フォークロアをモダナイズする独自のカルチャーミックス Chopova Lowena|DSM Ginza OPEN HOUSE
—Dover Street Market Ginzaでインスタレーションを行った率直な感想は。
「夢が叶った」という言葉に尽きます。自分たちがDover Street Marketでインスタレーションを行うことができるなんて、ブランドを始めた頃は想像したこともなかったです。Dover Street Marketの店舗のなかで、いちばん最初に<Chopova Lowena>に声をかけてくれたのが銀座店だったこともあり格別な想いがあります。
—今回のインスタレーションで表現したかったこと、伝えたかったことはなんでしょうか。
「ごちゃごちゃしたものをひとつの場所に集めた」というのがインスタレーションのコンセプトです。私たちは普段から多くの要素やリファレンスを扱っているので、その“カオス”をどう整理して見せるかを考えました。ショーケースのようなボックスにあえて秩序も感じないようにぬいぐるみや玩具などを大胆に配置して、<Chopova Lowena>の世界観を表現しました。それぞれのボックスは私たちの世界を覗き込む“窓”のような存在で、小さなストーリーが込められています。例えば車に乗るアヒルや、飛行機を見送るおもちゃの集団など、シーンごとに物語を感じられるようにしています。ちなみに玩具はブルガリアの50年代に製作されたものもあって、今回のインスタレーションのために全て自分たちで集めました。また什器にはロンドンの装飾金属工房で制作したスチールを使用していて、あえて少し歪みのある無骨な質感に仕上げています。
Chopova Lowena 2026年春夏コレクションのバックステージ
—<Chopova Lowena>といえば民族衣装の要素とパンクカルチャーの掛け合わせですが、そのようなクリエーションに辿り着いたのはどういう理由からでしょうか。
最初からパンクカルチャーに着目していたわけではないんです。私たちはセントラル・セント・マーチンズでファッションを学んだのですが、卒業する頃にトレンドだったのがハードウェアファッションでした。ハードウェアの要素と私たちのルーツであるブルガリアの民族衣装は相性がいいと感じて、そのようなクリエーションスタイルに辿り着きました。フォークロアだけだと伝統的な印象が強すぎますが、そこにハードウェアの要素を掛け合わせることでモダナイズされたファッションが生み出せると思ったんです。初期は特にロッククライミングから着想を得ていて、カラビナやハーネスといった実際のパーツを取り入れていました。
—フォークロアとハードウェアのどちらがクリエーションのベースにあるのでしょうか。
クリエーションの中核のあるのはフォークロアとスポーツです。
—パンクカルチャーはそれをモダナイズさせるためのスパイスのような役割でしょうか。
メディアの取材でも「<Chopova Lowena>はパンキッシュなスタイル」と紹介されることは多いのですが、私たち自身はパンクカルチャーを意識したことはないんです。ハーネスのようなディテールはロッククライミングから、ベルトもレスリングからインスパイアされたものです。ロッククライミングやレスリングとフォークロアというのは雰囲気も対照的で、そういう異なる要素のミックスは新しいスタイルを生み出すためのものです。私たちとしてはスポーツ×フォークロアなんですけど、周囲からはパンクファッションのように見えるみたいですね。
—では「パンクカルチャー」と表現されるのは本意ではない?
パンクカルチャーそのものもブリティッシュファッションも大好きなので、全く抵抗はないですよ(笑)。DIY的な感覚や、自分のスタイルを信じて表現するエネルギーという点ではパンクと通じる部分があるのかもしれません。
—日本のカルチャー、ファッションに興味はありますか。
もちろん興味はあります。大好きな「ハローキティ」とのコラボレーションもやったことがありますよ。日本のキャラクターから玩具、原宿スタイルにもすごく注目しています。日本には「ファッションを楽しみたい」というムードが蔓延しているようで、そこは私たちが拠点にしているロンドンに近いものがあるのですごくシンパシーを感じています。遊び心やカラーの使い方など、自由に装う文化には特に共通点を感じています。
—今後日本のカルチャーがコレクションに登場することはありますか。
クリエーションについてはあくまでも自分たちのバックグラウンドありきなので、日本のカルチャーだけがコレクションのリソースになることはないと思います。

Chopova Lowena 2026年春夏コレクション
—2026年春夏コレクション「Cheerlore」は、ランウェイもエネルギッシュで印象的でした。
春夏コレクションでは「アメフト」と「チアリーダー」と「南ブルガリア」のファッション要素を掛け合わせました。肩パッドのデザインはアメフトから、スカートのプリーツはチアリーダーからのインスピレーションです。南ブルガリアはギリシャの文化に通じる部分が多くて、ビーズ使いのアイテムはそこから取り入れたものです。
—アメフト、チアリーダー、南ブルガリアは近しいカルチャー同士とは思えないのですが、それらの掛け合わせはどのような発想から生まれるのでしょうか。
「アメフトのユニフォーム」、「チアリーダーのスタイル」、「南ブルガリアの民族衣装」はひとつひとつをフォーカスするとバラバラに見えるかもしれませんが、並列で見てみると共通点は多いんです。アメフトのヘッドギアと南ブルガリアの衣装のクラウンだったり、チアリーダーのストライプ柄と南ブルガリアのテキスタイルの模様だったり。写真で見比べるだけでも発見があって楽しいですよ(笑)。異なる文化のルックでも、並べてみると同じ人物の別の時代のように見えたり、ひとつのストーリーを共有しているように感じられるんです。
—リサイクル素材やデットストック生地を取り入れるのも<Chopova Lowena>の特徴ですが、ブランドとしてサステナブルというのをどのように捉えていますか。
「サスティナビリティなモノづくり」というのは<Chopova Lowena>の立ち上げ時から掲げていたことで、その考えはずっと変わっていません。デットストックやアンティークなファブリックからはストーリーを感じるから好きなんです。<Chopova Lowena>では古くなったテーブルクロスなどを使うこともあるのですが、もう役目を終えてしまったファブリックに新たな価値を与えることにも大きな意味を感じています。
—リサイクル素材やデットストック生地はどうやって探しているのでしょうか。
自分たちで倉庫に足を運んで時間をかけて探しています。ブランドとしては発見、発掘を大切にしているのですが、そこに共感してくれてアンティークな生地探しに協力してくれる人も増えています。私たちの家族も発掘隊のメンバーです(笑)。“素材を探し当てる体験”そのものも、ブランドの重要なプロセスのひとつになっています。
—最後に<Chopova Lowena>のインスタレーションを訪れた多くのファッション好きたちに、もっとファッションを楽しむためのヒントのようなものがあればお願いします。
ファッションから刺激を受けたいと思うならDover Street Market Ginzaは最高の場所だと思います。自分らしさをもっと楽しむために、この場所でスペシャルな装いを積極的に楽しんでほしいと思います。
about Chopova Lowena
2017年にエマ・チョポヴァとローラ・ロウェナによって設立されたロンドン発のブランド。ブルガリアのフォークロアとスポーツウェアを掛け合わせ、伝統とモダンを融合させた独創的なスタイルを提案している。
リサイクル素材やデッドストック生地を活用し、ブルガリアの熟練した女性職人と協働することで、文化遺産を守りながら新しい表現を生み出している。デザインとクラフトへの敬意を軸に、サステナブルかつエシカルなものづくりを追求していく。
Website:https://chopovalowena.com/
Instagram:@chopovalowena
- Photography : Kaito Chiba
- Interview & text : Akinori Mukaino(BARK IN STYLE)
- Edit : Yukako Musha(QUI)


















