QUI

自由なクリエーションを求めて。XANADU TOKYO オーナー 本橋達郎

Aug 14, 2020 - FASHION
日本の新進気鋭のデザイナーズファッションシーンに欠かせないショップ XANADU TOKYO(ザナドゥ トウキョウ)。クリエイティブ集団「HAPPENING」の活動に参加するなど若手デザイナーのサポートも行っているオーナーの本橋達郎氏に、ショップの誕生秘話や自身のルーツ、現代のファッションについての考えを聞いた。
Profile
本橋達郎
XANADU TOKYO オーナー

2009年神宮前に日本の新進気鋭のデザイナーをはじめ、若手デザイナーの作品を取り扱う「XANADU TOKYO」をオープン。現在は取扱をアジアまで広げている 

ー ファッションが好きになったきっかけは?

両親の影響が大きいです。

昔からおしゃれな両親はアメリカントラッドの服をかっこ良く着こなしていました。僕も幼少期からお洒落をさせてもらっていて、小学校の卒業写真を見るとみんな普通のネクタイの中、一人だけ蝶ネクタイを付けていました。と一緒にデパートに行く際は、ブランドやお店は両親が選んでくれていましたが、そのお店の中で好きな服を選ばせてもらっていました。

 

ー ファッションマニアならではのエピソードは?

寝る時までずっと服のことを考えています。

電車に乗っていて前に並んでいる人の服を見て、「これとこれを合わせたら可愛いな」と。どれだけお洒落出来るか考えることもあります(笑)。

 

ー XANADU TOKYOを始める上で活きた経験は?

XANADU TOKYOを始める前、専門学校を出た19歳くらいのとき、2~3年働かせてもらったショップがあります。

現在は閉店してしまいましたが、代官山にあって、日本人の気鋭ブランドを取り扱うショップ、パリやニューヨークの新進気鋭のデザイナーを取り扱う2つのショップで働いていました。両ショップの店頭に立たせてもらっていたので、知識やノウハウは養われましたし、スタイリストやブランドの知り合いができたので、ファッション業界での広がりが生まれました。

あとオーナー夫妻が本当にかっこ良かったです。

 

ー かっこいいオーナー夫妻が気になります。

お二人はパリによく行っていたこともあり、日本人にはあまり馴染みのない「昼の服」、「夜の服」という感覚がありました。

例えば、日中はものすごくカジュアルな装いなのですが、夜になるドレス着替え、ヒールを履き、クラッチバックを持って「パーティーに行くよ!」と連れて行ってくれたこともありました。日々のお店の業務やノウハウだけでなく、生き方を教えてもらったと思っています。

 

ー 耳に残るショップ名はどこから?

ザナドゥとはシルクロードにある架空の歓楽都市の名前で、夢の国や桃源郷といった意味があります。海外の人は読めますが、多くの日本人が読めない「XA」で「ザ」と読む発音も面白いなと思いました。

 

原宿の中心地から少し離れた場所にありますが、どうしてこの場所に?

原宿にある友人がやっているショップと近いこと、何より原宿という地にありながら新宿のビル街まで見える景色に引き込まれたことが決定打でした。

このビルはエレベーターがなく、4階まで階段を上らなければいけませんが、気持ちを昂らせながら階段を上っていくことは夢の国や桃源郷といった意味を持つショップ名にぴったりだと思っています。

 

ー オープン前後お店の知名度をあげるために注力したことは?

キャリアをスタートしたばかりの無名デザイナーばかり取り扱っていたので、まずは友人にSNSやBLOGなどで広げてもらいました。幸い以前働いていたショップで、スタイリストやエディターの方とも多く知り合っていたので、そのツテでメディア媒体に掲載してもらいました。気鋭のファッションを取り扱う雑誌で2ページにわたり紹介してもらった他、人気のあったストリートスナップ雑誌のショップ情報に掲載してもらうなど雑誌の効果は大きかったと思います。そこから徐々に広まっていきました。

 

ー セレクトの軸は?

XANADU TOKYOが求めるデザイナーの条件は、他の情報に左右されず、自身の発想のもとクリエイションしたモードな洋服であることドレッシーな洋服を好む、自分の趣味も若干入っています。

最近何か特定のブランドのアーカイブを見てデザインしているブランドが見受けられますが、そういうブランドが多い中で自分の内面から湧き出た発想を表現するブランドに惹かれます。

また、今ある取扱いブランドにないテイスト、他のブランドと一緒に並べても喧嘩しないブランドがXANADU TOKYOっぽいブランドであると考えています。 

 

ー 注目ブランドは?

全て思い入れがあるので選べないのですが……

 

・Phenomena collection

数少ない思想を持ったデザイナーだと思います。形のない物を形にできることは、アート作品に近いのではないでしょうか。

 

KONYA

ビジネスとクリエイションが両立しています。ひと目でこのデザイナーだとわかるデザインは、誰にでも安易にできることではありません。(写真左)

 

KAORU ZHOU

このデザイナーだからできる配色の美しさ、ボリューム感に目を見張ります。型にはまらないこと、好きなことだけやること、是非ファッションを志す学生などに見てほしいです。(写真奥)

 

ー 現代に至るまで日本の気鋭デザイナーズブランドに本橋さんが感じる変化は?

価格帯やデザインなど、こういうモノが売れるよね?というようリサーチをし過ぎているブランドが多いのでは。SNSの発達により、自分で情報を取捨選択出来くなっているようにも感じいます。知らない間にどこかで刷り込まれていることもあると思います。 

 

ー モノが売れないといわれる現代、ファッションのあり方として考えることは?

モノが売れなくなっているのは、デザイナーのせいではありません。デザイナーは素晴らしいデザインを生み出し続けているし、本当によく頑張っていると思います。昨今の不景気は、経済政策の失敗やデザイナーを誘導する数多くの情報のせいだと思います。

例えば、サステナブルなどの言葉が流行っていますが、そういった無駄の削減はまずは大手企業がやれば良いことであり、若手デザイナーに強いることは健全ではありません。若手デザイナーは少なからずサステナブル的マインドは持ち合わせていますし、好きなだけ布を使い、自由な発想で物作りをして欲しいと思います。 

 

ー もともとクチュールを得意としていても最近ではリアルクローズに寄ったファッションを提案しているブランドが増えてきたように思えます。それについて思うことは?

クチュールは価格も高額ですし、元々多く売れるものではありません。コアな服好きの人達によって支えられてきました。現代のどの世代もお金がないという経済的な問題は政治が生み出しました。80〜90年代まで毎月の給料の中で浮いたお金が多少あり、旅行やファッションなどに使う事が出来ました。また、日本人の良さでもあり悪さでもある「底辺に合わせる」ということも関係していると思います。

ファッションでいうと海外はかっこいい基準に合わせますが、日本は「誰にでもわかることが優しさである」と思っているところがあり、底辺に基準を合わせます。ファッションとは本来真逆でかっこいいにどんどん向かうべきであり、それに対して他が追いついてくるから全体の底上げになります

 

ー 今後モノづくりの背景やストーリー性にあるモノへの関心が高まり、ブランドもそれぞれ模索しながらオリジナリティあふれる手法で表現しています。個人的に今後のファッションは物質的な価値に加え、以下に付加価値の部分が表現できるかが問われてくると思います。今後のファッションについて思うことは?

付加価値の表現っていいですよね。XANADU TOKYOもずっと拘っていきたいキーワードです。XANADU TOKYOで取り扱っているブランドの服を買うことは誰が作っているのか、どこで買ったのかという意味をも買うことになります。

また、大手衣料品店で買った大量生産の白いシャツと、自分が行かなきゃ潰れてしまう個人のお店で購入した少し高いけどこだわりのある凝ったデザインのシャツ。その上乗せされた価格は日本のファッション文化を守ることにも繋がっていることに気付いて欲しいですね。

 

ー 本橋さんは政治とファッションの繋がりにも興味があるそうですね。

モノが売れないのは、デザイナーが自由にクリエーション出来ない国にしてしまった現政権の責任が大きいと思っています。丸々1ヶ月分の給料が、生きているだけで消費税として吸い上げられていく時代、そしてその私達が預けたはずの税金は社会保障など国民に使われる事はなく彼らに吸い取られていく税金は彼らにあげた物ではなく、国民の預けた物であり、政治家はその国民への使い道を国会で考える責任がある事今一度思い出さなくてはいけません。1ヶ月浮いた給料こそが、ファッションや旅行、貯金に充てられるべきものなのです。

現状に満足していると思わされている事が恐怖であり、もっと個々が考えを持ち、友人や家族と考えをシェアしていく事、コロナを利用した世代、人種、ジェンダー、居住地域国民の分断が進んでいますが、惑わされず団結していく事がとても重要だと考えます。TVやSNSで流れる誘導に気づく事、NEWSや新聞で政治を知るのではなく、元の国会中継を見る事で現状を知る事がとても重要だと思います。

個人的に信頼しているメディアの中報道番組や映画、ドキュメンタリーを制作する有志が集まり始めた映像プロジェクト「Choose Life Project」を応援していて、僕も少しですが寄付しています。

現政権が押し進める言論の自由への弾圧は、自由なファッションデザインにも多大な影響を及ぼします。今から断固として反対の声明を出して行かなくてはいけません。

 

ー 服が欲しいけどコロナ渦で着ていく場所がないという世の中のファッション好きの声について思うことは?

着ていく場所を自分で作れば良いと思います。好きなだけお洒落して家族や恋人とディナーに行くなど機会はいくらでも増やせます。

 

ー 若手デザイナーとコミュニケーションを取る中で感じることは?

純粋に服が好きな人が多く、みんな良い人ばかりなんです(笑)ファッションは心の余裕や人柄が滲み出るものだとつくづく感じます。

ただ最近では、ファッションの学校に通う若い子の中でデザイナーやスタイリストになりたい人が少なくなっているのが目下の課題です

 

ー 若者のファッションについて思うことは?

インスタグラムなどのSNSでの評価が重要で、失敗したくないと考えている子が多いと思います。みんなすごくおしゃれなのですが、同じスタイルが多い失敗する事を恐れずに、新しいスタイルを生み出す事に果敢に挑戦して欲しいです。  

 

ー XANADU TOKYOを通して伝えたいことは?

XANADU TOKYOはこの東京において、デザイナーが自由に発想しデザインしたアイテムを発表出来る数少ない場所だと考えていますそれをお客様にも見て感じ取って欲しいこのXANADU TOKYOという場所を守っていくが僕の使命だと思います。 

 

ー本橋さんはHAPPENINGの活動に携わるなど若手デザイナーのクリエイションの発信をサポートしていると思いますが、個人としての今後の展望は?

HAPPENINGの活動は東京のファッション文化を守る上で、とても重要な役割を担っていると思いますもっと国が文化として認め、支援をするべきだと思いますし、僕自身ずっとサポートしていきたいと思います

あとは、ちゃんとデザイナーの服を買って、沢山着ていきたい、これは本当に重要。

た、今後はクリエーターのサポート精力的にしていきたいと思っています。第一弾として、アートディレクターのSHUN YOSHIKAWA、現代アートのSHUICHI MIZUTAをフィーチャーし、XANADU TOKYO初となるオリジナルブランド「XND」を立ち上げ、9月から販売予定です。

 

XANADU TOKYO
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3丁目34−7 [PLAZA F4] 4階
03-6459-2826
営業時間:13~20時(定休日:木曜日)
※現在新型コロナの影響により営業時間を短縮しています。13~18時(定休日:水・木曜日)

  • Photographer : Naoto Ikuma
  • Writer : Yukako Musha