Ralph Lauren 2026年秋冬コレクション、ヘリテージをリラックスした日常着へ引き寄せる
約60年にわたりアメリカンスタイルの指標であり続けてきた同ブランドはいま、再び新鮮な存在として注目を集めている。ヴィンテージデニムやアメリカンワークウェアへの関心が高まり、スタイルの「原点」が再注目される中で、同ブランドは懐古に寄ることなく、ヘリテージを今の生活にフィットする服として再定義してみせた。
アイコンを日常へと引き寄せた、Polo Ralph Lauren

ショーの幕開けを飾った<Polo Ralph Lauren>は、ブランドを象徴するアイテムやアメリカンワークウェアの要素を今の感覚で再構成した内容だった。

ブラッシュドウールのニットやキルティングアウター、ワーク由来のシャツやジャケットといった定番アイテムは、粗さを残したテクスチャーやリラックス感のあるプロポーションによって刷新されている。クラシックな要素を基盤としながらも、過度に整えすぎないバランスに仕上がっていた。

デニムやチノ、ウールトラウザーズに至るまで、腰まわりから裾にかけてゆとりを持たせたパンツシルエットが多く見られた点も今季の特徴だ。細身を前提としてきた従来のプレッピースタイルとは異なるリラックスしたラインは、近年のヴィンテージデニムや90年代的なボリューム感への関心と響き合っているようにも感じられる。完成された型をなぞるのではなく、身体の動きや日常の所作を前提とした服作りへと重心を移しているようだった。

スタイリングでは、チェックシャツの上にニットやカーディガンを重ね、さらにセーターを腰に巻くなど、レイヤードを多用した着こなしが目を引いた。
素材や質感の異なるアイテムを重ねながらも、首もとや足もとを意識的に整理することで、全体の印象が過度に重くならないよう整えられている。特定の着こなしを強く提示するのではなく、着る人が自分なりに応用できる余地を残しているようで、思わず真似してみたくなる柔軟さがあった。

カラーパレットは、ネイビー、ブラウン、オリーブ、エクリュといった落ち着いた色調を軸にしながら、鮮やかな色柄を差し込む構成。チェックやストライプといった柄使いも、スタイリングにさりげないリズムを加えていた。

テーラリングも今季はよりリラックスしたシルエットで登場し、日常の装いとして違和感なく溶け込むバランスが意識されている。アクセサリーでは、ヘリテージラインのバッグやアルパインブーツが取り入れられ、実用性とムードの両立を感じさせた。

また、アーティスト・イン・レジデンス・プログラムの一環として、オチェティ・サコウィン族のデザイナー、ジョシー&トレイ・リトルスカイによる「Polo Ralph Lauren × TÓPA」の新作も発表されている。北部平原の文化的背景を反映したデザインは、アメリカンスタイルが内包してきた多層的な歴史をあらためて浮かび上がらせていた。
仕立てと素材で完成度を高めた、Ralph Lauren Purple Label
<Purple Label>は、<Ralph Lauren>の美学が最も凝縮されたラインとして、形、素材、仕立てへの徹底したこだわりを示した。

上質なカシミアを用いたスポーツコートや、ダブルフェイス仕上げのアウターウェアは、精密なカッティングによって立体的なフォルムを描き出している。装飾的な要素に頼るのではなく、素材そのものの質感と仕立てによって完成度を語る姿勢が際立っていた。

手作業を要するテーラリングやイブニングウェアでは、一針一針の積み重ねが、そのままシルエットの美しさとして現れている。タイムレスなスタイルとは、流行に左右されないデザインであるだけでなく、時間をかけて培われた技術に支えられているものなのだという考え方が随所から感じ取れた。
ここで示されている美しさは、強い視覚的インパクトを前提としたラグジュアリーとは異なるアプローチを取っているようにも映る。長く付き合うことで初めてその本質が見えてくる、技術に裏打ちされた完成度を持つラインといえるだろう。

両コレクションを通して登場したのが、チリカウア・アパッチ族のアーティスト、ニール・ザラマとの継続的なコラボレーションによる、ターコイズをあしらったハンドメイドのベルトバックルやシルバージュエリーだ。これらは<Ralph Lauren>の「オーセンティック メイカーズ」プログラムの一環として制作され、伝統工芸への敬意を前提としながら、それを現代の装いへと結びつける試みとして表れている。インディアンジュエリーが持つ文脈や存在感を活かしつつ、過度に象徴化することなく取り入れられていた点も印象に残った。単なる装飾にとどまらず、ブランドが長年培ってきた価値観を、現在の文脈へとつなごうとする姿勢がそこに重ね合わされているようにも感じられる。
ヴィンテージやアメリカンスタイルが再評価される今、<Ralph Lauren>はトレンドを追いかけるのではなく、その基盤を築いてきたブランドとしての立ち位置を改めて示している。若い世代にとっては新鮮に映り、長年のファンにとっては変わらず信頼を寄せられる。コレクションには両方の視点に応える理由が丁寧に織り込まれていた。
Ralph Lauren
https://www.ralphlauren.co.jp/
- Edit & Text : Yukako Musha(QUI)

























