Maison Kitsuné 2027年春夏コレクション——真夏の都市を快適に過ごすワードローブ
ショーでは、Hôtel de Rohanの庭園を舞台に、ファッション・アート・パフォーマンスが交差する静謐な都市空間を創出した。岩村遠(En Iwamura)による巨大な彫刻作品が会場全体に配置されたほか、ライブクワイアがアイコニックなエレクトロニック・ミュージックをコーラスで再解釈し、没入感のあるパフォーマンスを披露した。

今シーズンのコレクションの出発点となったのは、<Maison Kitsuné>の共同創業者 ジルダ・ロアエック(Gildas Loaëc)とクリエイティブディレクター アビゲイル・スマイリー=スミスが、日本の都市が年々厳しさを増す夏にどのように対応しているかについて交わした対話だった。特に着想源となったのは、東京の建設作業員が着用する、強い日差しや暑さから身体を守りながら高い通気性を備えた軽量の作業着だ。この発想をもとに、快適さや動きやすさ、環境と調和する衣服のあり方を探求した。

「Protection」は、本コレクションを貫く実用的かつコンセプチュアルなテーマだ。軽量なテクニカル素材や高い通気性を備えた構造、冷却機能を持つ素材、ゆとりのあるシルエットによって、動きを妨げることなく身体を包み込むような安心感を生み出している。また、現代美術家のクリスト(Christo)やス・ドホ(Do Ho Suh)の作品から着想を得た「包む」「重ねる」「透過する」「流動する」といった概念は、衣服・建築・パーソナルスペースの境界を曖昧にするデザインへと反映されている。

「Water」は、コレクション全体を通して視覚的・素材的に重要な要素となっている。水面の反射や波、移ろう光はプリントやジャカード、テクスチャーへと落とし込まれ、輝くブルーや深いネイビー、ミネラルグレー、陽射しで色褪せたニュートラルカラー、温かみのあるサンドカラーによるカラーパレットが、都市の日陰の涼しさと真夏の熱気に満ちた風景とのコントラストを描き出す。さらに、グラデーション加工やブリーチ加工、フェード加工によって、太陽の光や時間、動きが生み出す表情を表現している。


マリンカルチャーからのインスピレーションは、機能性とデザイン性の両面に取り入れられている。ロブスター漁のネットや帆布、防水シートなどの要素は、素材感や構造、機能的なディテールとして再解釈された。また、サーフィンやダイビングウェアから着想を得たアプローチにより、冷却機能を備えたウェアや、熱に反応して色が変化するウインドブレーカー、同じく熱反応素材を採用したTriangle Toteなど、環境に応じて変化するアイテムが登場した。
<Maison Kitsuné>がバリで展開するライフスタイル複合施設「Desa Kitsuné」も着想源に。島ならではの穏やかな時間の流れを都市的な視点で再解釈し、機能性・快適性・エスケープ感を兼ね備えたワードローブを目指した。都市と自然を対立するものとして捉えるのではなく、その境界を自由に行き来する新しいライフスタイルを表現している。
アビゲイル・スマイリー=スミス(Abigail Smiley-Smith)は、「Urban Glideでは、服がプロテクションと自由の両方を同時に生み出せる存在であることを探求しました。このコレクションは、人々が都市のエネルギーに満ちた環境を移動する時も、束の間のエスケープを求める時も、周囲の環境に適応していく姿を映し出しています。着る人とともに動き、周囲の環境に呼応するガーメントを生み出したいと考えました」とコメントしている。

今シーズンは、コレクションの世界観をさらに広げるコラボレーションも発表した。ショーの空間演出にも登場した日本人アーティストの岩村遠は、<Maison Kitsuné>の象徴であるフォックスを「動き」と「変化」のシンボルとして再解釈。このキャラクターはウェアやアクセサリー、自然と都市、伝統と現代の対話を遊び心あふれる表現で描き出している。
また、<Snow Peak(スノーピーク)>とのコラボレーションでは、都市と自然をシームレスにつなぐというコレクションのコンセプトを表現。1958年に日本で創業したアウトドアブランド<Snow Peak>と、アウトドアならではの機能性と日常使いのしやすさを融合したカプセルコレクションを制作し、アウトドアの技術を現代の都市生活に取り入れた新たなスタイルが提案された。

そのほか、<ATP Atelier(エーティーピー アトリエ)>とはサンダルやヒール、レザーグッズを通してフェミニンなエッセンスをプラス。さらに、<LONO(ロノ)>とのコラボレーションでは、裸足のような履き心地を追求するフットウェアを通じて、身体・動き・環境とのつながりというコレクションのテーマを表現した。

<Maison Kitsuné>は本コレクションを通して、テクニカルな機能性と日常に寄り添うエレガンスを融合させた、新たなサマーワードローブを提案してみせた。
Maison Kitsuné 2027SS COLLECTION RUNWAY
Maison Kitsuné
ウェブサイト:https://maisonkitsune.com/
インスタグラム:@maisonkitsune
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