世界が注目する岡山のデニム技術。いま穿きたい7本
<Rick Owens(リック オウエンス)>のディフュージョンライン<DRKSHDW(ダークシャドウ)>で、2026年秋冬コレクション「TOWER」に登場したデニムパンツ「STROBE」。使われている16ozのブラックセルヴィッジデニムは、岡山県井原市の山足織物がヴィンテージの坂本式シャトル織機で織り上げたものだ。経糸、緯糸ともにブラックで、ローライズのワイドシルエットに厚手の生地を合わせている。
Maison Kitsuné × KURO 第二弾コラボレーションコレクション
岡山のデニムを選ぶ海外ブランドはほかにもある。直近では<Maison Kitsuné(メゾン キツネ)>と<KURO(クロ)>が再び協業し、「パリと岡山」をつなぐカプセルコレクションを発表。児島のセルヴィッジデニムや岡山のインディゴ文化を背景に、デニムジャケットやパンツを展開した。
井原には旧式の織機を使う機屋があり、児島周辺には縫製や染色、洗い、加工を担う工場が集まる。一本のジーンズでも、生地を織る場所と加工する場所が異なり、それぞれの工程に専門的な技術がある。生地の質感や穿き心地、色落ちの表情まで、岡山のものづくりはさまざまな工程に関わっている。
バギーやワイドに加え、腿から裾までまっすぐ落ちるストレートや、腰まわりをすっきり見せる形が揃う今季。色もリジッドに近い濃紺、フェードしたブルー、ブラックまで幅広い。最初から完成された色落ちを選ぶのか、濃い色から自分で育てていくのか。生地や加工、シルエットの違いも含めて楽しめる7本を紹介する。
岡山の生地と加工技術を生かす、デザイナーズデニム
T.T — 旧式力織機で織る、深いインディゴの程よいワイドシルエット

生地には米国産オーガニックコットンを使用し、岡山の旧式力織機で時間をかけて織り上げている。ゆっくりと織ることで糸そのものの凹凸が生地に残り、穿き込むほど表面の陰影も深まっていく。経糸には硫化染料を混ぜたインディゴを使い、わずかにグリーンを含んだ深い色合いに仕上げている。
腰まわりから裾までしっかりと幅を持たせたシルエットは、生地の表情を生かしながらゆったりとしたフォルムを描く。シャツやテーラードジャケット、ロングコートなど端正なトップスを合わせると、ワークウェアの背景を持つ生地と都会的なスタイリングのバランスが取りやすい。
<T.T>
LOT.702 DENIM TROUSERS – RAW INDIGO
¥42,900
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SUGARHILL — 岡山のフェード加工が生む、奥行きのあるブルーデニム
<SUGARHILL(シュガーヒル)>の2026年秋冬「FADED MODERN DENIM PANTS STRAIGHT CUT」は、長年穿き込んだような色落ちと、すっきりとしたストレートシルエットを組み合わせた一本。生地にはクロキ社製のオリジナルデニムを使用し、岡山でフェード加工を施している。全体を明るいブルーに色落ちさせながら、腿や膝、ポケットまわりには自然な濃淡を残し、ヴィンテージデニムを思わせる奥行きのある表情に仕上げている。
腿から裾まで自然に落ちるストレートカットは、すっきりとしたラインが特徴。オリジナルのアイアンボタンや銅製リベット、レザーパッチなど、細部にもブランドのこだわりが見える。黒のニットやレザージャケットを合わせれば、明るくフェードしたブルーとのコントラストが際立つ。岡山の加工技術による色落ちの表情を楽しみながら、穿き込むほどに生地が体に馴染んでいく一本だ。
<SUGARHILL>
FADED MODERN DENIM PANTS STRAIGHT CUT – FADED INDIGO
¥71,500
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TANAKA — 岡山の職人が仕上げる、トラウザーのようなセルビッチデニム


<TANAKA>のシグネチャー「THE JEAN TROUSERS」は、デニムにスラックスのディテールを取り入れた一本。深めの股上とワイドレッグをベースに、フロントのホック、すっきりとしたウエスト、バックヨークとダーツを組み合わせることで、端正な見え方に整えている。生地にはカイハラ社製の日本製リサイクルセルヴィッジデニムを使用。VINTAGE BLUEは、長く穿き込んだような色合いを岡山の工場で職人が一点ずつ加工して仕上げている。
腿から膝にかけて淡く抜けたブルーと、アップデートされた腰まわりのデザインが特徴。シャツやテーラードジャケットに革靴を合わせれば、色落ちしたデニムをトラウザーの延長として取り入れられる。
<TANAKA>
THE JEAN TROUSERS – VINTAGE BLUE
¥47,300
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岡山のものづくりを受け継ぐ、長く穿きたいスタンダード
CIOTA — スビンコットンで織る、しなやかなバギーデニム
<CIOTA(シオタ)>は、岡山に本拠を置く縫製工場・生地製造会社から生まれたブランド。原料選びから生地開発、製織、縫製までを自社で手掛ける生産背景を持つ。「Baggy 5 Pocket Pants」は、1990年代のルーズフィットジーンズをベースに、深めの股上と長めの股下で再構築した一本。生地には旧式力織機で織り上げた13.5ozのオリジナルセルヴィッジデニムを使用し、緯糸には繊維が細く長いスビンコットンを使っている。整理加工を施していない生機デニムを採用することで、糸の凹凸やデニム本来の風合いを残しながら、スビンコットンならではのなめらかな肌触りとしなやかさを持たせている。
腰まわりから裾までしっかりと幅を取ったバギーシルエットは、スニーカーで裾を溜めても、革靴で引き締めても収まりがいい。太さを楽しみながら、生地の上品さも欲しいときに選びたい。
<CIOTA>
Baggy 5 Pocket Pants
¥35,200
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KURO — 猪原織物が織る、濃紺のセルヴィッジストレート
2010年に東京で誕生し、岡山の職人技をものづくりの核に据えてきた<KURO>。濃いインディゴから自分の色をつくっていくなら、定番の「CARVER O/W」に注目したい。生地には、岡山県の老舗機屋・猪原織物が手掛ける12.5ozのセルヴィッジデニムを使用。旧式シャトル織機でゆっくりと織り上げ、経糸にはロープ染色したインディゴ糸を使っている。ムラ糸による細かな凹凸もあり、着用を重ねるにつれて色の濃淡が少しずつ表れていく。
腰まわりにほどよいゆとりを持たせ、腿から裾まで自然に落ちるスタンダードストレート。白いシャツや黒のジャケット、革靴と合わせれば、ワンウォッシュの深い紺色が引き立つ。最初の濃い色から数年かけて変化させたい一本だ。
<KURO>
CARVER O/W
¥26,400
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FULLCOUNT — ブラックセルヴィッジで仕立てる、色落ちを楽しむワイドデニム
1993年に大阪で創業し、岡山の生地づくりと深く関わってきた<FULLCOUNT(フルカウント)>。インディゴとは違う経年変化を楽しみたいなら、「0105BK Wide Black Selvedge Denim」に注目したい。13.7ozのオリジナルセルヴィッジデニムにはジンバブエコットンを使用。岡山の旧式力織機による生地づくりを背景に、綿本来の風合いと穿き心地を生かしている。ロープ染色したブラックは、穿き込むにつれて黒からチャコール、グレーへと変化し、腿や膝、ポケットの縁など動きや摩擦の多い場所から少しずつ色が抜けていく。
シルエットはブランド定番の0105をベースにしたワイド型。黒のジャケットやチャコールのニットを合わせれば、色の濃淡でまとめたワントーンにも使いやすい。最初は深い黒を楽しみ、その先の色まで見ながら穿きたい一本だ。
<FULLCOUNT>
0105BK Wide Black Selvedge Denim
¥37,180
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MOMOTARO JEANS — 特濃インディゴで仕立てる、端正なスタンダードストレート
最後は、岡山・児島で生まれた<MOMOTARO JEANS(モモタロウジーンズ)>の「#100 STANDARD STRAIGHT 14.7oz」。ブランドを象徴する「特濃‐TOKUNO BLUE」と呼ばれる深いインディゴを使った日本製の一本だ。経糸の色を際立たせるため、緯糸には細い糸を選定。生地の構成にも工夫を凝らし、リジッドならではの風合いと深い色合いに仕上げている。洗濯後の縮みを抑える加工も施されており、最初は張りのある生地も、穿いて洗うことを繰り返すうちにやわらかくなり、腿や膝裏、ポケットまわりに少しずつ色落ちが現れる。
シルエットは腿にほどよい余裕があり、膝下から裾へ緩やかにテーパード。股上もやや深めで、Tシャツからジャケットまで合わせやすい。濃紺のまま穿き始めて、自分の動きに沿った皺と色を残していく。一本をじっくり育ててみたい人に選びたいスタンダードだ。
<MOMOTARO JEANS>
#100 STANDARD STRAIGHT 14.7oz – TOKUNO BLUE
¥36,300
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7本を見比べると、岡山の生地づくりや加工技術が生むデニムの幅広さが見えてくる。
旧式の織機で生まれる生地の凹凸、職人が加工でつくり込む色落ち、穿き込むほどに変化するインディゴやブラック。最初からフェードした表情を楽しむのか、濃い色から自分で育てていくのか。一本ごとに、付き合い方も変わってくる。
ワイドを選ぶのか、今改めて気になるストレートを選ぶのか。今のスタイルに合う形を選び、その先の色や質感まで想像する。長く穿くことを前提にすると、一本のジーンズを見る楽しみも広がっていく。
次の一本を探すなら、シルエットや色に加えて、そのデニムがどこで、どのようにつくられているのかにも目を向けたい。つくりの背景を知ることが、長く穿き続けたい一本との出会いにつながっていく。
- Edit & Text : Yukako Musha(QUI)









