LOUIS VUITTON 2027春夏ウィメンズ・コレクション——人間工学から生まれる、軽やかでしなやかなシルエット
ショーの舞台となったルーヴル美術館のクール・カレ(方形中庭)には、静止した時間を思わせる舞台空間が広がった。歴史ある建築に囲まれた会場をモデルたちが歩き、身体の動きに合わせて揺れる衣服が、静かな風景のなかで存在感を放つ。動きのあるシルエットと静的な空間との対比が、今回のコレクションを象徴する演出となった。

デザインの核となる「エルゴノミクス(人間工学)」は、人間の身体的な特性や動作に合わせて製品を設計する考え方。ジェスキエールはこの発想を衣服づくりに取り入れ、身体の構造や能力、日常の動作をもとにフォルムを構築した。衣服が身体のラインに寄り添い、着る人の動きに合わせて形を変えることで、身体と一体化する「第二の皮膚」のような着心地を目指している。
コレクション全体に共通するのは、構築的なシルエットと柔軟な素材の組み合わせだ。衣服の内側にある身体の曲線や動きを基準に、素材の張力や仕立てを緻密に調整。歩く、腕を動かす、姿勢を変えるといった動作に合わせて、生地のラインやドレープが変化する設計が取り入れられた。身体が動くことで衣服の表情も変わっていくという考え方に、今回の人間工学的なアプローチがよく表れている。
素材には、二重や三重に重ねたコンポジット・シフォン、シルクやカシミアのスカーフ素材を採用。薄い生地を重ねることで繊細な陰影と奥行きを生み出しながら、軽やかな質感を実現した。ファブリックやレザーには、身体になじむ柔らかさと、シルエットを形づくるための適度な張りを持たせている。素材の重なり方や張力を細かく調整することで、すっきりとした外観のなかに複雑な構造を組み込んでいる点も興味深い。
伝統的なテーラリングにも、軽さと動きやすさを重視した工夫が施された。ジャケットやスーツは内部構造を再構築し、芯地や生地の重なりを整理することで、柔らかな着心地と端正な輪郭を両立。ニットウェアは身体の曲線を自然に描き、ドレスやパンツには動作に合わせて形を変えるしなやかなラインが取り入れられた。こうした仕立てからは、衣服の外観と身体が感じる快適さを一体として考えるジェスキエールの姿勢がうかがえる。

ウェアとともに登場した新作バッグは、多彩なフォルムや素材の質感によってスタイリングに変化を加えた。身体のラインに沿うドレスや柔らかなテーラリングに、輪郭の際立つバッグを組み合わせることで、全身に立体感を生み出している。しなやかな衣服と存在感のあるバッグの対比からは、柔軟性と構築性を組み合わせるジェスキエールらしい造形感覚が感じられる。

シューズも、軽やかなウェアのシルエットを引き締める重要な要素となった。さまざまなデザインのフットウェアが、ドレスやパンツの柔らかなラインに対して足元に明確な輪郭を与え、スタイリング全体のバランスを整えている。身体の自由な動きを重視した衣服と、フォルムに存在感を持たせたシューズの組み合わせが、今シーズンの特徴を際立たせた。

アクセサリーでは、フリンジのデザインが流動的なルックにアクセントを添えた。身体のラインに寄り添うウェアに小物を組み合わせることで、素材の柔らかさやシルエットの変化がより鮮明に表れている。ウェアからバッグ、シューズ、アクセサリーまで、それぞれのフォルムや質感を生かしたスタイリングが展開された。

1854年の創業以来、旅を快適にするための機能性とデザインを追求してきた<LOUIS VUITTON>。今回のコレクションでは、その考え方を身体の動きや衣服の着心地へと発展させている。特に印象的なのは、軽やかさを素材の薄さだけで表現せずに、衣服の内部構造や身体との接し方まで踏み込んで設計している点だ。身体の動きを起点としたウェアと、造形的な存在感を持つ小物の組み合わせによって、メゾンが受け継ぐ機能性とジェスキエールのデザインが結びついたコレクションとなった。
LOUIS VUITTON
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