる」と。

実際の制作は料理のミザン・プラス(mise en place)※のようなものです。サラダを作るとき全ての食材を切って分けて置いて最後に混ぜますよね。レザーでも最初に全てパーツを切っておいてから、ポケット、裏地、ファスナーと一つずつ組み立てていくのが布との違いです。今製作中の受注を受けた2着のジャケットは、箱ごとにパーツを管理していて、順番に縫製していきます。

※食材を計り、切り、並べるといった料理の下ごしらえのこと

ー整理整頓は好きな方ですか?

レオ:整理整頓は大事ですね。仕事も期限通りにこなします。チームで複数人が一着のアイテムを作り上げるので、誰も困らないようにきちんとした管理はマストです。わたしは縫うのがとても速い方ですが、一つの作品が完成するまでには、スタジオ内で下準備、組み立て、仕上げといった多くの工程を経ています。

ーこの中でブランドのクラフトを表すアイテムを教えてください。

レオ:この「Line」シリーズの始まりは、レザーショップで見つけたイタリア製のレザーです。日本のソファなどの張り地から着想を得て、一本一本の革を細かく切ってパワーメッシュで何本も繋ぎ合わせた素材でした。しかし工場が生産停止してしまったので、自分たちで再解釈してDIYしたのが始まりです。このアイテムで大事なのはテクスチャー。テキスタイルを作るようなものですが、素材の性質を理解しつつも、四方八方に広がろうとするレザーを立体的にすることが大事です。今ラックに並んでいるのも全て均一の形になっているでしょう?

保護と制限のバランスは、コミュニティを守るために

ーレオさんの服には、「Shell」「Cage」といった立体構造が繰り返し登場します。この構造がどのように生まれ、身体が入ることでどう変化するのか教えてください。

レオ:「Shell」はドイツ人彫刻家Hede Bühlの作品koloss、Wächterから発想を得て、アルマジロの形、動きをイメージしました。「Cage」を発表したSS26「GAIA」は、夏のビーチを想定していたので、自然の中で、ほぼ裸の状態に最小限のレザーだけを頭に纏うという実験的なルックで、そのレザーが鎧や安心感を与えるものとして機能していました。ただ、これらのアイテムは人を選びます。着る人にパワーを与えることもあれば、全然似合わないことも。とても主張の強いアイテムなので、好き嫌いが分かれますね。

ー誰かモデルとなった人はいるのでしょうか?

レオ:普段から一緒にいる人たちがベースです。自分のコミュニティにいるさまざまなキャラクターを思い浮かべます。歌手だったり、パフォーマーだったり、エキセントリックな人、挑発的な人、とてもセクシーな人、あるいは存在感そのものが大きい人。わたしは、強い存在感を持つ人に興味があるんです。そうしたキャラクターを重ね合わせながらコレクションを作っています。

ー「Shell」は保護、「Cage」は制限を意味します。この二面性をどう捉えていますか?

レオ:一つのことに二つの意味が共存する「juxtaposition(並置)」という言葉があるように、保護は制限でもあります。自分の全てを守りながら生きていると、それは逆に自分を縛ることになります。でも保護も制限もない状態では、傷つきやすくなる。だから両方の感覚を持っておくことが大事です。あまりリスクを取らずに過ごしていた時期があったので、それをキーワードに「Shell」や「Line」といった作品を残すことは自分にとって重要でした。

ー世の中の動きも踏まえて、最近もっと保護の側面が強くなりましたか?

レオ:今は難しい時代です。わたしたちのコミュニティではお互いをもっと守っていかなければなりません。ただわたし自身、次のシーズンは保護から離れるつもりです。リスクを取って、もっと声を上げていかないといけないと感じています。

一生涯使えるものを作ることこそがサステナビリティ

ーレザーはブランドを象徴する素材の一つです。環境への影響や動物由来素材をめぐる議論もありますが、レザーのどこに惹かれて、どうしてレザーにこだわるのでしょうか?

レオ:耐久性ですね。父は30年前の革靴を履いていても全く問題ない。人間の肌のように、クリームを塗ればレザーは生き返ります。プラスチックではないので手入れが必要ですが、ちゃんと作られていれば長持ちするところが魅力です。それに色の吸収の仕方もいい。あそこにある赤いジャケットの色味は布では絶対に出せないし、光沢も違います。それに生の素材を扱うことにも惹かれるんですよね。受注生産なので新しいレザーを通して素材の新たな魅力を発見しています。

ーレオさんが考えるサステナビリティとはなんですか?

レオ:無駄を増やさないためには、どこで服を作るかと、生産するアイテムの行き先のトレーサビリティが大事です。ここにあるのはレザーのオフカットボックスで、端切れも小さなアイテムに再利用できます。捨てることは滅多にありません。

わたしたちは、できる限り環境への影響を減らそうとしています。全てのアイテムをこのスタジオで受注生産し、レザーの端切れも可能な限り再利用しています。また、作品には生涯にわたる修理サービスを提供しています。服を取り替えていくのではなく、手入れをしながら長く使い続けてほしいと思っているからです。

ーブランドではあらゆるベジタブルタンニンや食肉副産物レザーなどあらゆるレザー素材にチャレンジされています。最近関心を寄せているレザー素材はありますか?

レオ:今ここにあるものの中では、フィッシュレザーです。生臭い魚から触り心地のいいレザーを作る技術を持つアメリカの「Inversa(インバーサ)」という会社から仕入れていて、バッグを作りました。魚にペイントしているみたいな色の風合いもあり面白いですよね。

わたしたちが使っている牛革の多くは、食肉産業の副産物として生まれた原皮を使用しています。「Inversa」で興味深いのは、ミノカサゴのような侵略的外来種をレザーへと変えるアプローチです。脆弱な生態系を守るために駆除された生き物に、新たな価値を与えている点に惹かれています。

ー今後挑戦してみたい素材はありますか?

レオ:来週デニムの廃材を見に行きます。デニムは素晴らしい素材ですが、特に製造や仕上げの工程で環境に大きな負荷を与えることがあります。だから全てを新しい素材から作るのではなく、既存のものや廃棄されたデニムを使ってみたいと思っています。あとはラテックスやスポーツウェア、<SKIMS(スキムズ)>のようなシームレスなものまではやったことがないので、いつか試すかもしれないです。

「All Genders」に込められた、みんなのための服

ー<LEO PROTHMANN>ではジェンダーレスではなく、「All Genders」という言葉を使っています。どうしてこの表現を選んだのでしょうか?

レオ:わたしはずっと、「こういう人」「ああいう人」と、いろいろな枠に当てはめられてきました。トランスジェンダーのコミュニティやクィアの空間に友達がたくさんいますが、連帯の必要性を強く感じます。連帯って、ただ彼らのそばにいることだけではなくて、服装においてもオープンでいることです。わたしはドレスもスカートも大好きだし、ヒールも履きます。女性の服も男性の服もどちらも着ます。だから、わたしにとってはどの服もみんなのためのものなんです。

クィアやトランスのコミュニティがさまざまなプレッシャーに直面している今、ブランドがオープンでインクルーシブな場所であり続けることが大切だと思っています。そのために、こうしたコミュニティの人たちとモデルやパフォーマー、コラボレーターとして一緒に仕事をし、それぞれが自分自身のあり方で表現されることを大切にしています。

ー服はサイズやパターンを持っているものですが、どうやって自由を表現していますか?

レオ:自由は、とにかく自己表現なんです。わたしの服は正直一番歩きやすい服だとは言いません。少し窮屈なときもあれば、大きすぎることも。でも自由は、そのときに着たいものを、そのときに着ることだと思っています。安心できて、快適で、セクシーで、いい気分になることがわたしとっての自由。それを服でやろうとしているんです。

ー実際に自由を象徴するような服はありますか?

レオ:上下ひっくり返して着られるボンバージャケットです。このリバーシブルボンバーは、Erykah Badu(エリカ・バドゥ)が別バージョンを着用したこともあります。首を通すところを変えるとジャケットのシルエットが彫刻のように変形して面白いんです。みんな色々遊んでいますね。

着ると気分がいいのは先ほどの「Line」のケープですね。もう形からして遊び心があるでしょ? これは首を通して着ることもできて、レイヤードもできます。まるで蝶が孵化して飛び出す前のような雰囲気を出すシルエットが好きです。

日本の実験的なファッションへの注目、ブランドの展望

ー日本ではこのインタビューで初めて<LEO PROTHMANN>を知る読者も多いと思います。日本のファッションについてどのような印象を持っていますか?

レオ:日本で面白いと感じるのは、より伝統的な側面と、ファッションやサブカルチャーに見られる非常に実験的な姿勢とのコントラストです。珍しいものや挑戦的なデザインを受け入れるオープンさがあって、そこにとても惹かれます。わたしのブランドももっと日本で知られてほしいし、きっと<LEO PROTHMANN>のクオリティに納得してもらえるはずです。

ー気鋭のブランドとして注目が集まっていますが、ブランドとしての歩みは始まったばかりです。これから先どのようなブランドになっていきたいですか?

レオ:ブランドとしては、いつか自宅兼小さなブティックを持ちたいです。そこに<HERMES(エルメス)>がやっているように、一人ひとりが好きなレザーを選んでカスタムオーダーできるような小規模なショールームも設けたい。そして、ランウェイ用のアイテムは制作過程を自分の目の届く場所で行いたいと思っています。億万長者になってロールスロイスで出勤するような生活を目指しているわけではありません。自転車通勤でいいですし、いい仕事をしてビジネスが継続できれば十分だと思います。

個人的には2年後にはヨーロッパにチームとスタジオ拠点を残しつつも、自分の活動拠点はニューヨークに移したいです。去年ニューヨークを訪れたとき、人々が本当にクレイジーで面白くて毎日イベントだらけの刺激的な日々を過ごしました。ニューヨークで印象的だったのは、クラフトに対する強いリスペクトと、インディペンデントなデザインに投資しようとする姿勢です。ブランドが成長していくうえでも、ニューヨークには面白い可能性があると感じています。

<LEO PROTHMANN>は一生物のレザーアイテムを、この一部屋のスタジオで制作している。子供のときから馬や馬具と触れてきたレザーへの理解が深いレオだからこそ、前衛的なレザーワークで、耐久性や機能性と華やかさの共存を目指すことができるように見えた。気鋭ブランドの品質へのこだわりとサステナブルな活動は、ブランド拡大と共にどう変化していくのか、今後も注目していきたい。

LEO PROTHMANN
Website:https://www.leoprothmann.com/
Instagram:@leoprothmann

  • Photographer : Wataru Otake
  • Writer : Chika Hasebe
  • Editor : Yukako Musha(QUI)

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