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NAMACHEKO 2027年春夏コレクション──少年が初めて袖を通す“大人の服”

Jul 6, 2026
2026年6月27日、<NAMACHEKO(ナマチェコ)>がパリ・ファッションウィークで2027年春夏コレクションを発表した。テーマは「A study of garments through time(時を超えて衣服を考察する)」。1950年代の子ども服を起点に、少年が初めて袖を通すジャケットや磨かれた革靴を通して、身体よりも長く残り、受け継がれていく衣服の時間を考察した。

NAMACHEKO 2027年春夏コレクション──少年が初めて袖を通す“大人の服”

Jul 6, 2026 - FASHION
2026年6月27日、<NAMACHEKO(ナマチェコ)>がパリ・ファッションウィークで2027年春夏コレクションを発表した。テーマは「A study of garments through time(時を超えて衣服を考察する)」。1950年代の子ども服を起点に、少年が初めて袖を通すジャケットや磨かれた革靴を通して、身体よりも長く残り、受け継がれていく衣服の時間を考察した。

今季ブランドが着想源にしたのは、1950年代のヨーロッパの子ども服だ。
1950年代のヨーロッパでは、子ども服は現在のようなカジュアルウェアとは異なり、大人の装いをそのまま小さくしたような服が一般的だった。男の子はテーラードジャケットやウールのショートパンツ、磨かれた革靴を身につけ、衣服は社会性や礼儀を学ぶための「最初の制服」としての役割を果たしていた。まだ幼い身体には少し背伸びしたようなその装いは、大人へと成長していく過程を象徴する存在でもあったのだ。

ファーストルックは、まさにその子ども服を現代へ持ち込んだようなスタイリングだった。ピークドラペルで仕立てられたダブルのテーラードジャケットに、膝が隠れる丈のハーフパンツ、ビジネスソックス、磨き上げられたレザーシューズを合わせる。少しワイドな肩幅こそ今季らしいバランスだが、仕立てはあくまで端正であることからブランドらしさを感じる。まだ身体に馴染まないジャケットや革靴に袖を通し、大人の装いを少しずつ覚えていく。その曖昧な時期の空気がコレクション全体を包み込んでいた。

一着の服が用途を変えながら使われていくというブランドの思想を、象徴的に示すアイテムも登場した。正面から見るだけでは気づかないが、アノラックは収納すると小さなウエストポーチへと姿を変える。衣服は完成されたまま存在するのではなく、使われることで役割を変え、時間とともに表情を変えていく。その考え方を、一着のプロダクトとして可視化したようなデザインだった。

あえてセーフティーバックルをあしらったベルトや、白いソックスに<Teva®(テバ )>のサンダルを合わせるスタイリングも印象的だった。緊張感のあるテーラードスタイルに、どこか子どもらしい軽やかさを添え、背伸びと無邪気さが同居する今季の世界観をさりげなく表現している。

カラーパレットは、ディラン・ルー(Dilan LURR)が愛好する1970年代のヴィンテージファニチャーにも通じる、当時の家庭空間で用いられた<FORMICA(フォルミカ)>のプリントに着想を得たものだ。そこには、プレハブ式のシステムキッチンに象徴されるような、デザインが暮らしをより豊かにできると信じられていた時代の楽観主義も重ねられている。柔らかなブルーや淡いイエロー、赤みを帯びたブラウンが抑制されたトーンのなかに穏やかなリズムを生み出し、さらにブライス・マーデン(Brice Marden)の絵画から引用した繊細な色彩が、わずかな色の重なりによって静かな動きを与えていた。

素材づかいにも今季らしい変化が見られる。例年以上に時間をかけて開発したという生地は、どれも静かな存在感を放つ。ランウェイには登場しなかったものの、デニムはすべて日本製を採用し、ワークウェア由来の素材をテーラリングへ違和感なく組み込んだ。6ルック目に登場したスエードジャケットは、某ラグジュアリーブランドのレザーウェアも手がけるイタリアの工場で生産されたという。新しい素材で驚かせるのではなく、見慣れた素材をどこまで磨き上げられるか。その姿勢が、一着ごとの完成度へとつながっている。

ブランドが今季掲げたのは、「Garments persist longer than the ideas attached to them(衣服は、それに託された思想よりも長く残る)」という言葉だ。
誰にでも、初めてジャケットに袖を通した日がある。少し大きかったかもしれないし、窮屈だったかもしれない。それでも、その一着は身体とともに馴染み、記憶となり、やがて誰かへ受け継がれていく。
少年が初めて袖を通した“大人の服”は、一人の成長を見届けるだけでは終わらない。
<NAMACHEKO>が2027年春夏コレクションで描いたのは、一着の衣服が人から人へ渡りながら、時間そのものを纏い続ける姿だった。

NAMACHEKO 2027年春夏メンズコレクションはこちら

NAMACHEKO
ウェブサイト:https://namacheko.com/
インスタグラム:@namacheko

  • Edit & Text : Yukako Musha(QUI)

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