リトリートのススメ「八百熊川」- QUI編集部シャルルのホテル体験記
自分自身に意識を向けゆったりとした時間を過ごす"リトリート”にぴったりな施設をQUI編集部シャルルがご紹介。
今回はいつもの洋風な感じではなく、古民家でのステイを皆さんに共有します。
4月の中頃、桜もまだちらほら残っており春の風が心地よいそんな日。
福井県若狭町にある鯖街道の宿場町、「熊川宿」を訪れました。
福井県小浜市から京都への道を「鯖街道」と呼び、ハイキングやウォーキングなどを楽しむ方はご存知ではないでしょうか?その昔は奈良・京都の皇室に食材を贈り届けるだけでなく、様々な物資や人、文化を運んだ交流の道としても知られている有名な歴史あるスポットです。
今回は、家族を連れて京都からその小浜市方面に車を走らせて向かいます。
道中、満開の桜並木を横目にツーリングの方々で溢れる小道沿いにあるお蕎麦屋さん「永昌庵」に寄り道。
12時前に入店したのですが、12時を過ぎると満席。お蕎麦も無くなり次第終了するという名店のようです。
ロケーションも素晴らしく、目の前には桜の木と安曇川がとても綺麗でゆっくりとした時間が流れます。私は大好きなとろろそばをオーダー。
とってもお出汁が美味しいお蕎麦屋さんでした。
途中の道の駅で、地元の食材や地酒、お酒のあてを買うのも旅の醍醐味。
あれやこれやと言いながらたくさん購入して向かいました。
私のお気に入りはこのみかんビール「914」とささ漬。相性抜群です。
実はこのペアはドラマの「居酒屋新幹線」の北陸編でも紹介されていて、見つけた瞬間速攻で手に取りました。
鯖街道前の道の駅を越えるといきなり、歴史ある風情ある街並みが登場。
もし「八百熊川」に向かわれる方は、この道の駅から歩いて進むことを強くお勧めします。
タイムスリップしたかのような宿場町はとても美しく、魅力にあふれています。
そんな宿場町を進むと、今回お世話になる「八百熊川」が見えてきました。
ここ「八百熊川」には4つの宿泊施設があり、すべて1棟貸として自分たちだけの暮らすような生活を送ることができます。
私は今回、その中の「やまね」に宿泊をさせていただきます。もともとは土蔵だったというこちらの建物を活かした静かなお部屋で巣ごもり時間を過ごさせていただきます。
お部屋は1階がリビングルームにキッチン、バスルームと生活スペースになっており、2階が寝室という造り。とってもシンプルながらにも暖かさと温もりあふれる、昔ながらの雰囲気もあちこちに散りばめられた最大5名まで宿泊できる一番大きなお部屋です。
お宿では自転車を借りることもできます。(※日によっては貸し出せない日もあるみたいです。)
今回、平日に訪れたのですが周辺のお店は週末営業のみのお店ばかりだったので驚きでした。道の駅を越えると鯖街道沿いのお店はご近所さん同士のお話の場になっていたり、井戸端会議が開かれていたり、平日なのにゆったりした雰囲気です。
周辺も自転車だと20分もあれば回れる、短く儚い鯖街道。
ただそんな短く儚い鯖街道には、たくさんの魅力が詰まっています。
そんな自転車ツアーを終えて、お部屋に戻ります。
今回この「やまね」で一番のお気に入りだったのが、このお宿の玄関と目の前の小さなお庭。玄関前で座って眺める景色は他のお宿ではなかった新しい感覚でした。そんな景色を前に、ぼーっとしていると辺りはすっかり夜に。
このお宿にはとっても素晴らしいもう一つの体験がありました。
それはこの鯖街道に実際にお住まいの地元のお母様方による夜ご飯の提供です。
実際にお部屋までお越しいただき、鯖街道近郊の特産物やおかず、土鍋ご飯など彩り豊かな「おかん飯」がテーブルを彩ります。
どれもとっても美味しくて、優しくて、心が温まるお味。
自分たちで作ったり、豪華なレストランや会席もいいけど、このような食体験も素晴らしいものです。
備え付けの小鉢や食器もとっても可愛かったです。
そんな素敵な夕食をいただき、暖炉を前に家族で団欒。そうして夜も更けていきました。
翌朝、起きるとまず広いお風呂でゆったりし、朝食を摂ります。
チェックアウトは11時なので、朝もバタバタすることもなく余裕を持って過ごせます。
朝食は前日の夜に地元のお母様達が冷蔵庫に準備してくださっていたものをいただきます。丁寧にご説明いただいた通りに土鍋でご飯をたき、たくさんの副菜と共に健康的で伝統的な朝食をいただきました。
やっぱり土鍋で炊くご飯は別格ですね。とっても美味しかったです。
今回のお宿はいつもと違って、自分たちだけの空間ではありつつも、地元の人にも触れ、たくさんのおもてなしを受けた滞在でした。
その昔、鯖街道で休息をとった商人達もきっとこの街の温かさや人情に癒されてはまた様々な場所へと出向いていったんだと思います。
自分たちだけの空間もいいけれど、その土地ならではの文化や食、人情に触れる、知る、体験することを感じながらもリトリートできるそんな「八百熊川」に是非。
きっと違った体験と、タイムスリップしたような非現実的な体験もできる一味変わったステイを体験できるはずです。また、この鯖街道を訪れてみようと思います。
about 八百熊川
その土地と生きていく
冬は厳しく日照時間は短い。地元に大きな産業はない。
経済的に豊かではない福井県若狭地方。 ただ、ここには山と海の恵み、四季折々の自然、
厳しい環境を乗り越えるために先人たちが築いた文化がありました。
その文化や資源を後世に残したい。
ただ、そのままでは現代にフィットしないこともあります。
例えば、古民家を宿泊施設として再生する。
地元に伝わる食材を新しい解釈で調理する。
その土地の自然文化を体感できるプログラムをつくる。
そこにある価値を再発見し、新しい経済を生み出す。
地元に雇用をもたらし、その土地の人たちが輝ける場所をつくる。
訪れる人や関わる人を増やし、地域に潤いをもたらす。
その土地と生きていけるようにする。
それが私たちの思いです。
〒919-1532 福井県三方上中郡若狭町熊川 30-6-1(シェアオフィス&スペース菱屋内)
E-mail:info@yao-kumagawa.com
受付時間 9:00~17:00(日曜・祝日除く)