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JULIE KEGELS 2027年春夏コレクション —— 重圧を重力へ、落ちる服から新たな形を探る

Oct 10, 2026
2024年、初めてのプレゼンテーションで強い印象を残した<JULIE KEGELS(ジュリー ケーゲルス)>は、その後着実にブランドを成長させ、2026年9月にはLVMH Prizeの大賞を受賞した。ブランド設立からわずか2年で国際的な評価を高め、ジュリー・ケーゲルス自身にもこれまで以上の視線が集まっている。そんなタイミングで発表された2027年春夏コレクション「Apple of the Day」は、ブランドが大きくなっていく中でジュリー自身が感じていた「重さ」から始まった。

JULIE KEGELS 2027年春夏コレクション —— 重圧を重力へ、落ちる服から新たな形を探る

Oct 10, 2026 - FASHION
2024年、初めてのプレゼンテーションで強い印象を残した<JULIE KEGELS(ジュリー ケーゲルス)>は、その後着実にブランドを成長させ、2026年9月にはLVMH Prizeの大賞を受賞した。ブランド設立からわずか2年で国際的な評価を高め、ジュリー・ケーゲルス自身にもこれまで以上の視線が集まっている。そんなタイミングで発表された2027年春夏コレクション「Apple of the Day」は、ブランドが大きくなっていく中でジュリー自身が感じていた「重さ」から始まった。

人との関わりが増え、会話が増え、仕事の機会も広がった。それに伴って、会社を運営する責任も大きくなっていく。ブランドを前へ進めながら、始めた頃にあった楽しさを守ることも日々の仕事の一部になった。そんな中で、ジュリーの頭に残り続けたのが「heavy」という言葉だった。ブランドが大きくなるほど、抱えるものも増えていく。その実感から、思考は身体や物を地面へ引き寄せる重力へ向かっていった。

今季の服には、その力がストレートに現れている。ナイロンタイツやデニムのクロッチは低く落ち、ジャージーやテーラリングは肩から滑り落ちる。エーデルワイスの刺繍は床へ向かって長く垂れ、ドレスの裾にはテーブルクロスに使われるウェイトが取り付けられた。

プロムドレスは腰のあたりまで下がってスカートのような姿になり、スパンコールのブラは崩され、カップの輪郭だけが身体の上に残る。肩や腰、クロッチの位置を動かすことで、見慣れたアイテムに新しいシルエットが生まれている。

先シーズンに引き続き登場した薄いスーパーオーガンザの中では、顔料やスパンコールの破片、ビーズ状の粒子がモデルの歩行に合わせて少しずつ下へ落ちていく。ランウェイに現れた瞬間から歩き終えるまで、服の中身は動き続ける。透けるほど軽い生地の中を粒子が落ちることで、普段は目に見えない重力の動きが現れ、歩いている時間が服の表情を変えていく。

ランウェイにも同じ考えが広がっていた。張られた布の上に質量を置くと、その部分が沈み込む。ショーの空間には、重力を説明する実験のような仕掛けが取り入れられ、服とモデルが歩く場所までひとつの力でつながってるようだった。

服を下へ引いていた重力は、ジュリーの中で「falling」という言葉にもつながっていく。「Falling short」「Falling under pressure」「Falling into place」「Falling in love」失敗すること、プレッシャーを受けること、物事が収まること、恋に落ちること。同じ「falling」という言葉の中に異なる出来事や感情が重なっていることに着目した。肩から落ちたジャケットや腰まで下がったドレスも、その言葉と呼応する。位置が変わることで、服は別のシルエットへ移っていく。なかでも「Falling under pressure」には、人や仕事が増え、期待や責任も大きくなっていったジュリー自身の時間が重なる。

コレクションタイトル「Apple of the Day」は、ジュリーの毎日の習慣から生まれた。彼女は毎晩、寝る前に冷蔵庫からジョナゴールドのリンゴを取り出して食べる。外側はパリッとしていて、中は甘酸っぱく、柔らかすぎないもの。一日の終わりに繰り返している、小さく心地のいい習慣だ。その一個のリンゴから、アイザック・ニュートンと重力をめぐる逸話へ発想がつながった。毎日の生活にあるものから考え始め、そこから服へと距離を伸ばしていく。この発想の運び方にも、ジュリーの服づくりが見える。

リンゴから重力へ、さらに「falling」へと考えを進めた先に現れたのが、今季繰り返し使われているエーデルワイスだった。高山に咲くエーデルワイスには、そこまで登った先で出会うことができる。山を登る身体には絶えず重力が働き、上へ進むほど、その力を身体で受けることになる。今季はその花が刺繍となり、長い糸を引きずるように床へ垂れている。高い場所に咲く花と、身体を下へ引く重力が、ひとつのディテールの中で出会っている。

LVMH Prizeの受賞によって、<JULIE KEGELS>を取り巻く環境はさらに大きくなっていくだろう。「Apple of the Day」でジュリーが扱ったのは、まさにその途中で自分の身に起きていたことだった。増えていく責任から感じた重さを起点に、毎晩食べるリンゴ、重力、“落ちること”、エーデルワイスへと考えをつなぎ、それぞれを服の位置や動きへ落とし込んでいる。

急速に注目を集める今も、コレクションの始まりにあるのはジュリー自身のごく身近な感覚だ。ブランドがこれからさらに成長していく中で、彼女がその時々に感じたことをどんな服へ育てていくのか。次のシーズンを追いたくなる理由もそこにある。

JULIE KEGELS 2027SS COLLECTION RUNWAY

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