生涯最高の映画3選|Lenny code fiction片桐航の「映画三枚」Vol.1
1993年生まれ、滋賀県出身。ロックバンドLenny code fictionのVo.&Gt.。多い時には年間200本以上の映画を観る、知る人ぞ知る映画通。独自のランキング付けには定評がある。
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BAND Twitter(@lenny_cf)
はじめまして。今月からファッションメディアQUIにて連載させていただく事になった片桐航です。
普段はLenny code fictionというバンドでボーカルをやっているんですが、趣味が映画鑑賞でして、多い年は年間200本以上映画を観る映画好きなんです。この連載は映画が好きで好きで仕方ないという抑えきれない気持ちを吐き出す場所として、毎月テーマを決めておすすめの映画3選を皆さんに届けようと思います!
第一回目のテーマは「個人的生涯最高の映画3選」。
早速人生トップ3からおすすめするという暴挙(笑)。ただこれからやらないといけないという使命感の元、本当は自分しか知っておきたくないくらいの、本当の本当のおすすめ作品を発表します!
Disc1 『THE FALL/落下の王国』
まず一つ目は『THE FALL/落下の王国』。
多分知らない人が多いと思うんですけど、この映画、結論から言うと「圧倒的芸術作品」。ストーリーもさる事ながらその撮り方、場所、制作期間が伝説的!
まず、構想が26年!そして24ヶ国をまわって撮るというこだわり。そのこだわり抜いた結果、今まで観てきた映画の中でダントツで一番美しい映画になっています。他の映画と比べ物にならないくらい綺麗な構図に色合いに景色に衣装!「画面上の美術館」という表現が一番似合うかもしれません。そしてその美しい映像をまさかのCGなしで作ったっていうから、オレはこの映画に100点をつけました。
ストーリーは、入院中のスタントマンの男がその病院で出会った幼い少女にファンタジーな作り話を聞かせてあげるという軸の話と、その話を聞いて少女の頭の中に浮かんだファンタジー世界の物語が同時進行で進んでいきます。
スタントマンの男が作り上げる話の本当の意味。それを聞いて少女が抱く気持ち。
作り話の内容でさえ全てが最後に繋がる様に全シーンが計算されて作られているからオープニングから見逃せないんですこれ…。とにかくシンプルに男が作る話も面白いし、映像も映画史上一番綺麗で本当に感動するシーンもあるのに、それが計算し尽くされて最後に答え合わせまで用意されている抜け目なさ。
今後何十年かかろうともこれ以上の「大作」は現れないであろう芸術的最高峰としての1本!
是非ご覧ください。
※なかなかレンタル屋にもなく、ストリーミングになんてあるわけもなく、DVDもプレミアついちゃって高かったりするんですけど、渋谷のTSUTAYAなら100円で借りれるんです何故か(笑)。
Disc2 『ミスターノーバディ』
二つ目は『ミスターノーバディ』。
言うの忘れてましたが、この映画の公開日はいつで誰と誰が出てて興行収入はいくらで…なんて調べれば出てくるし、観たい映画探してる時にどうでもいい!そんな情報!ってなる情報は書かないようにします(笑)。
この映画は伏線映画界の1位ですね。
映画好きな人、映画に興味がある人はやっぱり伏線の張られたストーリーが好きですよね(笑)。僕もそういうの大好きなんですけど、この映画は伏線好きにはたまらない映画になってます!
あの時違う選択をしてたらどうなったんだろう?とかたまに考えませんか?たとえばクッキー買うかチョコレート買うか迷った挙句チョコレートを買って食べてからクッキー買っとけばよかった!ってなる感覚あるじゃないですか?その迷いとか後悔が生まれた瞬間にチョコレートを食べた現実ともしクッキーを食べたら?という現実が出来上がるわけで、この映画はその全てを描いてます…。
チョコレートを食べたらどうなってたか?
クッキーを食べてたらどうなってたか?
あの子を選んでたらどんな恋をしてた?
また別の子を選んでたらどんな恋をしてた?
その色んな選択をいくつもいくつも描いていて、おまけにその選択した人生のゴール地点からみせてくるから、最初はもうわけがわからない!ただ、それが繋がる時の爽快感と気持ち良さはこれ以上にない感動を生みます。これが伏線か…これが人生の選択の多さか…となるに違いありません。
ちょっと難解ですけど何回みても面白い1本です。
Disc3 『たまたま』
三本目は『たまたま』。
これは日本の映画で、蒼井優さんが演じる「何か」が旅をするだけの映画です。
ただそれだけ。蒼井優さんがある物を演じてアイルランドを旅してます。
それだけじゃ何のことやら?ってなると思うんですけど、タイトルにある通り「人はたまたま出会ってたまたま何か始まったりする」。これを表現した映画で、旅の途中で色んな人にたまたま出会うんですけど、その人達の言葉とか抱いてる想いや生き方が一つひとつ心に刺さるんですよ。誰もがずっと心に隠し持ってる不安とか疲れみたいなものを探し出して温めてくれるんです。
卑怯だと思うくらい優しい言葉が出てきたりして、これを観るといい大人が優しさで泣いたりします。そして最後には好きな人とかお世話になってる人に連絡していつもありがとうとか言ったりします。
あーもうセリフ一つひとつを思い出して泣きそう。よく考えたら優しいセリフや言葉だけで泣かされる映画ってなかなか無いと思うんですよ。そんな体験ができます。
もし自分が人生最後の日にどの映画を観たい?って聞かれたらこの映画って言います。順位はつけたくないけどやっぱり全ての中で1位です。この映画は。人生において大切にしてる事の答え合わせができると思うので、色んなことで迷子になったら観てください。
ありがとうございました。
珠玉の3本をオススメしました。観ていただけると嬉しいです!
ではまた次回!
今月のMM計画 inspired by “tama tama”
映画『たまたま』にインスピレーションを得て、Lenny code fiction片桐航が新たに紡いだ1曲。
♪モバイルサイト「THEATER02」で再生する
※スマートフォンのみ対応
MM計画とは“1MOVIE 1MUSIC”をコンセプトに、1日1本映画を観て、その作品に着想を得て1日1曲作るという片桐航の私的プロジェクト。無類の映画好きかつ300曲ものストックを持つソングライター片桐航ならではのスパルタ作曲術で、過去には1カ月間連日MMしたこともあるという。映画と音楽の幸福な協奏がここに!
着用アイテム:シャツ / Effecten、その他スタイリスト私物
styling:橘 昌吾(@shogo_tachibana)
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