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QUI編集部が注目するファッション新興勢力|Eirinn Hayhow(エイリン・ヘイハウ)

Jan 25, 2024
ファッショントレンドの行方を見極めるならパリやミラノのコレクションのチェックは必須だが、常にまだ見ぬ才能との出会いを求めるQUI編集部が熱い視線を注いでいるのがロンドン、コペンハーゲン、ベルリンなどで開催されている新興勢力ともいえるコレクション。

QUI編集部が注目するファッション新興勢力|Eirinn Hayhow(エイリン・ヘイハウ)

Jan 25, 2024 - FASHION
ファッショントレンドの行方を見極めるならパリやミラノのコレクションのチェックは必須だが、常にまだ見ぬ才能との出会いを求めるQUI編集部が熱い視線を注いでいるのがロンドン、コペンハーゲン、ベルリンなどで開催されている新興勢力ともいえるコレクション。

今回取り上げるのは「ロンドン徒然日記」で現地のコレクションを訪れたエディターが真っ先にレポートを送ってきた<Eirinn Hayhow(エイリン・ヘイハウ)>。
日本のメディアに登場することが貴重ということもあり、デザイナーとしての考えなどからじっくりとお話を聞いた。

—Eirinn Hayhowのブランドコンセプトについて教えてください。

私が野生の植物、ハーブ、樹皮の採集を探求しているのは、自然界とそのシンクロパターンは深くつながっていると考えているからです。儀式や漢方薬のために天然資源を採集することは古代から行われてきたことで、人間の身体と心に関わる自然の力を意識した文化的慣習でもありました。私は、植物や樹木から発せられる心理的なエネルギー波の潜在的な周波数と、これらの自然の周波数がいかに私たちの心とシンクロしているかに常に魅了され続けています。癒しの力を持った衣服で、私たちの心の危機を救いたいと考えています。

—デザイナーとしてのインスピレーションは主にどこから得ていますか?

主に植物に見られる色や質感、そして植物がもたらす癒しの魔法にインスピレーションを受けています。菌糸のネットワークやウッドワイドウェブ(地下にびっしり張り巡らされた植物の根)のような自然界の機能を、インターネットを通じたコミュニケーションとも直感的に比較しています。私は民俗的、超現実的、幻想的な物語が好きで、それらを科学に基づいた事実や哲学的な考えと組み合わせています。

—ご自身で収集した植物や樹皮などから染料を作っていると聞きましたが、自然とのつながりにフォーカスしたのはどのような経緯からですか?

私は都会も好きですが、現在は都会から離れたところに住んでいて、そこは鬱蒼とした森や海辺に囲まれた場所です。不安や不眠症に悩まさたことがきっかけで、私は古代の薬草学から知恵を得たり、植物の特性を研究したりしながら、これらの病状に役立つ植物やハーブの実験するようになりました。地元で採れるもの、栽培できるものを使って、どんな色を抽出できるか、それが自然染料を作り始めた始まりです。

—廃棄されるコーヒー豆からレザーを生み出してもいますが、革新的な素材開発に取り組もうと思ったきっかけはなんでしょうか?

人工繊維や合成染料には化学物質がたくさん含まれていますし、材料となる動物の扱いはときに残酷です。私たちの身体に良い影響を与える植物や食品廃棄物を使い、ヴィーガンレザーやバイオマテリアルに変えることが私の意図でした。

最近では私が集めて染料にした植物、樹皮、花、そして染料風呂の廃水を再利用しています。素材からあらゆる可能性を引き出した植物レザーには、私の薬草学と古代の知恵の研究から学んだ、植物や樹皮から得られる特定の治癒力が注入されています。私のコレクション「INTO THE MYSTIC」では、植物レザーのパファーに、抗不安作用のある乾燥草、ラベンダー、バレリアンの根を詰めました。

—デザインとして新しいこと、さらにサステナブルであること、これらを両立させるために意識していることは?

自然の廃棄物、採集した植物、持続可能な方法で調達した繊維のみを使用してコレクションを作ること、素材科学と古代の方法を用いて革新的な素材を生み出すことです。

24SSコレクションの「INTO THE MYSTIC」というテーマに込めた想いを教えてください。

「INTO THE MYSTIC」は私たちが自然界に自分自身を取り戻し、生態系や菌糸ネットワークとつながるオルタナティブな未来を表現しています。


私が思い描くポジティブな世界の一部として、植物やキノコ、自然素材から作られたオーガニックな彫刻の中で、実験的なパフォーマンスを創りたいと思ったのがきっかけです。モデルの動きは彼女たち自身の不安を表現しており、パフォーマンスでは彼女たちの動きと衣服の植物の構成がそれを助け、克服していく様を描いています。

—24SSコレクションを象徴とするルックはどれでしょうか。その理由は?

間違いなくパファーコートです。作るのに1年近くの歳月がかかりました。

父の芝生で採れた乾燥草、ラベンダー、バレリアンを詰め、パッチワークは地元で採れた染料風呂の廃棄植物によるものです。サンザシ、カモミール、オークバーク、イラクサ、ツタなど、それぞれのパッチは24時間かけて作られているんですよ!

—ロンドンファッションウィークでの反響、反応はどうでしたか?

ロンドンファッションウィークに出展できたこと、そしてBFCにサポートしてもらえたことをとても幸運に思っています。私の作品は型にはまったものでもなく、従来のものとはかけ離れています。しかし、植物をベースにした素材は未来のものであり、それを認めてもらえたことをとてもうれしく、感謝しています。

—クリエイターとして、ブランドとして描いているこれからのビジョンについて教えてください

今年はバイオマテリアルとそれが人体に与える影響についてもっと研究していくつもりです。また世界の他の地域、特に日本でショーケースを開きたい。仕入れ先も増やしたいですし、やりたいことはたくさん浮かんでいます。

—日本や新たな地域に向けて伝えたいメッセージはありますか?

日本はとても好きなエリアなので、近いうちに必ず訪問したいと思っています。

2024SSコレクションはこちら

公式サイト:https://www.eirinnhayhow.co.uk/
公式ECサイト:https://www.eirinnhayhow.co.uk/shop

  • text : Akinori Mukaino
  • translation : Tetsu Charles Kawamoto
  • interview & edit : Yusuke Soejima

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