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LIFE/STYLE

「HACIENDA KARUIZAWA」がつくる、軽井沢での滞在の時間

Apr 25, 2026
軽井沢駅のすぐそばにありながら、HACIENDA KARUIZAWAには、駅前の利便性だけでは語れない空気があった。木や火を思わせる気配があり、空間のあちこちに手仕事の痕跡が残っている。ザ・コンランショップがインテリアを含む空間全体のデザイン監修を手がけたこの場所で過ごしてみて印象に残ったのは、短い滞在でも、過ごし方ひとつで時間の感じ方が大きく変わるということだった。

「HACIENDA KARUIZAWA」がつくる、軽井沢での滞在の時間

Apr 25, 2026 - LIFE/STYLE
軽井沢駅のすぐそばにありながら、HACIENDA KARUIZAWAには、駅前の利便性だけでは語れない空気があった。木や火を思わせる気配があり、空間のあちこちに手仕事の痕跡が残っている。ザ・コンランショップがインテリアを含む空間全体のデザイン監修を手がけたこの場所で過ごしてみて印象に残ったのは、短い滞在でも、過ごし方ひとつで時間の感じ方が大きく変わるということだった。

軽井沢駅のすぐそばで、最初に空気が変わる場所

駅のすぐそばで、最初に目に入るHACIENDA KARUIZAWAのサイン

ロビーに入る前から、木や火の気配を想像させるエントランスまわり

軽井沢駅から向かう途中、階段を降りた先に見えてくるエントランスには、思わず足を止めたくなるような佇まいがあった。
なかでも印象に残ったのは、サインの下や木製ベンチのそばに積まれた薪だった。まだロビーに入っていないのに、木の匂いや火の気配を想像してしまう。駅前の利便性の中にありながら、その数歩手前から、ここでは時間の流れが少し切り替わる。

 

暖炉とアートが迎える、このホテルの顔のようなロビー

暖炉を中心に家具や照明が寄り添う、HACIENDA KARUIZAWAのロビー

ハンス J. ウェグナーの「CH290 ラウンジチェア」

「シェーカーロッキングチェア」

ロビーでまず目を引くのは、大きな暖炉のまわりに家具や照明が寄り添うように置かれた風景だった。
暖炉のそばにあるハンス J. ウェグナーの「CH290 ラウンジチェア」も目を引いたが、私がつい目で追ってしまったのは、窓際に一脚だけ置かれた「シェーカーロッキングチェア」のほうだった。あの一脚だけ、窓際に置かれていることで、ロビーの中でも少し違う表情を見せていた。実際に座ってみると、思っていたよりも木の線が細い。その繊細さのなかにある少しの緊張感が、かえって印象に残った。

 

平澤まりこによる煙突のアートワーク。軽井沢に息づく動物たちや人の営みを描いた、この場所を象徴する一作

暖炉のそばに置かれた道具や薪にも、このホテルらしい気配が宿る

根本絵梨子による作品。浅間山の一部を切り取った一枚

そして、このロビーをただ“心地よい場所”で終わらせていないのが、暖炉の煙突に描かれた平澤まりこのアートワークだ。炎や煙を思わせる動きの中に、動物たちや人の営みの気配が重なっていて、眺めているうちに、ロビー全体が少し物語のある風景に見えてくる。
後から思い返しても、いちばん先に浮かぶのはこの場所だった。家具や照明が整えているだけではない、土地の気配のようなものが、このロビーにはあった。

 

線路側の客室107号室で過ごす、静かな時間

ルームサイン

ウェルカムドリンクのハーブティーとお菓子

線路側の部屋と聞いて、少し身構えていたのは本当だ。でも実際に過ごしてみると、気になったのは音よりも、朝のやわらかい光のほうだった。木材をたっぷり使った室内には、駅の近くにあることを感じさせながらも、静かな時間が流れていた。

線路側の客室は、かつてこの場所に鉄道が通っていた記憶も含め、周辺環境ごと滞在の一部として受け取れるように考えられているという。木板に囲まれた奥行きのある窓辺は、山小屋の裏屋根の窓から列車をぼんやり眺めるような情景をイメージしたものだそうだ。実際、その窓辺には朝のやわらかな光が差し込み、ただ外を見るためだけではない滞留の余白があった。

 

部屋で過ごす時間の印象をつくっていた、中央にあるフィリックス・コンランの「Shimido Sofa」

アルヴァ・アアルトの「ペンダント A330S ゴールデンベル サヴォイ」と、Herman Studioの「Trefoil Table」

なかでも印象に残ったのは、山並みから着想を得たフィリックス・コンランの「Shimido Sofa」だった。深く腰を預けてくつろぐのにも、少し姿勢を起こして本を開くのにもちょうどいい。部屋に戻ったあと、もう少しここで過ごしていたい、と思わせる存在だった。

 

バスまわりの小さな設え

英国ブランドbamfordを中心としたアメニティ

環境に配慮した天然素材や再生素材を採用

加えて、足をしっかり伸ばせる浴槽、大きめのシャワーヘッド、アメニティ、肉厚のバスローブといった要素も、単なる設備以上に、客室にいる時間を自然と延ばしてくれる。ここでは“寝るための部屋”というより、“一泊の密度を上げるための部屋”という印象が強かった。

 

笠庵の夕食が、滞在にもうひとつの流れをつくる

HACIENDA KARUIZAWAで印象的だったのは、滞在がホテルの中だけで閉じていないことだった。夕食は、同じ軽井沢T-SITE内にある和食店・笠庵へ。

本日の会席コースメニュー

地のものと季節を感じさせる八寸からスタート

ザクザクの触感とおかきの香ばしさが堪らない、ジャンボ椎茸のおかき揚げ

カウンターで準備が進む椀物

いただいたコースは、季節の素材を軸にしながら、最後まで重たくなりすぎない構成で、旅先の夕食としてちょうどよかった。けれど印象に残ったのは、料理そのものだけではない。カウンターでは、地元の人、旅行中の人、お店の人のやりとりが自然に混ざり合い、食事の時間そのものがこの場所の風景の一部になっていた。

客室で過ごす時間と、外へ少し開かれた食事の時間。その両方があることで、滞在はホテルの中だけに閉じず、軽井沢T-SITEの空気へゆるやかにつながっていく。笠庵での夕食は、その流れをつくる時間だった。

 

室内ピクニックのような朝食が、朝の時間を豊かにする

翌朝に届いたバスケット入りの朝食は、この滞在のなかでも特に好きだった時間のひとつだ。
朝になると部屋に届けられたバスケットを開けて、ひとつずつ取り出しながらテーブルに並べていく。その時間が、思っていた以上に心地よかった。どこか室内ピクニックのようでもあり、朝を自分のペースで整えていく小さな儀式のようでもあった。

客室へ届けられる朝食のバスケット。朝の時間の始まりを告げる風景

バスケットから取り出して並べた朝食。部屋で過ごす朝を少し特別にする一場面

朝にシャワーを浴び、そのまま客室でゆっくり朝食を広げ、11時のチェックアウトまで慌ただしくならずに過ごせる。このホテルでは、朝食は食事の内容だけでなく、チェックアウトまでの時間の流れまで整える役割を果たしていた。

 

客室やロビーだけでは終わらない、この場所の魅力

滞在を通して感じたのは、このホテルの魅力が客室やロビーといった、ひとつひとつの場面だけではなく、そのあいだを流れる時間のつくり方にあるということだった。

111号室は、キッチンとダイニングを備えた室内に、包容力のあるモジュラーソファを中心に据え、ワーキングや長期滞在にもなじむ家具を配した客室

103号室は、日本の手仕事と北欧の名作が穏やかに重なる客室。時を重ねた素材が調和し、異なる美意識が落ち着いた居心地をつくっている

客室ごとに設えを変えているのは、「滞在の中に選択性と発見をつくる」という考え方に基づくものだという。また、館内のアートも「素材」「手仕事」「自然との関係性」を軸に選ばれていて、家具や建築、光と並びながら、この場所の空気を形づくっている。

 

ソ・ヒス(Suh HeeSu)による照明作品「Untitled」。医療用包帯をモチーフに、「癒やし」を硬質なセラミックで表現した一作

上原かなえによるヒンメリ。 通路の奥に佇む、光を受けて揺れる繊細な造形

朝の自然光に包まれたロビー。やわらかな光が、この場所の表情を変えていく

さらにHACIENDA KARUIZAWAとAQUAIGNIS GARDEN SPAは、山小屋のようなホテルで過ごしたあと、そのまま森の中の温浴へ向かうような連続体験として構想されているという。今回スパそのものは体験できなかったが、ホテルに滞在しただけでも、その先まで視野に入れた設計であることは十分に伝わってきた。

 

一泊の印象を変える、小さな場面の重なり

軽井沢の自然や歴史、文化の記憶をたどるような書籍が並ぶライブラリー

客室へ向かう途中に現れる、小さなライブラリー空間。滞在の時間に小さな間をつくる

今回泊まってみて感じたのは、短い滞在の印象は、客室の快適さだけで決まるわけではないということだった。エントランスで受け取る空気、ロビーで座る場所の選び方、部屋で迎える朝、外へ食事に出る流れ。そういう小さな場面の重なりで、一泊の印象は思っていた以上に変わる。

HACIENDA KARUIZAWAで印象に残ったのは、泊まったことそのものより、その時間をどう過ごしたかだった。軽井沢駅のそばにありながら、木や火の気配に包まれて過ごせること。その少し不思議な感覚が、最後までこの滞在の印象として残った。

 

施設情報
HACIENDA KARUIZAWA(ハシェンダ カルイザワ)
住所:〒389-0102 長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢中谷地1178-1293(軽井沢T-SITE内 B06)
電話番号:0267-31-6460
総客室数:9室
チェックイン:15:00〜
チェックアウト:〜11:00
客室料金:38,000円〜(2名1室利用時の1名あたり料金)
※人数や食事内容により変動
客室設備:客室風呂、トイレ、洗面所、エアコン、冷蔵庫、ドライヤー、ルームウェア、Wi-Fi
共有設備:ライブラリー
宿泊特典:AQUAIGNIS GARDEN SPA、SHARE LOUNGE 軽井沢T-SITEの利用無料
駐車場:150台(軽井沢T-SITE施設内/宿泊者無料)
アクセス:JR北陸新幹線・しなの鉄道「軽井沢」駅より徒歩1分
ウェブサイト:https://hacienda-karuizawa.jp/
Instagram:@hacienda_karuizawa

関連施設情報
AQUAIGNIS GARDEN SPA(アクアイグニス ガーデン スパ)
住所:〒389-0102 長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢中谷地1178-1293(軽井沢T-SITE内 F04)
電話番号:0267-46-8003
営業時間:9:00〜22:00(最終入館 21:00)
入浴料金:大人(中学生以上)平日 2,000円/土日祝 2,500円、小人(小学生以下)全日 500円
設備:温浴、サウナ、ラウンジ
駐車場:150台(軽井沢T-SITE施設内/入浴利用者は150分無料)
アクセス:JR北陸新幹線・しなの鉄道「軽井沢」駅より徒歩1分
ウェブサイト:https://aquaignis-karuizawa.jp/
Instagram:@aquaignisgardenspa_karuizawa
※営業時間・入浴料金は4月25日より適用
※SHARE LOUNGEとのセットプランあり

デザイン監修
株式会社コンランショップ・ジャパン
ウェブサイト:https://www.conranshop.jp/
Instagram:@theconranshop.japan

  • Photo : bocco
  • Text & Edit : Y.O(QUI)

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