Live a lie — starring Ruka Ishikawa
うつしだされたのは、嘘か真か。
blouson ¥56,100・pants ¥30,800 / muller of yoshiokubo(muller of yoshiokubo 03-3794-4037)、sandals ¥24,200 / BOHONOMAD(Quorinest 03-6427-1977)、earring stylist own
Interview with Ruka Ishikawa
— 映画『猿楽町で会いましょう』では、金子大地さん演じるフォトグラファーの小山田に撮影されるシーンがたくさんありましたが、撮られることや見られることで緊張することはありませんか?
めっちゃします。プライベートだと本当に苦手です。どんな顔をすればいいのか全然分からなくて……。
— それはお仕事でも?
いえ、映画とかで撮られることは楽しくて好きなんです。今日の(QUIの)撮影も天気がよくてテンションが上がりました。
— よかったです。石川さんが今作で演じた読者モデルのユカは、めちゃくちゃ嘘つきな女の子でしたね。
はい(笑)。
— そんなユカに対して共感はできましたか?
最初に脚本をもらったとき、まったくユカの物語が理解できなくて……。彼女がなんでそんな嘘をつくのか、なんでそんな行動をとるのか。それで、まずユカ自身と向きあおうと思って。
— ユカ自身とは?
存在というか。(ユカのような人間は)嫌いと突き放すのではなく、彼女の言動の理由を理解しようと。
— なるほど。ユカと石川さんで似ているところはありますか?
自分の勘を疑わないところでしょうか。あと完成した作品を観て、空気感は似ているかなと思いました。わたし、「よくわかんない人」って言われるんですよね。ユカもよくわかんない人の嫌われがちなタイプ。そんな気がします。
— つかみ所がないような。
そう。よく言われます。
— 『猿楽町で会いましょう』は今作の前にまず予告編が制作され、その作品が「第2回未完成映画祭予告編大賞」のグランプリを受賞したことで映画化されました。石川さんはその予告編から続投で今作にも出演されていますが、児山隆監督は石川さんの「つかみ所のなさ」にユカとの共通点を見出したのかもしれませんね。
いや、監督はなんだかんだわたしのことはつかんでいると思いますよ(笑)。わたしは予告編を撮ったころはまだ自分の作品がなくて、でも芸能活動はしたい、Instagramでなんかしなきゃって、よくストーリーズを投稿していたんですよ。
— ユカと似ていますね。
そうなんです。それでInstagramのDMで監督から声をかけていただきました。当時撮影した写真を劇中でも使っていただいたりしています。
— それはリアリティがありますね。ユカを演じるにあたって、児山監督から演出やリクエストはありましたか?
それがぜんぜんなくて。撮影前に脚本を読んで、監督に「ユカが分かんないです」って言っちゃったんですよね。でも監督は「なんでだろうね」って言うだけで絶対に答えはくれない。映画の撮影中も現場はわきあいあいと楽しい雰囲気なんですが、わたしは最終的にいい映画にならなかったら意味がないと感じていました。
— 意味がないというのは?
やっぱり監督が恐くて。わたしは作品がよくなかったら終わりだって思ったから、映画が完成するまでは監督と話もできなかったです。撮影がクランクアップして花束をいただいたときも(役が)取れず、それが現実だか映画だか分からなくて、監督と握手もできなかったぐらい……。いまは監督とも超仲良しです。おもしろい人ですよ(笑)。
— いい映画が完成してよかったです(笑)。役にはすんなり入れましたか?
それまでと違ってすっからかんで現場に行ったんですよ。あんまりユカが自分のことを分かりすぎてちゃいけない。裸みたいな状態で行って、まわりからたくさん刺激を受けて、それでもよく分かんないっていうのがユカだなと思って。その体験がすごく新鮮でした。
— 石川さん自身も嘘をつくことはありますか?
あります、あります。嘘にもいろんな種類があると思うんですが、わたしは自分が思っていることを100%そのまま伝える技術がなくて。うまく言おうとしたり、よく思われようとしたり、だれかを傷つけないようにと考えたりすると言葉に嘘が混じってしまうんです。
— 意図せずして。
それであとで「嘘です、もうちょっとこう思っていました」って正せる相手ならいいんですけど、初対面だと(猫を)かぶってるかもしれない(笑)。
— 演じることもある種の嘘だとは感じませんか?
わたしは逆で、普段この世界で嘘をつかなきゃ生きていけないとしても、映画の中では嘘という感覚がないんです。映画となるとわたしは「本当」をやりたくなります。嘘をついている姿が本当だから……ややこしいですけど(笑)。だから映画が好きなんです。
— ではけっこう役に入り込むタイプですか?
入り込みたいです。役になりたいですね。
— どんな役者になりたいという目標はありますか?
あんまりないです。でもずっと同じまんまでいる人はつまんないし、つまんないって言われるのが一番嫌だから変わっていきたいとは思います。
— 今作の撮影は約2年前とのことですが、映画の中の石川さん自身を観て「変わったな」と思いますか?
自分としては変わりました。もちろんいま観ると思うところはありますけど、このころにしかできない演技で、この作品を作りあげた自分を尊敬しています。
— そう思えるのは最高ですね。演じることは楽しいですか?
楽しいです。生きた心地がします。
— 生きた心地?
「ああ、生きてる」って。撮影に入ると元気が出るんです。
— では撮影のない日、オフは何をしているんですか?
本を読んでいます。図書館にいます。本を読むようになったのは最近なんですけど。演技を始めたてのころに大人から理屈とか知識とかで物言われるのがすごく嫌な時期があって、「そこに感情はあるの?」とか偉そうにも思っていたんです。いまはそんなことないですよ(笑)。
それでわたしは知識を入れるのをやめたんです。そしたら生きることがつまんなくなっちゃって。したいこともなんにもなくなって、退屈で。それから本を読み始めました。そうしたらすごくおもしろくて。
— けっこう読みますか?
そうですね。1日1冊は読もうって。
— めちゃくちゃ読んでますね。
本ってめちゃくちゃあるから。わたしは読書を始めたのが遅すぎて、でも読みたい本はいっぱいあるから追いつかなきゃって。
— どういった本を読んでいるんですか?
読んでいる本は全部小説です。わたしの読書は村上春樹さんから入っていて、村上さんは海外文学の翻訳もたくさんされているので次にそれを読んでというふうにどんどんと。
— 読み応えのある本も多いですよね。
はい。1冊読み終わると放心状態。それで1日が終わっちゃいます。
— 石川さん自身も文章を書くのは好きですか?
好きです。わたしは文章を書くことでしか頭を回せなくて。そういうときに書いたりします。
— いつかその文章も読んでみたいですね。では話を映画に戻して、最後に『猿楽町で会いましょう』の見どころをお聞かせください。
ストーリーもおもしろいですし、本当に最初から最後まで楽しめる作品だと思います。そしてわたしが演じたユカみたいな役って、他にあんまりないと思っていて。本当にすばらしい役だなって思っています。それがどこまで届くか楽しみです。
Profile _ 石川瑠華(いしかわ・るか)
1997年3月22日生、埼玉県出身。17年から女優としての活動を開始。池松壮亮らが特別出演した「絶景探偵。SP」(19/福島中央テレビ)ではヒロインを好演。また、磯村勇斗主演の舞台「hammer & hummingbird」(18/脚本・演出:濱田真和)への出演のほか、ゆず「イコール」(18)、井上苑子「踏み出す一歩が僕になる」(18)、Aimer 「We Two」(19)など多くのMVに出演。近年の主な映画出演作は、『イソップの思うツボ』(19/上田慎一郎、浅沼直也、中泉裕矢監督)、『ビート・パー・MIZU』(19/富田未来監督)、『左様なら』(19/石橋夕帆監督)、『Shell and joint』(19/平林勇監督)など。2020年8月ドラマ「13」では、初連ドラにて主人公の妹・千帆役を好演。他、4月23日公開「stay」にも出演している。今後は『うみべの女の子』(8月20日公開)など主演映画を含む5本の映画が公開待機中。
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Information
石川瑠華さん出演映画『猿楽町で会いましょう』
2021年6月4日(金)より、渋谷ホワイトシネクイント、シネ・リーブル池袋 他 全国順次ロードショー
「その嘘は、本当ですか?」1枚の写真が2人の運命を大きく変える。
監督・脚本:児山隆
出演:金子大地、石川瑠華 他
©️2019オフィスクレッシェンド
- Model : Ruka Ishikawa(Sony Music Artists)
- Photography : Takahiro Idenoshita
- Styling : Maki Iwabuchi
- Hair&Make-up : Chika Horikawa
- Art Direction : Kazuaki Hayashi(QUI / STUDIO UNI)
- Edit&Text : Yusuke Takayama(QUI / STUDIO UNI)