パリ・ファッションウィーク 2025 秋冬メンズコレクションガイド — 過去と未来、伝統と革新の融合 vol.1
AURALEE/オーラリー
<AURALEE>の2025秋冬コレクションは、個人の歴史とパーソナルなスタイルを反映し、過去と現在が調和した新しい価値観を提案している。
コレクションには、洗練されたジャケットやアウター、レザージャケット、カシミアモールスキンのコートなど、精緻なクラフトマンシップと温かみのあるアイテムが揃い、ノスタルジーとモダンな要素が融合している。
おしゃれ賢者さえも毎シーズン参考にしているという心地よい色合わせも健在。ニュートラルな素材感やタイムレスなメランジトーンを基調に、
ラグジュアリーとカジュアルを見事に調和させ、品質の高さと豊かな感性が感じられるコレクションに仕上がっている。
AURALEE 2025AW COLLECTION RUNWAY
KIDILL/キディル
<KIDILL>の2025年秋冬コレクションは、1990年代後半から2000年代初頭の東京・原宿のカルチャーからインスパイアを受け、反骨的な気概と型破りな個性を反映している。
コレクションには、伝説的なショップ「A STORE ROBOT」とのコラボレーションや、レイヴとパンクを融合させたエッセンスが表現され、挑発的なカラーやメタリックコーティングが施されたアイテムが登場。
一際目を惹くストロベリーなどのイラストレーションは、<COMME des GARÇONS SHIRT(コム デ ギャルソン・シャツ)>でも話題になったロサンゼルス在住のアーティスト・Brett Westfall(ブレット・ウェストフォール)とのコラボレーションによるもの。
過去の創造性を現在の視点で再解釈し、真正性を問い直すことで、自由な未来への道を開いていくというデザイナーの信念が込められている。
KIDILL 2025AW COLLECTION RUNWAY
LOUIS VUITTON/ルイ・ヴィトン
<LOUIS VUITTON>の2025秋冬メンズ・コレクションは、歴史を通して未来を見つめる視点から、ファレル・ウィリアムスとNIGOのコラボレーションによって生まれた。
コレクションには、20世紀のワークウェアのアーカイブを基にしたアイテムが並び、ストリートウェアの歴史を反映したスタイリッシュな表現がうかがえる。
二人の友情を芸術的に表現し、アーカイブの価値を現代的な解釈で再構築することで、新しい未来への視野を広げている。
Acne Studios/アクネ ストゥディオス
<Acne Studios>の2025秋冬メンズコレクションは、クラシックスタイルを再解釈し、都会的で洗練された一面とリラックスしたオフデューティーな一面を融合させた探究が行われた。
コレクションには、ネイビーやアスファルトグレーを基調とし、鮮やかな赤やオレンジ、デニムブルーなどのアクセントカラーが加わり、1980年代のパワードレッシングを彷彿とさせるシルエットや、新しい5ポケットデニムやレザーパンツが登場。
ヴィンテージスポーツウェアからインスパイアされた素材やプリントを使用し、シューズやアクセサリーにも遊び心を取り入れ、伝統と反骨精神を見事に融合させたコレクションを完成させている。
Acne Studios 2025AW MENS COLLECTION
MARANT/マラン
<MARANT>の2025年秋冬コレクションは、アーティストの自由な精神とロックとボヘミアンの融合を体現している。
コレクションでは、ミニマルなリジッドデニム、刺繍が施されたアイテム、テニスストライプのフランネルやパワーショルダーのオーバーシャツなど、70年代や80年代の影響を受けたアイテムが登場。
また、エクリュやベージュ、カーキ、サビ色といったカラーが調和し、ピンクのアクセントが効いたシグネチャーパネル付きのダウンジャケットや、ブラッシュドモヘアのセーターといったブランドの定番スタイルがベースとなっている。
MARANT 2025AW MEN’S COLLECTION
LEMAIRE/ルメール
<LEMAIRE>の2025秋冬コレクションは、実在の人物たちの個性や欲望を讃え、ブランドの本質を表現することをテーマに制作された。
コレクションでは、肩や腰のラインを強調するデザイン、ユニークなディテールが施されたニットやレザーアイテムが特徴的で、柔らかな色味を基調にしたアイテムが、メタリックカーを思わせるアクセントカラーで引き立てられている。
静かな自信を感じさせる洗練されたワークウェアやシルクのパジャマセットなど、日常を快適に彩る動きやすさとエレガンスを兼ね備えたアイテムを提案している。
Paul Smith/ポール スミス
<Paul Smith>の2025秋冬コレクションは、20世紀の写真家たちのスタイルに焦点を当て、レンズ越しの視点を通じてブランドの独自の美学を表現している。
コレクションでは、「フィールド フラワー」プリントをシャツやネクタイ、ジャカードニットに取り入れ、ポールの父、ハロルド・B・スミスの影響を反映している。
クラシックなテーラリング生地に遊び心を加え、ヘリンボーンウールやパッチワーク、ダークなムードのイブニングウェアも登場。
ブランドらしい工夫が随所に光り、さらに「ポール・スミス ラヴズ バブアー」コラボでは、伝統と遊び心を融合させた新たなアイテムが披露された。
Walter Van Beirendonck/ウォルター ヴァン ベイレンドンク
<Walter Van Beirendonck>の2025秋冬コレクションは、過去に囚われず新しい可能性を探ることをテーマに、精緻なテーラリングと革新的な手法を駆使して、未来的なデザインを追求している。
コレクションでは、伝統的な素材と3DプリントやAI生成のパーツを組み合わせたアイテムが発表され、立体的なシルエットや新しい形、丈を取り入れた精緻なテーラリングを提案。
過去のサブカルチャーへのノスタルジーにとらわれず、未来的で革新的なファッションの可能性を追求したコレクションに仕上がっている。