Shimokita bookmark — starring Ryuya Wakaba
撮影・構成は、映画『街の上で』のスチールも担当した写真家・木村和平。
Look 01 : tie-dye jacket ¥42,000、fringe top ¥24,000、trousers ¥28,000 / M A S U(SOHKI 03-6419-7028)、shoes stylist own
Look 02 : jump suit ¥78,000 / SHINYAKOZUKA(MATT. INFO@THE-MATT.com)、shoes ¥24,000 / Clarks ORIGINALS(Clarks Japan 03-5411-3055)、t-shirt stylist own
Look 03 : coat ¥84,000 / DRESSEDUNDRESSED(DRESSEDUNDRESSED 03-6379-1214)、top ¥17,000 / KONYA(QUI)、trousers ¥53,000 / TENDER PERSON(QUI)、shoes ¥27,850 / BLOHM(STUDIO FABWORK 03-6438-9575)
Interview with Ryuya Wakaba
— 映画『街の上で』は全編下北沢での撮影だったそうですが、プライベートで下北沢を訪れることは?
いや、まったく馴染みがなくて。シモキタって野心的な人がいるイメージで、少し苦手意識があったんですよね。僕があんまり野心のないタイプなんで、ちょっと避けてたかもしれないです。
— 映画の撮影をとおして、下北沢への印象に変化は?
『街の上で』の撮影より前に本多劇場で1カ月ぐらい芝居(M&Oplaysプロデュース『流山ブルーバード』)をやっていて、そのときにも街をいろいろまわったんですけど。
バンドマンとか俳優とか夢を持って上京した人たちが、下北沢という街に憧れを持ってやってきて、挫折や成功を経てこの街を去っていく。人が交差する場所というか、そういう儚さみたいなのがいいなと思うようになりました。
— 今作で演じた荒川青は、読書好きの古着屋店員。私生活で読書は?
書いている人の人間性が見えるものを読みます。……『危ない1号』とか。
— 青山正明さん。ディープですね。
編集者で選んだりもします。
あと山田花子さんという漫画家がいて、彼女が亡くなる直前まで書いていた『自殺直前日記』とか。そういうものが興味をそそられますね。小説も読みますし、わりと本は読む方だとは思います。
— 荒川青を演じるに当たって、役作りなど心がけたことは?
普段から役作りはしません。そもそも役作りってなに?と思っていて。俳優が役作りや芝居論についてしゃべってるのをみて胡散臭いなぁと思ってしまう(笑)。
役を理解するということは非常に危険だなと思っているんです。役を理解したと思った瞬間から、ひとつのキャラクターみたいになってしまう。どの映画でもそうですけどとくに青はキャラクター化しないというか、ひとりの人間として演じることを意識しました。青はこういうことはしない、こんなことは言わないと決めつけず、青にもこんな一面があるよねという多面性にこそ人間味があると思うので。
たとえば僕はすごくゲームやるんですけど、休みの日は表情筋とかぜんぶ落ちてるような顔でひとり部屋にこもってゲームしてて、一方、今日みたいなファッショナブルな現場や、こうやって取材受けているときとか、ちょっと格好つけてる自分もいる。普段は格好つけるのとかイヤだなと思っているのに、それでもやってしまう。だから今の僕は非常に胡散臭い(笑)。でもそういうところが人間の多面性でおもしろいと思うし、そういう矛盾を映画に持ち込みたいんです。
— 今泉監督からのリクエストは?
細かくはないです。自由にやらしてくれるんで。映画として、人物として、温度が高くなりすぎないように。そういうものも言葉として伝えられたわけでなく、共通認識として最初からあったというか。
— 台詞は台本に忠実に?
僕は忠実にやっていますね。
— 中田青渚さん演じる城定イハとの長回しシーンも?
はい。17分、実尺は18~19分撮っているんですよね、確か。
最初はもうちょっとカットを分けてたんですが、ワンカット撮って最後までいってみようと。おもしろいからそれでOKとなりました。
— 今作で思い入れのあるシーンは?
その18分長回しっていうのはすごく印象に残ったし、初めての経験だったんで思い入れはありますが、個人的にはスズナリの前での警官とのやりとりがめちゃくちゃおもしろくて。ルノアール兄弟っていう漫画家の左近(洋一郎)さんが警官を演じているんですけど、ここまで浮世離れした存在感というか……衝撃的でしたね。
ルノアール兄弟の本も読んでいて、興味があった人でした。「カット」とか「用意スタート」とかの意味も分からないんですよね。プロになるほど無くなっていくピュアさみたいなものを思い起こさせてくれましたし、単純にあのシーンはすごくおもしろかったです。
— (取材日の)午後には『街の上で』で共演した古川琴音さんを取材させていただくんですが、古川さんの印象はいかがでしたか?
宇宙人みたいな人だなって。あんまり会話が成立した記憶がなくて(笑)。違う時空で生きているというか。
こういう人が世に出て評価されていくんだろうなって漠然と思いました。僕はほんとにド凡人なんで、あの自由さというか何かにとらわれていない素敵さはうらやましかったですね。
— 劇中では古着が似合っていました。ファッションへのこだわりはありますか?
ファッションに対してそこまで頓着がないんです。ビンテージのロックTや映画Tはすごく好きで、世に出てきたまでの過程みたいなものに惹かれる。でもあんまり着ないんですよね。部屋にただひたすらTシャツだけが増えていくっていう。
— ファッションという感覚ではないんですね。
コレクションに近いかもしれませんね。Tシャツはすごい枚数持ってるんですけど、着るのは結局HanesとかB.V.D.とかそのへんだけで。現場行くのにそこまでおしゃれしてもなって。照れ臭いんですよ(笑)。
— メッセージ性が強すぎるように感じるのでしょうか。
そう。今日着てきたシャツは高良健吾くんに貰ったんですけど、クルマでここに来るとき信号待ちでぱっとシャツの裾を見たら“Change the World”って刺繍されてて(笑)。そういうのは気になる。めちゃくちゃかっこいいシャツなんで、これからも着ようとは思うんですが。
— 最後に、目指す役者像を教えてください。
さっきも話したんですが、最近はプロフェッショナルになるということに対しての矛盾のようなものを感じていて。やればやるほど技術がついて上手くなっていくことへの虚無感というか。デビュー作の生々しさみたいなものは、やればやるほど消えていくんじゃないかと。
理想でいえば5年に1本とかがベストなんでしょうね。でもそれだとメシ食えないんでやっていくんでしょうけど。でも矛盾は感じます。俳優という生き物に対して。
目指すところでいえば、誰も知らない人になるというか、アマチュアになるという意識がいまはすごくあります。そういう俳優もいていいんじゃないかな。
Profile _ 若葉竜也(わかば・りゅうや)
1989年東京都生まれ。作品によって違った表情を見せる幅広い演技力で数多くの作品に出演。16年、映画『葛城事件』で第8回TAMA映画賞 最優秀新進男優賞を受賞。主な出演作に映画『美しい星』『南瓜とマヨネーズ』『 パンク侍、切られて候 』『サラバ静寂』『ワンダーウォール 劇場版』『愛がなんだ』など。公開待機作に、映画『朝が来る』『生きちゃった』など多数。
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Information
若葉竜也さん出演映画『街の上で』
2021年春ロードショー
下北沢を舞台に紡ぐ、古着屋と古本屋と自主映画と恋人と友達についての物語。
監督:今泉力哉
脚本:今泉力哉・大橋裕之
出演:若葉竜也・穂志もえか・古川琴音・萩原みのり・中田青渚・成田凌(友情出演)
- Model : Ryuya Wakaba(N・F・B)
- Photography : Kazuhei Kimura
- Styling : Tomohiko Sawasaki(S-14)
- Hair&Make-up : Naoyuki Ohgimoto
- Art Direction : Kazuaki Hayashi(QUI / STUDIO UNI)
- Edit&Text : Yusuke Takayama(QUI / STUDIO UNI)