Sonia Carrasco 2026年秋冬コレクション、思想を紡ぎ、服の根源を問う
近年は日本国内のセレクトショップでも取り扱いが増えつつある注目株であり、QUI編集部にもファンが多いブランドの一つ。今回のランウェイは、まさにその思想と哲学が凝縮されたコレクションだった。


多くのブランドも「サステナブル」という言葉を掲げ、オーガニックな素材やエシカルな工程を大切にしている。けれど、素材の良さや取り組みの正しさを語っても、プロダクトに造形的な強度や美しさがなければ、洋服としての説得力は生まれない。
<Sonia Carrasco>の特異性は、プロダクトそのものに「サステナブル」という思想が織り込まれており、まさに服が語りかけてくるような体験を与えてくれる点にある。彼女の服は、“環境にいいことをしているから”心を打つのではなく、思想と構造が両軸で成立しているからこそ、強く人を惹きつけるのだろう。



2026年秋冬コレクションのテーマは「起源(origin)」。会場には織機を模したインスタレーションが設置され、洋服が糸の間に差し込まれるように展示された。当たり前だが、洋服は完成された状態で存在するのではなく、糸という最小単位から生成されていく。
そのプロセスを、ブランドのフィロソフィーでもある “Perfection is in the process(完成とはプロセスの中にある)”という言葉そのままに空間で体現した。
<Sonia Carrasco>の服は、しつけ糸のようなステッチ、未処理のほつれ、テーラードの構造が露出したカッティングなど、作りかけのように見えるその「痕跡」自体がデザインとなっている。完成した服をあえて、未完成な面構えにすることによって、そこに思想を練り込む。
それは“人の手によって作られる”という事実の可視化であり、サステナブルという言葉よりももっと根源的な“衣服の価値”、つまりその洋服の背景の価値をこちらに投げかける。


赤と落ち着いた色の強いコントラストが視線を引き寄せる一方で、ニットとジャケットの組み合わせや、スリットから大胆に見える裏地によって、強弱のあるスタイルを生み出していた。あえてそのまま残されたしつけ糸や切りっぱなしのほつれが、「完成」と「未完成」を同時に提示する。

このコレクションが私たちに示したのは、ファッションのスピード消費が加速する時代にあって、「なぜ服を着るのか」「服とは何なのか」という根源的な問いへの立ち返りだった。
手軽に買える服ではなく、手が込んだ服。背景を語れる服。時間と手と想像力を感じる服。
そういった衣服の本質的な価値を、<Sonia Carrasco>は、美しさと強さをもって再提示してくれた。


Sonia Carrasco 2026年秋冬コレクションはこちら
- Installation Photograph : Kaito Chiba
- Text & Edit : Yusuke Seojima(QUI)




