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枠にとらわれずファッションを無邪気に楽しむ令和のクラブキッズたち|DOMICILE TOKYO

Feb 21, 2024
2017年に国内ファッションシーンの中心地である原宿に新感覚のコンセプトショップとしてオープンした「DOMICILE TOKYO(ドミサイル東京)」。
アップカミングなアーティスト、クリエーターとタッグを組み最先端のカルチャーを発信していることからファッションに敏感なクラブキッズたちの御用達としても知られている。今回は販売スタッフのKimさんに接客を通じて感じられる現代のクラブキッズたちのファッション感覚を聞いてみた。

枠にとらわれずファッションを無邪気に楽しむ令和のクラブキッズたち|DOMICILE TOKYO

Feb 21, 2024 - FASHION
2017年に国内ファッションシーンの中心地である原宿に新感覚のコンセプトショップとしてオープンした「DOMICILE TOKYO(ドミサイル東京)」。
アップカミングなアーティスト、クリエーターとタッグを組み最先端のカルチャーを発信していることからファッションに敏感なクラブキッズたちの御用達としても知られている。今回は販売スタッフのKimさんに接客を通じて感じられる現代のクラブキッズたちのファッション感覚を聞いてみた。
Profile
DOMICILE TOKYO
コンセプトショップ

ファッションから⾳楽、アートなど様々なカルチャーに多角的に焦点を当て、最先端のアンダーグラウンドカルチャーを発信しているコンセプトショップ。
店内では国内外の新進気鋭ブランドのアイテム販売のほか、併設されたギャラリーで気鋭のブランドやアーティストの展示を行っている。

※掲載アイテムの中には、完売しているアイテムもあります。予めご了承ください。

常に新感覚を大切にしているDOMICILE TOKYO

—DOMICILE TOKYOのお客さんの年齢層はどんな感じでしょうか。

Kim:メインは20代前半ぐらいで、販売スタッフもお客さんと同世代が多いです。スケーターの方は中学生、高校生も服を買いにいらっしゃいますよ。DOMICILE TOKYOには海外のアーティストのお客さまもいらして、そこは年齢的には大人が多いです。

—海外の方はどうやってDOMICILE TOKYOを知ったのでしょうか

Kim:主に口コミみたいですね。ショッピングではなくて、「今はどんな新しいことをやっているのかな?」って感じでポップアップを目的にふらっと遊びにくることも多いです。DOMICILE TOKYOとしては遊びにくるだけでも大歓迎です。

—店内には服だけでなくレコード、アクセサリー、オブジェとラインナップされていて確かに訪れるたびに新しい出会いがありそうです。

Kim:セレクトショップは一般的にはシーズンに合わせてアイテムを仕入れると思いますが、DOMICILE TOKYOはそこはあまり気にしていないんです。常に新感覚であることを大切にしているので、その時におもしろそうだと思ったら夏でもフリースを、冬でもタンクトップを販売しています。

—今回は「クラブキッズが訪れるショップ」としてDOMICILE TOKYOにお話を聞きにきました。クラブキッズたちはどんなアイテムを選んでいますか。

Kim:DOMICILE TOKYOで取り扱っているアイテムをメインにコーディネートするというよりは、自分たちの好みのスタイリングにもうひとつ新しくて小洒落たアイテムを加えたいと探しにくる方が多いように感じます。

自分の見せ方にセンスを感じる

—クラブキッズのファッションには音楽カルチャーが欠かせないとは思いますが、お客さんのスタイリングにもそれは表れていますか。

Kim:ファッションだけを見るとその人の好きな音楽というのは、以前のファッションシーンに比べわかりづらくなってきている気がします。自分も80年代、90年代のクラブキッズをリアルに知っているわけではないですが、昔はパンク系やヒップホップ系など、もっとわかりやすかったのではないでしょうか。現代のクラブキッズたちはその日の気分によってスタイリングを変えて、ファッションや音楽の枠にとらわれていないような感じです。

—昔は音楽カルチャーに感化された人たちはファッションも完コピのようなイメージがありますが、今のクラブキッズは自分でアレンジできるセンスがあるんですね。

Kim:ソーシャルメディアの普及により情報を手に入れやすい今日ですが、調べてから買いにくるというよりか、店頭でファッションアイテムもビジュアル的にピンときたものをピックアップしているお客さんがとても多い印象です。アレンジや自分のスタイルに崩すのが上手いなって思います。型に固執しないってファッションを楽しむうえですごく大事なことだと思います。

—DOMICILE TOKYOは2017年のオープンですが、約7年間でクラブキッズの価値観にも変化のようなものは感じていますか

Kim:クラブキッズたちの捉え方もそうですが、ファッションや音楽の境界性はなくなりつつあります。DOMICILE TOKYOでも過去はファッションイベントと音楽イベントは別物でしたが、音楽シーンがファッションに寄り添い、ファッションシーンが音楽に寄り添うようになりカルチャーが混ざりつつあります。お店を訪れるクラブキッズもジャンルにこだわらず、自分が素直にかっこいいと思うファッションアイテム、イベントを選ぶようになっています。

—クラブキッズというと90年代などはサイバー系が象徴的でファッションもバチバチでしたが、今はその時代とは対照的ですね。

Kim:アピールしたい、目立ちたいという感覚は90年代も2000年代も、令和になっても同じだと思いますよ。ただ目立つためのポイントは変わってきているのではないでしょうか。サイバー系だとリフレクターなどのギラギラ素材が主流でしたが、今はポップで大胆な構図の色柄などが好まれていて、目立つにしても悪目立ちはしない。これとこれを組み合わせるのはアリやナシも気にしていないですし、SNSなどで自分を見せることにも慣れているのでそこはセンスを感じます。最先端のファッションスナップを撮影するならやはりクラブがいちばんのスポットではないでしょうか。

—クラブキッズのファッション感覚に変化があるとしたら、DOMICILE TOKYOのセレクトにもやはり影響はあるのでしょうか。

Kim:かっこいいと感じたアイテムやクリエイターを選ぶという感覚はDOMICILE TOKYOとしても同じです、セレクトの基準として知名度などは優先していないです。今はブランドなどについてすごく詳しいお客さんもいるので、スタッフも同じぐらいの知識がないと会話にならないのですが、DOMICILE TOKYOの場合はまだ誰も知らないブランドが多いので僕たちもお客さんと一緒になってブランドの価値や変化を楽しむこともあります。

推しはハンドメイドなどの素直なクリエイション

—DOMICILE TOKYOが思う現代のクラブキッズらしいアイテムやブランドがあれば教えてください。

<Annabel P.Lee>
Long Sleeve Painted
24,200円

Kim:これは<Annabel P.Lee(アナベル)>というニューヨークのブランドですが、ペイントはすべてアーティストの手作業なんです。オンリーワンの感覚がかっこいいと、クラブキッズたちからよく選ばれています。

<MIRACLE SELTZER>
ZIP HOODIE
47,300円

Kim:こちらの<MIRACLE SELTZER (ミラクルセルツァー) >は「奇跡の炭酸水」という意味で、その名の通り炭酸水も作っているブランドです。クリエイターがアートにも精通しているのでプリントの配置などは大胆です。先ほども話しましたが今はペイントの手法やプリントの構図などで目立つというのがクラブキッズたちのベーシックになっています。

—90年代のサイバー系に見られたリフレクター装飾などよりもちょっとすましている表情が今っぽいですね。

Kim:今のクラブキッズたちはモノ選びの視点はすごく素直で、ファッションを頑張りすぎていないですね。なのでハンドメイドやクラフトといったちょっとゆるい感じもキーワードになっています。

<DaytimeNovella>
Long Sleeve Polo Printed Houndstooth
37,400円

Kim:<DaytimeNovella (デイタイムノヴェラ) >のポロは、デザイナーがセレクトしたデットストック生地を使用し、一点一点作製されている限りなく一点物に近いです。
さらに本来ならば裏面に隠す縫い目をあえて表面にすることで、遊び心は加えながらも頑張りすぎない心地よい存在感を実現させています。<SETIMIENTO>
jersey dress【blue + blue】
71,500円

Kim:メキシコで設立された<SETIMIENTO>のドレスも、古着のユニフォームやレースなどを組み合わせオンリーワンのアイテムとして完成させています。色使いも柄のパターンも大胆ですよね。僕はDOMICILE TOKYOで働くようになって最初は新感覚のアイテムセレクトに驚くことも多かったです。でも「売れる」ってのがひとつの答えなので、これでいいんだって今では思っています。

—お店でクラブキッズと接することで、次なるトレンドのような兆しを感じたりしますか。

Kim:ハンドメイドというのはひとつあると思っていて、DOMICILE TOKYOとしても推していきたいと考えています。クラブキッズのファッション感覚が素直であるように、手作業や手作りってクリエイターの感性がそのまま偽りなく反映されてアイデンティティにもつながりますからね。工場で機械によって生産されたものに比べて縫製のクオリティなどは落ちることもあるのですが、「ちょっとヤバい」ところに魅力を感じてお店に置きたくなる、お客さんに紹介したくなるアイテムってあるんです。

—お客さんもDOMICILE TOKYOらしいセレクトのノリを楽しんでいるような気はします。実際にここでしか出会いないブランドやアイテムもたくさんありますよね。

Kim:うちで選んだ服を着て、アクセサリーを身につけてクラブに繰り出すというお客さんはすごく多いです。なのでクラブキッズのトレンドに合わせてセレクトするお店というよりも、DOMICILE TOKYOから最旬のクラブキッズファッションが生まれていくといいなとは思っています。

DOMICILE TOKYO
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前4丁目28−9
Everyday 12:00-20:00
HP:https://domicile.tokyo/
Online shop:https://domicile-tokyo.shop-pro.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/domicile.tokyo/

  • Photograph : Masamichi Hirose
  • Text : Akinori Mukaino
  • Edit : Yukako Musha(QUI)

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