ReStyle30周年|お手本に倣うのではなく自分らしさを映すウェディングドレスを
すべての日常はその人にとっての人生であるという捉え方
—「ReStyle」が30周年のテーマにした「ライフスタイリング」は、デザイナーズファッションを日常とつなげていきたいという想いが込められていると聞いています。
奥田:そうです。
—30周年記念として取り上げるウェディングドレスは「日常」とは遠い気がするのですが、本企画で提案したかったことはなんでしょうか。
奥田:「お客さまのすべての日常に寄り添いたい」というのが「ReStyle」としての「ライフスタイリング」です。すべての日常というのは「人生」であり、その人生において最もハレの日であるウェディングのスタイリングにデザイナーズブランドらしいアプローチを届けたいと考えました。
—そのウェディングドレス企画は3ブランドとの取り組みで、9月と12月で展開時期もずらしています。ドレスのお披露目を一度にしなかったのは理由があるのでしょうか。
奥田:近年はファッションの多様化と言われていますが、それはウェディングシーンでも同じように感じます。ドレスのデザインも自分の好みを優先していいし、挙式もかしこまった場所である必要もない。今回のドレスはブランドによって雰囲気も異なり、世界観もひとつではありません。なので、お客さまにはそれぞれのブランドごとのアプローチに触れてほしかったんです。
※<SUPER YAYA>のポップアップは2026年9月に終了。<Cecilie Bahnsen>は2026年12月に開催予定。<Mame Kurogouchi>のドレス販売については伊勢丹新宿店 本館3階 リ・スタイルまでお問い合わせください。

Cecilie Bahnsen
—3ブランドが同時に集うほうが企画としてのインパクトもありそうですが。
奥田:かつてはジューンブライドというのもありましたが、今は特定のシーズンにウェディングが集中するかといわれたらそんなこともないと思うんです。なのでいろんな時期に「ReStyle」が提案するウェディングドレスと出会ってほしいと思いました。
—それぞれのブランドでどのようなドレスが展開されるのでしょうか。
奥田:<Mame Kurogouchi>は3着展開で、すべて伊勢丹新宿店限定の一点物です。<SUPER YAYA>と<Cecilie Bahnsen>はブランドとしてブライダルコレクションを展開しているのですが、それらのドレスを集約させているショップが日本にないので特別企画として「ReStyle」で一堂にご紹介したいと声をかけました。

Mame Kurogouchi
—<SUPER YAYA>と<Cecilie Bahnsen>はコレクションラインの既成ドレスになるのでしょうか。
奥田:どちらのブランドもメイドトゥオーダーなので既成といっても特別感はもちろんあります。<SUPER YAYA>も<Cecilie Bahnsen>もコーディネートやレイヤードによっては普段使いもできそうなデザインが揃っているのが特徴です。

SUPER YAYA
—ウェディングコレクションを通常展開していない<Mame Kurogouchi>に声をかけたのはどういう理由からですか。
奥田:「ReStyle」でも特にファンが多いブランドのひとつが<Mame Kurogouchi>です。そのブランドと一点物という特別なドレスを作ったらお客さまに喜んでいただけると思いました。<Cecilie Bahnsen>に声をかけたのはブライダルを展開しているという理由だけではなく、拠点としているコペンハーゲンに多くの日本のお客さまが訪れていると聞いたからです。
※<Mame Kurogouchi>は10月28日(水)より、伊勢丹新宿本館3階 インターナショナルデザイナーズにリフレッシュオープンいたします。
—それはウェディングドレスのメイドトゥオーダーが目的なのでしょうか。
奥田:そうみたいです。「<Cecilie Bahnsen>のウェディングドレスを着たい」と思っている方の夢を叶えるお手伝いを日本で「ReStyle」がやれたらと思いました。
—<Mame Kurogouchi>はゼロベースからの作り込みですが、伊勢丹新宿店としてリクエストのようなものを投げかけたのでしょうか。

Mame Kurogouchi

Mame Kurogouchi
奥田:<Mame Kurogouchi>は「ホワイトドレス」をテーマにしています。過去に発表して「ReStyle」でも人気のあったアーカイブのドレスや、27SSコレクションのドレスベースに白で仕上げてもらいました。随所にアレンジもあるのですが、<Mame Kurogouchi>のコレクションを見続けているファンの方であれば見覚えのあるドレスだと感じるはずです。
いちばん好みの装いを自分にとっての正装にしてほしい
—「ReStyle」での店頭の声などからお客さんがウェディングドレスに求めることに変化は感じますか。
奥田:今回とはアプローチは異なるのですが、ウェディングドレスというのは「ReStyle」の25周年でも取り組んだテーマでした。その時にファッションが好きな方ほど、自分が着たいと思えるドレスがないことに悩んでいるということがわかりました。同時に多かったのがせっかく選んだ特別な一着なので出番をウェディングだけで終わらせたくないという声です。
—25周年のときのお客さんの反応や反響が今回につながっているんですね。
奥田:ウェディングドレスを大きく取り上げて、さらにファッションとして提案するには30周年がふさわしいと思いました。<Mame Kurogouchi>もこのタイミングだったからこそ一点物を快諾してくれたと思います。

Mame Kurogouchi
—それぞれのブランドのドレスをファッションとして捉えたときに、どのようなテイストになるのでしょうか。
奥田:個人的な解釈になりますが、<Mame Kurogouchi>は「エレガンス」で<SUPER YAYA>は「ポップ」、<Cecilie Bahnsen>は「フェミニン」というイメージです。自分が日頃から楽しんでいるファッションに近しいテイストのドレスときっと出会えると思います。
—バイヤーとして現代の女性の「特別な日の服選び」にどのような変化を感じていますか。
奥田:デザインが映えるから、装飾性が強いから、それが「特別な一着」というわけではく、その服が特別な一着になるかどうかは個人的なストーリーが大きく関わる時代になっているような気がします。その一着とどこで出会ったか、誰がおすすめをしてくれたか、その服を着た日にどんなことが起こったか。それらによって「その人にとっての特別な一着」になっていくのではないでしょうか。

Cecilie Bahnsen
—ハレの日に袖を通したから特別な服というわけでもなく、その服が生み出してくれるストーリーが大事なんですね。
奥田:「私にとってのベストバイ」のような企画がありますが、そこで挙がるアイテムの多くは「重宝する」、「あると便利」といった機能性やスペック的なことではなく、個人の思い入れで選んでいるんじゃないかなって思います。私だったらそういう選び方をします。
—服選びにおいてストーリーを重視するという声はよく聞きますが、その傾向にも変化はあるのでしょうか。
奥田:これまでは「モノづくりの背景」や「デザイナーの美学」というストーリーに共感して服を選ぶ方が多かったですが、今は意識が個人に向かっています。ブランドが示すストーリーも大切にしながら、それ以上に自分だけのストーリーを生み出してくれる服かどうかが重視されている気がします。

SUPER YAYA
—トレンドがなくなりつつあるとも言われていますが、主観がそれだけ重視されるようになると服選びの正解もひとつではないですね。
奥田:そういう時代なので「ReStyle」でもタテに積み上げるのではなく、ヨコに広げていくような提案を意識しています。今回の企画もそういう考えが根底にあります。これまでは「これが正統派のウェディングドレスです」というお手本のようなものがあって、自分の好みとは関係なく皆さん挙式のために着用していたすはずです。ですがフォーマルのマナーを守れば従来のドレスコードに縛られずに「自分のいちばん好きが自分にとっての正装」でもいいと思うんです。
—今回の企画を通していちばん伝えたかったデザイナーズファッションの魅力とは何でしょうか。
奥田:デザイナーズファッションには装うことでその人のアイデンティティを形成するパワーがあると思っています。誰にでも「自分はこうありたい」というファッション像があるはずで、「ReStyle」としてはその理想像を究極の日常のようなウェディングでも叶えてあげたい。「自分らしさ」という一貫性を最も表現できるのがデザイナーズファッションの魅力だと思っています。
イベント情報
Cecilie Bahnsen POP UP
会期:2026年12月9日(水)~12月15日(火)
会場:伊勢丹新宿店本館3階 センターパーク/ザ・ステージ#3
- Photograph(Mame Kurogouchi) : Kaito Chiba
- Text : Akinori Mukaino(BARK in STYLe)
- Edit : Shun Okabe(QUI)