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LIFE/STYLE

キャンプ写真家・猪俣慎吾|MOTION TO EMOTION supported by TOYO TIRES

Jul 27, 2026
走った先に、まだ知らない自分がいる。自ら一歩を踏み出し「動くこと」で呼び起こされる、新しいクリエイティビティに迫るドキュメント企画「MOTION TO EMOTION」。
今回登場するのは、47都道府県のキャンプ場を制覇し、台湾、エジプト、アフリカなど、世界中をフィールドに活動するキャンプ写真家・猪俣慎吾。
彼にとって「動くこと」は単なる移動の手段ではなく、創作そのものを駆動させる行為に他ならない。20年前、戸隠の森で出逢った一枚の景色から始まった旅は、今もなお続いている。

キャンプ写真家・猪俣慎吾|MOTION TO EMOTION supported by TOYO TIRES

Jul 27, 2026 - LIFE/STYLE
走った先に、まだ知らない自分がいる。自ら一歩を踏み出し「動くこと」で呼び起こされる、新しいクリエイティビティに迫るドキュメント企画「MOTION TO EMOTION」。
今回登場するのは、47都道府県のキャンプ場を制覇し、台湾、エジプト、アフリカなど、世界中をフィールドに活動するキャンプ写真家・猪俣慎吾。
彼にとって「動くこと」は単なる移動の手段ではなく、創作そのものを駆動させる行為に他ならない。20年前、戸隠の森で出逢った一枚の景色から始まった旅は、今もなお続いている。
Profile
猪俣慎吾
キャンプ写真家

キャンプが趣味のフォトグラファー。7年間広告写真家 中村彰三に師事。その後個人スタジオをかまえ独立。広告・料理・アウトドアの撮影が主な得意分野であり、アウトドアを中心にフォトグラファーとして活動する傍ら、キャンプコーディネーターとしても仕事をしている。外ごはん文化を広めるためのアウトドアパーティーグループ「KIPPIS」を主宰。キャンプ 歴は2005年からで、現在は息子と2人で行く父子キャンプにハマっている。2017年に星空案内人®を取得。2019年から自ら開発した『プラネタリウムテント』で天の川の解説をしながら全国を回っている。2021年10月に『絶景CAMPGUIDE』(JTB パブリッシング) を出版した。

キャンプという「自由」を撮る

僕のメインの仕事は写真を撮ることなんですが、中でもキャンプを題材に「キャンプ写真家」として活動しています。キャンプを仕事で撮る人は多いんですが、それを作家活動として続けている人はほとんどいないと思います。ブルーオーシャンですね(笑)。

近年は息子と一緒に巡る、いわば「父子キャンプ」に取り組んでいて、息子が2歳のころから9年間で47都道府県のキャンプ場を制覇し、海外でのキャンプにも一緒に行っています。

では、そもそもキャンプとは一体何か。僕は野宿であれば、どこでもキャンプだと定義しています。たとえばフィンランドには「自然享受権」という考え方があって、人の土地でなければどこでも野宿をしていいんです。ゴミを持ち帰る、環境を傷つけないという最低限のマナーさえ守れば、キャンプとは本来そういうものだと思っています。

知人から「どこでも別荘だね」と言われたことがあるんですが、まさにその通りで。今はキャンプ道具も軽量化、コンパクト化が進んでいるので、ザックやスーツケースひとつに収まってしまうんですよ。それを持って飛行機に飛び乗って、到着地でレンタカーを借りて、自分で運転し、キャンプする。日本でも海外でも、驚くほどリーズナブルに旅ができる。誰もいない砂漠でも、アフリカのサバンナでも、モンゴルの大草原でも、携帯電話の電波さえつながっていればどこへでも行ける。

本当に身軽で、本当に自由な旅ですよ。こんな旅のスタイルが、いつか世界中で当たり前になったらいいなと思っています。

 

いい写真は、偶然と偶然が重なり合ったもの

僕は生まれも育ちも東京で、いわゆる田舎というものを知らずに育ちました。20歳ぐらいから写真を始め、25歳のときにカメラマンの師匠に「戸隠イースタンキャンプ場」へ連れて行ってもらったんです。まるで森の中にいるような環境の中、草地で直火ができるという珍しいキャンプ場で、生粋の都会っ子だった僕は一瞬でハマってしまいました。ちなみに今回訪れたのも同じ場所で、今でも一番好きなキャンプ場です。

当時アシスタントだった僕は、それから毎月の給料を全部キャンプ道具に注ぎ込んで、危うくカード破産寸前に(笑)。以来20年をかけて、450か所を超えるキャンプ場を訪れましたが、その情熱に変わりはありません。

たぶん写真を撮っているからこそ、今でも心が震える瞬間が訪れるんでしょうね。いい写真は狙って撮れるものではなく、偶然と偶然が重なり合ったもので、マジックアワーの空の色なんて、天気予報士でも予想できません。プロの僕でも満面の笑みになるくらい感動する出会いが、コンスタントにあるからやめられないんです。

「いい写真とは何か」という問いを突き詰めると、あるアートディレクターの言葉を思い出します。撮影現場のみんなが一人残らず「いい」「すごい」と感じた写真が、結果的に一番いい写真になる、と。もちろんアーティストとしては自分が良いと思うものを撮っているんですが、写真家の仕事は“知らせ”を伝えることでもある。自分の視点だけに閉じず、誰かの心を震わせるものを撮れているかを大事にしています。

僕は写真を撮ることだけでなく、息子と一緒に旅をすること自体も一つの表現だと思っていますし、文章を書かせてもらっていることもアーティスト活動の一環だと思っています。キャンプという文化をもっと成熟させる一助になることが、僕にとってのモチベーションです。

 

クルマにはそれほどこだわりがないけど、タイヤだけは別

今のクルマはハイエース・スーパーGLで、人生で2台目です。最初は親から譲り受けたトヨタのマークXジオに乗っていましたが、結婚して子供が生まれ、カメラとキャンプ道具を一緒に積むには手狭になってしまって。荷物がたくさん積めるクルマという条件で考えると、ハイエース以外の選択肢はありませんでした。2列目は大人が横になれるくらいのスペースがあって、人を乗せるとみんな「ハイエースってこんなに広いんだ」と驚いてくれます。

他にこだわっていることといえば、四駆であることでしょうか。未舗装路も走るので、四駆でないと厳しい場面があります。乗り始めて7年半くらいで、走行距離は31万キロを超えました。同じ年に買った人の中でもダントツだと思います(笑)。

ただ正直なところ、クルマ自体にはそれほど強いこだわりはなくて、道具は二の次という考え方です。それでもタイヤに関しては、季節や場所によって走る路面状況が変わるため、注意を払っています。

晴れた日のキャンプだけでなく、急な雨に遭遇することもあります。道でスタックしてしまったら大変ですし、重要なツールのひとつですよね。


 

動かなければ、何も始まらない

運転は嫌いじゃないです。長い時は12時間ぐらい運転することもありますが、無になれる時間でもあります。運転はよく焚き火に似ていると言われるんですが、確かに近い感覚かもしれません。何かを考えているようで、特に何も考えていない。それって結構、貴重な時間ですよね。でも最近は、息子と話していることが多いかな。

僕の仕事は移動しなければ何も始まりません。カメラマンは“その場所”に行かなきゃいけない。そもそも僕が写真に興味を持ったきっかけは、ベトナム戦争を撮った戦場カメラマン、一ノ瀬泰造さんの存在でした。浅野忠信さんが主演した映画『地雷を踏んだらサヨウナラ』でも有名ですよね。僕は一ノ瀬さんが写した、戦場の中にある人間の営みに強く心を動かされたんです。

戦場写真も、その場所に行かなければ撮れません。その場所に行けるかどうかというのは、写真家にとって一つの才能であり、ステータスだと思っています。同じキャンプ場でも、季節や日によって風景は変わるので、自分の足でその場所に何度も足を運ばない限り、いい写真は撮れません。そのために努力すること、そのために移動すること、動くことこそが、カメラマンを構成する重要な要素だと思っています。

* * *

キャンプ写真家・猪俣慎吾が次に目指すのは、ナミビアの赤い砂漠だという。世界の果てと称される1日1組限定のキャンプ場に、息子と一緒に立つ日を夢見ている。

動くことをやめない限り、まだ知らない景色との出会いも、まだ知らない自分との出会いも、終わらない。

 

TIRE:TOYO TIRES OPEN COUNTRY A/T III

 


 

TOYO TIRES

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  • Text : Yusuke Takayama(QUI/STUDIO UNI)
  • Art Direction : Makiko Higuchi (QUI/STUDIO UNI)
  • Produce : Shun Okabe(QUI)

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