dizziness

天窓から光が差し込むこの地を回遊する黄金の亡霊は、5度目の風を探している。
ゆっくりと伏せられる眼差しは、溢れる光を浴び、柱の隙間から見えるその姿は噂で聞くよりも高貴で、佇まいは生きる肖像画のようにも見える。
彼の過去を知りたいと思わせるには十分だった。

微かに聴こえる音楽を記憶に刻むように、身体に纏う風が必要なのだと。
4度目は、最近だ。
それはとても心地がよかった。
だから、次を求めてしまいここに長居してしまうのだ。

音のような言葉でそう口にした彼はまた、黄金を揺らしながら光の隙間に溶けていく。

残された私は、彼の過去をいくつも想像してしまう。
また彼に遭遇して、話をしたい。
目眩がするようなあの黄金に、一瞬で囚われてしまっていた。

Photographer : takuya
Model : Marco Varcoe
Hair : Minori Kato
Make up : Haruka Kajita
styling : Masami Okita
story : Asami Makura

Creative support : SURR by LAILA
Creative support：itimi

Alnair

飛び散った鉱石を紡いで、新たに輝かせる仕事があるという。
私はもう1000年ここで過ごしているのだけども、彼女がこの仕事を始めたのはもっと前の事だという。

「ここではないどこかに」

そう言って、誰も迷わないように紡いでは、宙に帰る輝きが彼女の白い身体を光らせている。
完全な暗闇は無いことを教えてくれるように、指先から零れ落ちそうな星屑を紡ぎ、道標の輝きが彼女の指先から産まれてくる。

「ここも綺麗な場所だけど」
「ここに辿り着いては駄目だから」

永遠の輝きを紡いでゆく彼女の足元で、
私は今日も眠るのだ。

Photographer : takuya
Model : Greta Hajwos
Hair : Minori Kato
Make up : Haruka Kajita
styling : Masami Okita
story : Asami Makura

Creative support : LAILA VINTAGE