QUI×LEAK|OPEN HOUSE 2026 Springで表現したASICS SportStyleが奏でる「生命の鼓動」



生命が宿るスピーカーにスニーカーを履かせたい
村上:僕がクリエイティブのお題として受け取った「歩くリズム=Living Rhythm(生命の鼓動)」というコンセプトは、どういう考えで導き出したんですか?
QUI:僕はウォーキングが趣味なのですが、必ず音楽を聴きながら歩くんです。音楽を聴きながらだと自然と歩調にリズム感が生まれますし、運動によって自分の鼓動が高まっていくのを感じます。<ASICS SportStyle>の担当者が口にしていた「歩くことの大切さ」というのもヒントになり、「歩くことでしか得られないリズム」というのは「生命の鼓動」であると捉え、それをインスタレーションで表現したかったんです。それで村上さんのインタビュー記事で目にした「LEAK」を思い出しました。
村上:読んでくれていたんですね。ありがとうございます。
QUI:2本の脚で立つ「生物としてのスピーカー」の「LEAK」に<ASICS SportStyle>のスニーカーを履かせてみたい、さらには歩かせてみたいと、それはもはや衝動的な欲求でもありました。村上さんが「LEAK」という生命を宿したようなスピーカーを誕生させてくれたおかげです。
村上:「LEAK」の誕生はリサイクルショップに放置されて朽ち果てていたガーデニング用のカエルの置物との出会いがきっかけだったんです。顔もない、腕もない、残っているのは球体の胴体と脚の一部だけ。当時、いろいろな古物をスピーカーにアレンジをするのが作家活動の一環だったので、球体の胴体にスピーカーをはめてみたら一つ目のようになって、まるで宇宙からの未知なる生命体のようなものができたんです。


QUI:確かに「LEAK」は生命体として既視感があるようなないような存在です。
村上:しかも、初めての息子が生まれる直前で「生命の誕生の神秘」というものを自分なりに考えていた時期でもあったので、同時期に生まれた「LEAK」の初号機に思い入れが湧いたんです。まるで息子の友達か兄弟のように。
QUI:僕も「LEAK」のことが頭に浮かんだときに、生物の鼓動感とすぐに結びつきました。スピーカーって音の振動なので、そこも心音みたいだなって。だからこそ村上さんにオファーしたのですが即答でOKでしたよね(笑)。
村上:「Living Rhythm(生命の鼓動)」というコンセプトを<ASICS SportStyle>のテクノロジーの結晶のようなスニーカーと「LEAK」でビジュアル化するとしたら、これまでやったことがない疾走感のある表現ができそうと瞬間的に思ったんです。ポップ&キュートではなくて、スポーティ&アクティブな「LEAK」に挑戦できるとチーム全員のテンションが上がって沸き立ちましたよ(笑)。
QUI:こちらが考えた企画に対して最初から村上さんが前向きで、おもしろがってくれたのはすごくうれしかったです。
村上:「LEAK」は生命体なので、僕は2本の脚こそがアイデンティティだと思っているんです。「歩くことで生まれるリズム=Living Rhythm(生命の鼓動)」というコンセプトからスニーカーを履くこともできるスピーカーとして「LEAK」に目をつけてくれたのは必然性を感じましたし、とてもありがたかった。これがどこのスピーカーでも表現できるクリエイティブプランだったとしたら、僕もインスタレーションの制作にどこまで夢中になれたかわかりません。
視覚からも聴覚からもコンセプトを伝えたかった
QUI:こちらが具体的にオーダーしたのは、本来は直立不動の「LEAK」にスニーカーを履かせて、さらに歩きのリズムを刻ませたいということでした。
村上:そのためにまずは見た目から浮遊感のようなものを演出したくて、球体部分を羽で覆ったんです。羽は髪型をイメージしていたので、ヘアスタイリストに依頼してリアルさを追求しました。本来の「LEAK」の脚は柔らかさを感じる流線型ですが、今回のために制作した「LEAK」を模したオブジェは、いかにもバネがあるアスリートを彷彿とさせる脚のデザインにしました。それも<ASICS SportStyle>というパートナーを得たことによるダイナミックな躍動感を表現したかったからです。
QUI:疾走感や躍動感を表現するアイデアは、まずは村上さんにお任せしようと思っていたのですが羽を使って浮遊感の演出を取り入れたのは想定外でした。ですが弾む、駆け抜ける、飛ぶという<ASICS SportStyle>らしいアクティブさを感じたので、こちらとしても迷わずに「GO!」でした。「LEAK」が駆け抜けることで何もない大地に新しい生命が芽生えるというストーリーを描いていたので、舞台となる荒廃的なジオラマもイメージ通りでした。


村上:「Living Rhythm(生命の鼓動)」というコンセプトで描くべき<ASICS SportStyle>に通じる世界観というのは、QUIさんも僕も考えはズレずにずっと一致していたと思っています。QUIさんとしては試着をしながらサウンドを体感できる仕掛けには強いこだわりがありましたよね。
QUI:シューズを選ぶときは誰もが試着をすると思うんです。そのためには椅子が必要ですが、その座っている時間にもエンターテインメントを提供したかった。なので村上さんに映像とサウンドを同時に体感できる椅子の制作も依頼したんです。音源に関しては、運動時の心音のような4つ打ちのリズムをベースにしたかった。
村上:サウンドのテーマとして「鼓動のような一定のリズムの没入感」というのは最初から言っていましたよね。
QUI:そこも村上さんは応えてくれましたよね。制作時に発生する工具の音をミキシングするという提案をいただいたとき、おっしゃる通りだなと。工房に響き渡るリアルな音こそがインスタレーションのための「LEAK」の「生命の鼓動」だと気付かされ、視覚だけではなく聴覚でもコンセプトを伝えられる手応えがありました。

村上:音源は友人でもある「OVERFALL」という3人組音楽ユニットにインスタレーションのために特別に制作してもらいました。制作時に使用した工具や鉄屑、木片同士が擦れる音など、自分にとってはいつもの工房だったのですが音を意識するだけで違う景色が浮かび上がってきたのがとても印象深かったです。SAMPOの工房は山梨県北杜市にあるのですが、標高の高い場所の川音も聞こえてきます。そんなクラフトのバックグラウンドまで感じてもらえるとうれしいですね。
QUI:試着のために椅子に座ると未知なる生命体の「LEAK」が発見され命が吹き込まれていくというストーリーが映像から流れ、さらに「生命の鼓動」であるサウンドが流れてきます。什器自体も没頭感があるので試着に集中できないかもしれないですね(笑)。映像のストーリーの詳細やサウンドの臨場感は、ぜひDOVER STREET MARKET GINZAで楽しんでもらえたら。

<ASICS SportStyle>との歩く楽しさを届けたい
QUI:インスタレーションのディレクションはQUIとしては初めての案件で、会場がDOVER STREET MARKET GINZAということでプレッシャーもあったのですが、やりがいのある仕事でした。コンセプトを生み出し、それを空間の細部にまで隙なく落とし込んでいくプロセスは、難解なパズルなようでもありました。それを実現するためにあらためてチーム内でのコンセプトの共通理解の重要性を感じました。今回の経験はQUIとしても本当に発見が多かったです。
村上:「LEAK」にスニーカーを履かせるというのは、装うということでもありますよね。スピーカーという機能だけではなく、「LEAK」をファッションとして楽しんでもらえる可能性があるというのは僕も新しい発見ではありました。

QUI:「LEAK」の楽しみ方が広がるかもしれないですね。
村上:靴を履かせる、さらには服も着させることで、「LEAK」はますますリアルな生命体に近づいていくような気がしていて、新しい家族、仲間を迎えるような気持ちで選んでくれる人が増えてくれたらうれしいです。
QUI:今回はASICS社がスローガンとして掲げる「Sound Mind, Sound Body」を伝えるためにQUIと村上さんのチームで奮闘して展示物から映像、サウンドまでを制作しました。DOVER STREET MARKET GINZAでのインスタレーションをきっかけに<ASICS SportStyle>によって得られる「歩く楽しさ」が多くの人に届くとうれしいですよね。
村上:<ASICS SportStyle>のスニーカーって本当に履きやすいし、歩きやすいですからね。「歩くことで生まれるリズム=Living Rhythm(生命の鼓動)」というコンセプトがインスタレーションでどこまで伝わるかわかりませんが、それでも制作物のすべてに人間の手からしか生まれないような生命力を注いだつもりです。<ASICS SportStyle>の魅力と同時に、SAMPOのチームのクリエイティブへの熱量も感じ取ってもらえたらうれしいです。
QUI:「LEAK」の独創性やユニークさも知ってもらいたい?
村上:そうですね。そちらはぜひ会場で体感してもらえればと思っています(笑)。

インスタレーション概要
DOVER STREET MARKET GINZA
期間:2026年3月28日〜
※展示期間は1ヶ月程度予定 ※終了時期は変更される場合あり
Space Design & Movie:SAMPO Inc. @we_are_sampo @leak_sampo
Sound Design:OVERFALL @overfall2023
Key Visual:Kiara Iizuka(SAMPO Inc.)@kiaraiizuka
Concept & Produce:Yusuke Soejima(QUI)@qui_tokyo
- Installation Photography : Kaito Chiba