Back in style — Shuhei Uesugi
look01:hunting cap ¥13,200 / KIJIMA TAKAYUKI(KIJIMA TAKAYUKI 03-3770-2174)
look02:purple jacket ¥99,000・pants ¥49,500 / DAIRIKU(4K 03-5464-9321)、shirt ¥38,500 / WACKO MARIA(PARADISE TOKYO)、shoes ¥49,500 / NEEDLES(NEPENTHES 03-3400-7227)
look03:gray jacket ¥136,400・pants ¥74,800・shoes ¥86,900・T-shirt(sample) / YOHJI YAMAMOTO(YOHJI YAMAMOTO PRESSROOM 03-5463-1500)、sunglasses ¥44,000 / BJ CLASSIC COLLECTION(Eye’s Press 03-6884-0123)
Interview with Shuhei Uesugi
— 今日の衣装はいかがでしたか?
僕の好きなブランドがドンピシャでしたね。DAIRIKUも好きだし、WACKO MARIAは普段からよく着ていますし、YOHJI YAMAMOTOも北野武さんが映画で着ているのを知ったときからずっとカッケーなって。そんなブランドの中でも普段自分では選ばないような、衣装ならではのデザインの服を着られたのが新鮮で楽しかったです。
— 上杉さんといえば古着のイメージがありますが……
古着は今でも着ますし大好きなんですけど、年々「いい服を着よう」と思うようになってきて。いい服っていうのは、素材が上質だったり、型がきれいだったりする定番のもの。僕は昔からオーバーサイズで着るのが好きなのですが、古着のオーバーサイズって年齢とともにだらしなく見えることもあるなと。サイジングや色の好みは変わっていませんが、今はその中に上品さも欲しいんです。
— そうなると確かに素材感であったり仕立てであったりが重要になりますよね。色の好みというのは?
色はなんでも好きなんですけど、パキッとした原色でなく、ちょっとニュアンスのある馴染みやすい色が好きです。とくに茶色が好きで、茶色の服でシルエットが好みだったら、同じようなものをもってても買っちゃう(笑)。その反動でたまに赤が着たくなることもあるんですけど、そういうのって前日に観た映画や写真集などに影響されていることも多くて。たとえばイギリスの90年代の映画を観て「デニムにマーチン合わせてえ」とか、イタリアマフィアの映画を観て「スーツが着たいな」とか。
— そういうマインドからファッションに繋がるのって、俳優っぽいエピソードですね(笑)。ちなみに上杉にさんにとってのスタイルアイコンは誰ですか?
難しいですね。白洲次郎は写真を見たり自伝を読んだりしただけですけど格好いいなと思います。でも正直、誰かに憧れたことがあんまりないんですよね。とはいえ自分が完全にオリジナルだとも思ってはいないんで、絶対にいろんな人からちょっとずつ影響は受けているはずです。
— では、KANDYTOWNのおしゃれ番長は?
KEIJU(ケイジュ)かな。服のチョイスが上手だなって。あとIO(イオ)くんがなに着ても似合う。あれはずるい(笑)。僕が普段着ないような服でもIOくんが着ているのを見ると欲しくなるけど、やっぱり僕には似合わない。結局大切なのはだれが着るかってことなんだなっていうのがわかりますよね。僕のまわりはみんなスタイルがある人ばっかりなんですけど。
— 上杉さんもスタイルというか、美意識のようなものがライフスタイルすべてに貫かれているように感じます。たとえばちょっとした雑貨を選ぶのでさえこだわりがありそうな。
なんでもいいはずなのに、チャッカマンの色とかでさえすごく迷っちゃうときもあります。特に室内空間にこだわるのが昔から好きで。家にいることがほとんどなので、洋服よりこだわっている部分かもしれないです。
— 自分が格好いいと思うものや人の基準はありますか?
「好き」か「違う」か、判断するときはわりと感覚なんですよね。その理由をあとから言葉にすることはできるんですけど。
— 直感に従う。
はい。あとは古いものが好きなんですよね。そんなに量産してなかったものとか、その時代の自由さに惹かれます。長く使えるっていうのも基準かもしれないです。
— アンティークやヴィンテージって廃れないですもんね。もちろん人も長くつきあえる方がいいし。
そうですね。50年後の自分が見ても良いって思えるよねってものを選ぶようにしています。クルマもそうですけど、そういうものって機能が現代生活に追いついてこない。それでも好きだって思えればいいかなって。
— その考え方が格好いいですよね。男性や年上の人からも惚れられそう。
けっこう上の方にかわいがってもらうことが多いかもしれないです。でも僕、生意気ですよね(笑)。いちいち鼻につくだろうなって気もするんですけど、だからこそ結果出さなきゃやべえっていうのはあります。できれば人に嫌われずに生きていきたいので(笑)。
— YouTubeでもDIYなどものづくりの腕前を披露されていますが、服を作ってみたいと思ったことはないですか?
何回か思ったことはあるんですけど、ビジョンが浮かばないんです。自分の好きな服を自分で作れたら良いなとは思うのに、自分の好きな服がどんな服なのかぜんぜん定まらなくて。ありもののTシャツに好きな写真をバックプリントすることはあるし、生地を選んで仲の良い仕立屋さんにスーツを仕立ててもらうことなんかは大好きですが、イチから作るっていうのは難しいですね。
— 実際やってみたら、すごく良い服を作りそうですけどね。
そう言われるとやろっかなとか調子に乗っちゃうんですけど(笑)。
— 音楽についてもお聞きしたいのですが、ファッションと音楽で関連を感じることはありますか?
ロックはこう、ヒップホップはこう、ジャズはこうという、一般的なイメージはありますよね。でも年々その垣根は消えていってるんじゃないかなと。音楽とファッションとその時代の流行って密接していると思うんですけど、いまは顔を出さないアーティストも増えているし、音楽のスキルが伴っていたらビジュアルは関係なくなってきている気がします。
ただ僕個人としては、(音楽とファッションと流行は)くっついていてほしくて。この音楽はこうだよねって決めつける必要はないんですけど、格好いい音楽をやっている人が着ているものが格好いいってなるのが理想だなって。ここ数年ヒップホップのファッションもタイトになったりハイファッションを取り入れたりしていますが、それも音楽が格好いい人がやっているから格好よくなったわけで、結局誰が何をやるのかが大事って話に戻るのかな。
逆にまわりの目を気にしたファッションばかりしているアーティストだと、音楽もチープに感じてしまうというのはあるかもしれないです。音だけを聞いてれば良かったのに、ビジュアルを見てダッサってなるともったいない。
— KANDYTOWNでHolly Q(ホーリー・キュー)として活動するときは、普段の服装と違いがありますか?
基本的には違わないですけど、最近はファッション界もどんどんオーバーサイズになってきてるじゃないですか。なんで今までどおりのオーバーサイズでいくと、俳優がラップしてるみたいに見えてしまうこともあって、それが嫌なんです。
— トレンドに乗っかってるようにも見えてしまう。
そうなんです。だから言葉にするのは難しいですが、「これ俳優っぽいな」っていうのは意識して避けるようにはしています。俳優が音楽やってるっていうのも事実ですし別に悪いことではないんですけど、名前も変えてやっている以上は違うよっていうのは自分の中のちっさなプライドとしてやっていきたいなと思っているので。
— 音楽もファッションも、自分の内に向かう側面と外に向かう側面があると思うのですが、どちらを重視していますか?
僕は完全に内に向かってやっています。俳優業もですけど、自分のはけ口だったり、自分が楽しいと思えることだったり、そうじゃないとできないんですよね。ファションだって結局は自分のためでしかなくて、好きな人に格好よく見られたいっていうのも含めて、全部が自分のためです。
— エゴが優先されるんですね。
ほんとそれだけです。それはKANDYTOWNにしても俳優にしても、まわりに頼れる人がいるから甘えている部分でもありますけど。
— ヒップホップの魅力は?
赤裸々なところです。僕も普段なら言えないようなことを歌詞にしているし。中学生ぐらいからヒップホップを聴いてきて、そのときから歌ってる人たちの傷みたいなのが聴こえてたから。どう生きてきて、どう生きていくのか、生き方が一番反映されている音楽な気がします。
— ご自身もMCをされていますが、やはり歌詞には思い入れがあるんですね。
そうですね。僕は言葉が大事です。
— 普段からヒップホップを聴くことが多いですか?
USのヒップホップをよく聴きます。最近はUKの方が多いかな。日本のはあんまり聴かないですね。ソウルもよく聴きますし、日本のシティポップも昔から聴いています。アンビエントも最近よく聴きますね。
— Brian Enoとか。
好きですね。あとは日本人のjan and naomiとか、yahyelとか、ちょっと頭おかしくなりそうな音楽も好きでけっこう聴きます。
— 今日はクルマで何を聴きながら来ましたか?
J. Coleっていうラッパーの新しいアルバムを。
— KANDYTOWNを聴きながらドライブすることは……
ないですね(笑)。自分の曲がシャッフルで来たらすぐ飛ばします! でもメンバーのソロを仕事前に聴くことはありますよ。
— では最後の質問です。上杉さんはクリエイター、アーティストとして幅広い活動をされていますが、今後のビジョンや目標について教えてください。
いつかこれがやりたいっていうのはなくて、その時々でやりたいって思ったことをやるためにバタバタ動くっていうのを繰り返してきました。俳優をやりたい、音楽をやりたい、家のことをやりたい……。子どもと一緒で、やりたいって思ったことぜんぶに手を伸ばし続けられる人でいられたら、職業にこだわらなくてもいいと思っているので。
ただそれが人に迷惑をかけちゃうこともあるんですよね。マネージャーさんとか、わがままばっか言ってほんとゴメンナサイって、たまにこういうインタビューで自分を見つめ直して背筋を伸ばしています(笑)。もう責任もあるし、自分に嘘つかなくて苦しくないことと、まわりに良い影響を与えることのバランスをとって、でもあとは子どものままでいたいですね。
Profile _ 上杉柊平(うえすぎ・しゅうへい)
1992年5月18日生、東京都出身。俳優。近年の出演作に、ドラマ『Followers』(2020)、『24JAPAN』『天国と地獄』(2020~2021)、『神様のカルテ』『アンダードッグ』(2021)、映画『アンダードッグ』(2020)など。ヒップホップクルーKANDYTOWNのHolly Qとしても活動。
Instagram
- Photography : Kenta Karima
- Styling : Takumi Noshiro
- Hair&Make-up : Kengo Kubota
- Art Direction : Kazuaki Hayashi(QUI / STUDIO UNI)
- Edit&Text : Yusuke Takayama(QUI / STUDIO UNI)