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須賀 京介 — 最高の裏切り

Dec 30, 2021 - FEATURE
須賀京介は、俳優として舞台「ROOKIES」など数々の舞台に出演する一方で、別名義でアーティストに楽曲提供するなど音楽家としての顔を持つ。
最近では雑誌『NYLON JAPAN』で掲載されたショートストーリーも話題に。
多彩な才能を見せる彼は何を考え、どんな未来を見据えているのか。
Profile
須賀 京介

1994年生まれ。東京都出身。慶應義塾大学卒業。学生時代に打ち込んでいたゴルフでは、フジサンケイジュニアカップ2連覇など数々の輝かしい成績を修めた。現在は役者と並行して、音楽活動、執筆活動も行っている。主な出演は、舞台「Identity V STAGE」Episode2 探鉱者・ノートンキャンベル役、舞台「ヨルハ Ver1.3a」アコール 役、舞台「ROOKIES」湯舟哲郎役など。

大学卒業とともに俳優としてキャリアを歩み始めたきっかけは?


16歳からバンド活動を始めて、20代前半の頃にはようやく楽曲提供の仕事が少しずつ増えてきました。
当時は音楽業界で演者として活躍しないとドラマや映画、舞台に出られないという大きな勘違いをしていて。
大学卒業と同時に今の事務所に所属したことが転機となり、今は音楽と役者の活動を並行してやっています。
当時は思い返せば視野が狭かったのでお恥ずかしい限りです。

周りが就職活動をするなか、就職について考えたことは?


就職する気は99%ありませんでした。現に就職活動も一切していません。
もともと学生時代はゴルフをやっていて、日本代表になるほど打ち込んでいたので、高校から大学に上がる際には有難いことに大学からのオファーも多々いただきました。
ただ高校3年生の頃にはもう芸能の道へ進む決心ができていたので、オファーをいただいた会社や大学の監督に土下座して回ったんです。
大学入学前にオファーをお断りした以上もう後戻りできないことを覚悟していました。

ファンの方々に認知されるようになったきっかけは?


2019年に出演したスクエアエニックスの世界的大ヒットゲームNieR:Automataと同じ世界観の舞台作品「ヨルハ」。この舞台が徐々に知ってもらえるきっかけにになったと思います。

現在出演作品としては舞台が多いですが、舞台の魅力とは?


舞台は音楽活動における”ライブ”により近いものを感じています。
台の上でしか起こり得ないことが毎秒毎秒起きて、違う空気、違う表情があって。
ドラマや映画など一個の作品に収めることは勿論素敵なことだと思いますが、ライブ感が好きなので今後も舞台は続けていきたいと思っています。

すでに原作がある作品を演じる際、役との向き合い方は?


以前出演したゲーム「IdentityV 第五人格」が原作の舞台Identity V STAGE」では、少年時代にゲームをやってこなかったこともあり、原作となったゲームは上手くできませんでしたが、演じるキャラクターへの造詣を深めることはできました。
原作ファンの方に対して、役作りを努力した結果として出来上がった姿に原作との乖離を感じてしまうのであれば情状酌量の余地はありますが、ただ愛のない形で返されたらキャラクターを愛している分憎しみがあると思うので、そのキャラクターの一番のファンになって演じようという気持ちで役作りに励んでいます。
作品とキャラクターについて開示されている情報は全て飲み込み、作品に描かれていない部分は想像して自分の演技に紐付けます。
そこで解釈不一致を指摘されてしまうこともありますが、開示されている情報の中で料理していくことが役者の仕事だと思っています。

今までクールな役が多いなか、体格も変えて臨んだ舞台「ROOKIES」は新たな挑戦になったのではないか考えます。


2020年は新型コロナウイルスの影響で舞台が数本飛び、発表されずにそのままなくなってしまった作品もありました。
本来であれば2020年は今までとは違う役柄を演じる機会に恵まれるはずでした。
先日千秋楽を迎えた舞台「ROOKIES」もその一つで、2020年秋に開催される予定が一年延期となりました。
ようやく開催に至り、今までとの差別化を図ろうと考えて臨みましたし、そういった意味では今だから届ける価値のある作品とも思っています。
二子玉川学園の野球部、湯船哲郎役を演じましたが、男子校出身なので入り込みやすく、共演者ともすぐに打ち解けることができました。

舞台「ROOKIES」を終え、新たな収穫として実感していることは?


初めて舞台に出演した時から先輩方から『舞台はみんなで作るものだ』と言われ続けていて、自分の頭ではわかっていましたが、今回ようやく本当の意味で理解できたように思えます。
幸運にも今回の題材が集団競技のスポーツということもあり、一丸になるということを肌で感じられました。
自分は遅咲きなので一杯一杯になってしまう部分はあったので、今回一体感を実感できたということが一つ大きな収穫だと思っています。

以前役者の友人たちとバンド「発狂會」を結成しライブを行っていましたが、今後このような活動の予定は?


「発狂會」は、音楽劇「黒と白」で一緒になった振付師としても活動する五十嵐拓人くんと、音楽活動をしている堀田竜成くんと三人で結成し、ライブを行いました。
今までの音楽活動では楽曲制作の仕事をいただき、クライアントに楽曲をお届けするという孤独の作業が続いていましたが、一緒に音楽を活動ができる仲間が増えて嬉しく思っています。
舞台ごとに新しい出会いがあり、音楽をやっている人たちもいて、出会いを無駄にしたくはないので、機会があれば全部還元させていきたいです。
また、音楽活動も準備中でなので、宜しければ期待していてください。

役者の活動と並行して別名義で様々なアーティストに楽曲提供されています。多忙を極めるなか、楽曲制作におけるモチベーションの保ち方は?


家にいるときはほぼPCに向かっています。だるいと思うことはありません。
役者をしていると稽古に行っても、台本を読んでいても、その都度インプットが多いように感じます。
音楽しかやっていなかった頃は、能天気に暮らしていたなとさえ思います。
役者という仕事は人間観察を始め、常にアンテナを張り巡らせなければならないので、その点以前よりアンテナが敏感になったと感じています。
日々インプットされる内容をすぐに持ち帰ることができて、楽曲制作の題材も尽きることもないので、モチベーションが下がらず、むしろ時間が足りていません。

現在発売中の雑誌『NYLON JAPAN』では、ショートストーリーを執筆されています。


学生時代から文章を書くことが好きで、小説を書いて小規模なアワードで賞をもらったこともありました。先日はとあるアーティストに作詞提供もしました。
ただ歌詞と小説の執筆は別として考えています。
作詞も好きですが、音の数や母音の響きに捉われずに物語を紡ぐことは昔から好きなことなので、わがままをいうのであれば今後も続けていきたいと思っています。

今回のファッションシューティングでは新しい一面が表現できたかと思います。撮影をしてみていかがでしたか?


今回の撮影では、改めて洋服の素晴らしさを感じました。
もともと自分の根幹部分では『自分以外の何者かになれる』ということに重きを置いています。
音楽であれば演奏しているときはその世界に没頭できますし、ファッションも一緒でスタイリングによって気の持ち用も違います。
今回の撮影で新しい一面を表現できたことは、重きを置いている部分と通ずるものがありました。
また、ここ2年は舞台が多かったので、おしゃれをして外出することもなく、稽古場と家を往復する日々を過ごしていました。
稽古ではダンスや殺陣、アクションがあるので、ほとんどの時間をジャージ姿で過ごしています。
撮影当日までどういう服を着るかは明かされていなかったのですが、自分の感性にドンピシャだったので久々に服に袖を通してテンションが上がりました。

役者・音楽・執筆活動と三刀流で活躍する須賀さんの将来の展望は?


役者をしていると活動の道筋がある程度予測できることが多いように感じますが、その予測を良い意味で裏切っていけたらと思っています。
それを残念な方向にしないことが自分の人生の命題です。
最高の裏切りを見せていけたらと思っています。

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  • Photograph : Kei Matsuura(STUDIO UNI)
  • Hair & Make up : Hiroyasu Ishida
  • Styling : Shun Nakagawa
  • Text & Edit : Yukako Musha(QUI)