俳優・福地桃子の新たな一面に出会う
1997年10月26日生まれ。東京都出身。
2019年、NHK連続テレビ小説『なつぞら』に夕見子役で出演して話題に。テレビドラマ『#リモラブ~普通の恋は邪道~』、『女子高生の無駄づかい』、映画「あの日のオルガン」など、幅広く出演。2022年公開の映画やドラマ作品にも 出演予定。
役を通して広がる世界
―ある時は時代を切り開くある強い女性を、またある時は重度の中二病を患う女子校生を。これまで幅広い役を演じてきた福地さんですが、役者を目指そうと思われたきっかけは何だったのでしょうか。
今でもそうですが、想いを言葉にすることや人前に出ることが得意ではないんです。そのことがずっともどかしかったのを覚えています。でも、10代の頃にお芝居をする機会をいただき、人の言葉を借りて表現するという体験を初めてしました。「役を通じてなら言葉にできるかもしれない」と思いました。
―役を演じることで自分の苦手と向きあってこられたんですね。
前へ出ることや想いを言葉にすることで、誰かが不幸になるわけではないということに気がつきました。今では、何事も一度やってみようと前向きなきもちを持てるようになっています。
―これまで演じた役で、特に印象的だった役はありますか?
『女子高生の無駄づかい(2020年 テレビ朝日放送)』で演じた山本美波は、私にいろんな景色を見せてくれました。髪色も髪型も、身に纏うお洋服も、考え方も全てが新鮮なものばかりで、自分が生きている世界では到底知り得ない体験と出会いの連続でした。私がこの役を演じるとき、何ができるのかと考えたり、行動することをとても楽しめた役の一つです。
―さまざまな役を楽しみながら演じられているんですね。中には、受け入れることが難しい役もありましたか?
自分が経験できたことは限られているので、その役を受け入れたり理解することは本当に難しい事だなと思います。でも、近づいてみること、寄り添うことはきっとこれからでも出来るはず。決めつけることはせず、新しい価値観と柔軟に向き合っていけたらいいなと思っています。
「この役を自分がやる意味は何なんだろう」「自分には何ができるのだろう」と一歩離れて考えるようにしています。
―今後挑戦してみたい役はありますか?
役ではないのですがSF作品に挑戦してみたいです。昔からSFの世界が好きで、その世界に入れたら…なんて時々考えています。
頑固な自分と仲良く
―これまで役者をしてきて、大切にしているセリフや誰かからもらった言葉はありますか?
「頑固だね」とよく言われるんです。これは、お芝居をする、しないに関わらずよく言われる言葉。ネガティブなこととしてしばらく受け止めていたのですが、初めて出演したNHKの朝ドラマ (連続テレビ小説『なつぞら』)で制作スタッフのひとりの方に、オーディションの時にそれを感じたと言われて。はじめは「また言われてしまった」と思ったのですが、どうやらネガティブな意味での「頑固」ではないようでした。正直、私の中にある頑固の正体は今でもよく分からないのですが、この時から「私は“頑固”と仲良くやっていこう」と決めたんです。自分を信じることや譲れないものがあることもとても大事で、そのことがきっと何かを生み出すはずだと信じたいと思いました。
―今後、目指したい女優像はありますか?
いいなと思ってもらえる心地よさのある人にとても憧れます。人によく思われたい気持ちとか、注目を一番に集めたいとか、そういうのは置いておいて、見ていただいた人の目にふと止まって、「なんかいいな」と笑ってもらえたり、心を少しでも動かせることができる役者になっていきたいです。
―では、女性としてはどうでしょうか。
常に心や時間に余裕のある人でありたいです。今はまだ心がけていても、どうしても自分のことでいっぱいになってしまうことがあります。心がざわざわしていると何もかも上手くいかない気がしてしまうので、いつでも心の余裕を持っていたいなと思います。
―2022年に控えている作品について教えてください。
まだ情報解禁がされていませんが、去年から本年にかけてドラマと映画の作品に携わらせていただいています。中には、方言を使う役もあります。私は方言を使う役が多くあったのですが、今年もまたこれまでに演じたことのない地域の言葉に挑戦し、いろんな発見の連続です。
また新しい姿をお見せできるのではないのかなとワクワクしています。ぜひ楽しみにしていてください。
福地桃子とファッション
―ここからはファッションについて。今回の撮影では、クロスオーバーファッションに挑戦いただきました。いかがでしたか?
一つひとつ、テーマが違ったお洋服だったのですが、それでも一つの作品になるような不思議な体験ができました。メイクさん、スタイリストさん、カメラマンさん、照明部さんと、全てのスタッフの方が関わって、少しずつ完成していく様子を準備の段階からずっと見ることができて、心がときめいていました。お洋服もどれも本当にステキでした。
特に、赤いタイツを履いたスタイリングがお気に入りです。普段もカラータイツを履く機会があるのですが、色が入ることでシンプルなお洋服も一気に表情が変わり、気分をあげてくれますよね。
―普段テレビで拝見する福地さんのイメージとは少し異なる、尖ったクールな一面を見ることができた気がします。
そうですね。自分の世界から少し飛び出したような感覚でした。普段は言えないことも今なら言えそうだなと思ったり。お芝居を通して新しい景色に出会うように、お洋服を通しても、こんな自分に出会えるのだと少し感動しました。
―普段のファッションでは、どのようなこだわりがありますか?
リラックスできるような着心地のいい素材、カタチのお洋服が好きです。特に、フリーサイズのマタニティウェアを好んで選ぶことが多いですね。家着としても、お仕事でも着ていけるようなカジュアルすぎないものを意識しています。あとは、首元が覆われているお洋服も好きです。安心します。
―それでは最後の質問です。あなたにとってファッションとは?
お守りのような、一番近くにあるもの。
近くにあるものだからこそ自分にとって心地良いもの、着ていて安心するものを選びます。無理をしないで着られることが一番だと思います。
俳優・福地桃子が装うクロスオーバースタイル
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- Actor : Momoko Fukuchi
- Photographer : Sakai De Jun
- Stylist : Kanae Goto
- Hair & Makeup : Moe Hikoda
- Art Director : Kazuaki Hayashi(QUI / STUDIO UNI)
- Text : Yui Hosomi(QUI / STUDIO UNI)
- Text : Yukako Musha(QUI)