アートギャラリーが“今注目”のアーティストを紹介 │ Bunkamura Gallery 8/
今回は、Bunkamura Gallery マネージャーの渡貫 彩さんに聞きました。
Bunkamura休館(オーチャードホールを除く)に伴い、Bunkamura Galleryは2023年6月10日(土)より渋谷ヒカリエ8階にて「Bunkamura Gallery 8/」をオープン。
大きなガラス面で囲われた開放的なホワイトキューブは、開店当初からのコンセプトである“オープンな空間でアートとの新たな出会いや接点をつくる”ことを、今まで以上に体験できるギャラリーとなっている。会場内は自由自在なレイアウトが出来るキャスター付きのボックス型可動壁で、あらゆるタイプの作品に対応した展示を構成。展覧会ごとに変容する空間は、さまざまな視点と観点に気付かせてくれるでしょう。
奥村 彰一(おくむら・しょういち)
1989年、北京生まれ、東京出身。多摩美術大学日本画在学中に中国へ留学し、中国画の技法を学ぶ。近年は主に桃源郷世界をテーマとした日本画の作品を制作。色彩豊かな作品群は、日本画の素材を用いながら北宋山水や曼荼羅などからも強く影響を受けている。2017年「Art Award Tokyo 丸の内 2017 フランス大使館賞/今村有策賞/丸の内賞」受賞、2018年「第9回アダチUKIYOE大賞 優秀賞」受賞等。
奥村彰一「爽涼ロードレーサー」
〈注目ポイント〉
トロピカルな色彩で描かれる桃源郷世界は、日本画にあまり触れてこなかった若い世代も含め、幅広い層の方の目を惹きます。現代的でポップな構成でありながら、伝統的な技法もふんだんに取り込んだ作品群。日本画と中国画の伝統的な技法を組み合わせているという文化のミックスも魅力的です。特に見どころは中国の北宋山水や入れ籠状の曼陀羅から着想を得た点景と呼ばれる小さな風景。作品の中に散りばめられた大小混じり合う風景が何層にも渡る多元的な世界を表現し、作品の奥行をぐっと深めます。コントラストを生かした色彩と浮遊感の漂う構図は、まさにユートピアを目の当たりにしたような夢見心地な世界へと誘います。
高嶋 英男(たかしま・ひでお)
1981年、東京生まれ。2012年多摩美術大学大学院美術研究科工芸専攻修了。2014年東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。日本画、工芸、彫刻と多岐に渡る分野を専門的に学び、ユニークな立体作品を制作。代表作は頭部が空壺となっている人物や動物の形をした陶器作品。2010年「岡本太郎現代芸術大賞」入選、2019年府中市美術館にて個展「からっぽに満たされる」開催等。
高嶋英男「空壺の女の子」
〈注目ポイント〉
頭部が空壺の陶器作品をはじめ、鰹節を削って作られる鰹節彫刻など、どこかユーモラスな作品を制作しています。特に空壺シリーズを初めて見たときは、その印象的な作品の姿が深く記憶に残りました。本来ならば顔がある箇所にぽっかりと空いた丸い空洞。その奥の暗闇の中の流動的な揺らぎが作品全体の存在感にも表れます。観る者は暗闇の中に見えるはずのない表情を探し、その中に吸い込まれるように作品とコミュニケーションを取ることができるのです。一見すると異形とも見てとれる姿でありながら、その暗闇の中に自分自身の心が投影されるかのように、どこか温かい愛着を感じさせます。
今回ご紹介いただいたのは・・・
Bunkamura Gallery マネージャー
渡貫 彩さん
神奈川県藤沢市生まれ。アメリカへ留学後、NY、ブルックリンのギャラリーやMoMAでインターンシップを経験。Bunkamura Galleryで10年勤務し、現在マネジャーを務める。
Bunkamura Gallery 8/
Webサイト
Twitter
Instagram
住所:〒150-8510 東京都渋谷区渋谷2丁目21−1 8階
【展示情報】
「1+1 奥村彰一+高嶋英男」
会期|2023/8/19(土)~9/3(日) 会期中無休・入場無料
会場|Bunkamura Gallery 8/ (渋谷ヒカリエ8F)
営業時間|11:00~20:00
出展作家|奥村彰一、高嶋英男
- Edit : Seiko Inomata(QUI)