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新鋭VIA PIAVE 33とは、DSMGのオープンハウスで注目を集めたブランドに迫る

Dec 27, 2025
10月に開催された 「DOVER STREET MARKET GINZA(DSMG)」のオープンハウス。その一角で編集部が目を奪われたのは、柑橘の香りが漂う空間にベッドや音楽制作機器が配置された異彩を放つインスタレーションだった。手掛けたのは、正体の見えない存在として密かに、注目を集める<VIA PIAVE 33(ヴィア ピアーヴェ トレンタトレ)>。その実像に迫るべく、私たちはブランドの素顔を探る取材を行った。

新鋭VIA PIAVE 33とは、DSMGのオープンハウスで注目を集めたブランドに迫る

Dec 27, 2025 - FASHION
10月に開催された 「DOVER STREET MARKET GINZA(DSMG)」のオープンハウス。その一角で編集部が目を奪われたのは、柑橘の香りが漂う空間にベッドや音楽制作機器が配置された異彩を放つインスタレーションだった。手掛けたのは、正体の見えない存在として密かに、注目を集める<VIA PIAVE 33(ヴィア ピアーヴェ トレンタトレ)>。その実像に迫るべく、私たちはブランドの素顔を探る取材を行った。

まずは、<VIA PIAVE 33(ヴィアピアーヴェ トレンタトレ) >ブランド名の由来を教えてください。

<VIA PIAVE 33>というブランド名は、私たちの自宅の住所でごく自然な流れで決まりました。私たちはブランド設立当初から、親密で家庭的な空間から新しいライフスタイルを考えることに関心を持っていたからです。このプロジェクトを、現代を生きる人のためにデザインされた、意味のあるオブジェクトや衣服を丁寧に揃えた、比喩的な家として捉えています。


10月に開催された「DOVER STREET MARKET GINZA(DSMG)」のインスタレーションの様子。

2021年にアートプロジェクトとしてスタートしていますが、立ち上げようと思ったきっかけを教えてください。

すべてはアート的な思考や問いを起点に、自発的に始まった取り組みでした。当初から明確な独自のビジョンがあったので、コンセプチュアルなプロジェクトを生み出し、アート、デザイン、ファッションの間に橋をかけること、そして人類学的な視点で取り組むことに関心がありました。当初はビジュアル作品の発表から活動を開始しましたが、次第にそのビジョンを、コンセプトが持つエネルギーを宿した具体的な要素として表現したいと考えるようになりました。人間の本質を探求しながら、日常的なオブジェクトと結びついたコンセプチュアルなプロジェクトを創出するための場が必要だったんです。

表現の場として現在のブランドのかたちがあるんですね、プロジェクトを通して特に大切にしている考え方を教えてください。

私たちの考えの核にあるのは、「親密さ」と「内省」です。そのため、ものづくりは形からではなく、それが生まれる環境や条件を整えることから始まります。私たちにとって空間は、内側からの感覚や経験によって変化していく、柔らかな器のようなもの。最初に向き合った空間は、もっとも身近な場所である家でした。<VIA PIAVE 33>は、衣服やオブジェクトを単体で捉えるのではなく、それらが集まって立ち上がる一つの世界として構想されています。専門的なデザイン教育は受けていませんが、ファッションやアートの現場を横断してきた経験から、分野を切り分けない、全体を捉える視点が自然と身につきました。

空間を「器のようなもの」と捉えているところが面白いと思います。器としての空間をデザインする際、ものづくりや世界観との関係性で大切にしていることは何でしょうか。 

作品を置く場所として空間を考えるのではなく、香りや音、光、テクスチャーといった要素を含め、空間全体が一つの体験として立ち上がるように構成しています。誰にとっても馴染みのある日常的な素材や要素を用いながら、それらを独自の方法で組み合わせることで、感覚に作用するモニュメントのような状態へと変換することを大切にしています。また、空間の雰囲気や時間の流れにも意識を向け、現代の加速した日常から離れ、訪れる人の心を落ち着け、ゆっくりと体感できるような時間を意識しています。

展示の内容に合わせて空間の印象が大きく変わりますが、キュレーションの基準やプロセスを教えてください。

私たちは、どの場所にもそれぞれ固有の魂や特徴があると考えています。すべての空間に同じデザインフォーマットを当てはめるのではなく、同じ要素やコンセプトを使いながらも、流動的なアプローチで設計するようにしています。空間ごとに柔軟に適応させ、最終的にはその場所と対話を始められるようになります。このプロセスこそが、唯一無二なものにしていると思います。

スピードや消費から距離を取るような考え方の中で、移り変わりの早い「ファッション」という領域に目を向けたのは、どのような理由があったのでしょうか。

ファッションは、私たちにとって常に関心領域のひとつでした。ライフスタイルやアートプロジェクトとしてこの取り組みを始めるにあたり、人間の親密さやライフスタイルと深く結びついた要素として、衣服についても探求する必要があると感じました。衣服をまとうという行為は、ある意味で非常に原初的な営みでもあります。衣服づくりに関する知識がなかった私たちは、イタリア・ヴェネト州のパタンナーやファクトリーと協働し、技術やプロダクトの成り立ちを学ぶことからスタートしました。私たちのアート的なアプローチは、イタリアの伝統的なクラフツマンシップに新たな価値を見出し、それを現代にふさわしい形で再解釈することにつながっていると考えます。最初のプロジェクトは、よりパーソナルで深い親密性を持つ空間のバスルームから始まりました。衣服を第二の皮膚として捉え、発表するアイテムもまた、インテリアや家庭空間と強く結びついたものとなっています。

現在販売されている洋服やセルフケア商品についても教えてください。

一貫して家という概念を出発点に、より親密で心地よいアイテムや空間を生み出すことを大切にしています。アイテムづくりでは、快適さや親密さ、リラックス感を軸にしながらも、単なるリラックスウェアに留まらず、エレガントで印象に残る、少し型破りな表現を意識していて、ウエアラインでは、リネンやコットン、ウール、カシミヤといった上質な素材を用い、カジュアルでありながら洗練されたユニフォームのような佇まいを表現しています。オブジェクトのデザインにおいても、見た目の美しさだけでなく、有機的な美しさや儀式性を取り入れ、空間や時間を少し特別なものにすることを目指しています。日常にささやかな驚きと豊かさをもたらすためです。最近では、ピュアエッセンシャルオイルを使用したルームフレグランスも発表しました。香水の概念を日常へと拡張し、セルフケアやライフスタイルの中で、より豊かな体験として香りを楽しんでもらいたいと考えています。

お二人はプロジェクトを進めるうえで、どのようなものからインスピレーションを得ているのでしょうか。 

私たちの創作は、常に「自分たち自身」を起点にしています。新しいプロダクトやインスタレーションを考えるときも、まったくゼロから始めるのではなく、これまで手がけてきた作品を振り返り、そこから自然に発展させていきます。そうした積み重ねによって、創作は時間を超えて続く、終わりのない対話のようなものになっていると感じています。また、現代アートや、モノが本来持つ純粋な状態そのものも、私たちにとって大切なインスピレーションの源です。

創作の出発点には、過去の「自分たち自身」があるんですね。過去の作品と向き合う中で、次にやりたいことを見出すために意識していることがあれば教えてください。

ひとつのことに真摯に向き合い、繰り返し続けることで、自分がどんな人間なのかが少しずつ見えてきます。その積み重ねの先に、人生において自分が何を望んでいるのかを理解できるのだと思います。

フィジカルの取り組みもされていますが、特に心に残っているプロジェクトを教えてください。

印象的だった取り組みは、韓国で行った「Collective Ritual(コレクティブ・リチュアル)」です。ごく少人数の参加者に向けた特別な体験で、内省やセルフケアにフォーカスした没入型のプログラムでした。こうした体験を、人々がある意味で求めているのだということを実感できた点がとても印象に残っています。

ブランドのファンと触れ合った際に、印象的だったエピソードがあれば教えてください。

私たちのアイテムを誰かが身に着けているのを目にすると、いつも心が動きます。自分たちが特定の文脈の中で思い描き、形にしてきたものが、他者の手に渡ることでその文脈を離れ、それぞれの感性によって解釈され、日常の一部として生き始める。その過程で、想像していなかった新しい表情を見せてくれるからです。もうひとつの特別な瞬間は、私たちのビジョンに共感し、パートナーシップを築きたいと声をかけてくれる海外のショップが現れたときです。彼らの存在を通じて、対話すべき正しい場所に出会えたと感じています。洋服だけでなく、私たちのプロジェクトや思想を届けようとする姿勢に感謝しています。

今後、外部のクリエイターやブランドとのコラボレーションを考えている構想はありますか。

私たちは、アーティストやコラボレーターを頻繁に起用せず、ごく小さなチームと長年の友人たちとともに、できるだけ内部でプロジェクトを進めています。外部からのインプットは必要最小限にとどめ、家族のようなチームというコンセプトとブランドの本質を守るためです。使用する要素は常に同じですが、構造を流動的に保つことで、体験するたびに新鮮さを生み出せると考えています。創作に参加するのは、私たちの考え方や世界観に共感し、自然にその流れに身を置ける人だけです。

作品や活動を通して、世の中にどんな変化や影響をもたらしたいと思っていますか。 

私たちは、日々のルーティンをそっと支えるタリスマン(お守り)のような存在として、オブジェクトや衣服をデザインしています。私たちの提案を通じて、人々が自分自身の内面と改めて向き合い、心の明晰さや落ち着きを取り戻すきっかけになればと願っています。また、日常の物との関わり方や、ショッピング体験そのものに対しても、新しい視点や価値観をもたらすことができればと考えています。

今後の展開や、これから挑戦してみたい試みを教えてください。

近い将来、私たちはより一貫してインドア・システムの構築に取り組んでいきたいと考えています。インドア・システムとは、「家」を起点に、衣服やオブジェクト、香りといった日常に寄り添う要素を通して、時間や空間、そして自分自身との関係を整えていくための考え方です。身につけること、使うことが単なる消費ではなく、心や感覚に働きかける体験になることを大切にしています。そのため、私たちがつくるのは、人とつながることのできる意味のある衣服やオブジェクトです。規模を拡大することよりも、ひとつひとつのプロダクトや体験に深みを持たせながら、丁寧に成長していきたいと考えています。現在は、自社のデジタルプラットフォームの改善やポップアップストアの展開準備を進めており、クライアントとより直接的な対話を生み出す場づくりにも力を入れています。あわせて、私たちのビジョンに共感してくれるグローバルなパートナーとの関係を強化し、インドア・システムという考え方を、より広い層へ届けていきたいと考えています。

VIA PIAVE 33 のおすすめアイテム

SHIRT COFFEE  ¥71,500(税込)

抜け感と心地よさ、そのままの自分でいられるコーヒカラーシャツ

やわらかな風合いのウールガーゼに、深みのあるコーヒーカラー。肌に触れる感覚も、目に映る色味も穏やかで、自然と日常に溶け込みます。シャツは一枚でも、軽い羽織としても。力を抜いた佇まいの中に、静かな品の良さが宿る。

SWEATER SUN  ¥84,700(税込)

人の手がつくる、心地よい柔らかなニット

手編みの温度をそのまま閉じ込めた、淡いバターイエローのニット。身頃は端正に、袖にはあえて透け感のある編み地を配し、静かな違和感を忍ばせた。ドローコードが描く不完全なラインが、整いすぎない美しさを引き出す一枚。装う人の余白までデザインするような、詩的な存在感が魅力。

BEANIE RETE.  ¥38,500(税込)

夢心地なムードを添える、アクセサリー的なニットフード

粗野な手編みの表情と、どこか儚げなムードが同居するニットフード。ざっくりとした編み地が顔まわりに柔らかな陰影を生み、長く垂れるリボンがスタイリングに余韻を添える。装いに詩情をもたらすアクセサリー的存在。静かな個性を求める大人に。

ANGELS NEBULA    ¥11,000(税込)

比喩的な家に、目に見えない輪郭を与えるルームフレグランス

透明感のあるボトルに閉じ込めたのは、空間にそっと漂う静かな香り。主張しすぎないのに、ふとした瞬間にその存在を感じさせる柑橘系の香りは、感情や空気をまとう感覚に近い心地の良い一本。日常と非日常の境界を、軽やかに越えながら安らぎを与えてくれる。

 


 

VIA PIAVE 33

<VIA PIAVE 33(ヴィア ピアーヴェ トレンタトレ)>はイタリア・ミラノを拠点に、アートプロジェクトとして誕生したライフスタイルブランド。衣服、アクセサリー、ボディケア製品、家具まで幅広いアイテムを通じて、“身体・精神・魂”の調和を目指す新たなライフスタイルを提案している。過剰な情報やスピードに満ちた現代社会において、「時間」こそが真のラクグジュアリー であるという考えのもと、伝統とテクノロジーの融合を追求、ファーストプロジェクトとして発表された“デジタル・ピューリフィケーション・キット”に始まり、現在ではサステナブルかつタイムレスなワードローブの展開へと発展している。

Instagramはこちら!
@viapiave33

  • Edit : Miwa Sato(QUI)

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