QUI

FASHION

未来に受け継がれるスタンダードを生む新プロジェクト|BARNEYS NEW YORK by ANCELLM

Jul 22, 2026
BARNEYS NEW YORKが「MODERN HEIRLOOMS(未来へ受け継がれる定番)」をテーマにしたプロジェクト『BARNEYS NEW YORK by』を始動させた。BARNEYS NEW YORKのメンズチームマネージャーの髙橋直樹は「モノづくりの深い領域にまで踏み込む別注とは一線を画すもの」と話す。共創ともいえる第一弾のブランドとして白羽の矢が立ったのが<ANCELLM(アンセルム)>。デザイナーの山近和也が「BARNEYS NEW YORK仕様のための新たな試みが多かった」というプロダクトは、<ANCELLM>を見続けてきたQUI編集部にとっても新鮮なものだった。

未来に受け継がれるスタンダードを生む新プロジェクト|BARNEYS NEW YORK by ANCELLM

Jul 22, 2026 - FASHION
BARNEYS NEW YORKが「MODERN HEIRLOOMS(未来へ受け継がれる定番)」をテーマにしたプロジェクト『BARNEYS NEW YORK by』を始動させた。BARNEYS NEW YORKのメンズチームマネージャーの髙橋直樹は「モノづくりの深い領域にまで踏み込む別注とは一線を画すもの」と話す。共創ともいえる第一弾のブランドとして白羽の矢が立ったのが<ANCELLM(アンセルム)>。デザイナーの山近和也が「BARNEYS NEW YORK仕様のための新たな試みが多かった」というプロダクトは、<ANCELLM>を見続けてきたQUI編集部にとっても新鮮なものだった。

別注とは一線を画すBARNEYS NEW YORKの新たなレーベル

—BARNEYS NEW YORKは、これから異なるブランドと毎年共創していくと聞いています。そのプロジェクトはどのような理由で始動させることになったのでしょうか。

髙橋:BARNEYS NEW YORKは「Select, don’t settle.」を企業理念として掲げ、既成概念にとらわれることなく「本当に価値がある」と感じたものをセレクトし、お客様に提案し続けてきました。今回のプロジェクトはその考え方をさらに発展させるためにスタートさせたものです。

—さらなる発展を考えたときに、ブランドとの共創というのはどういう意味を持つのでしょうか。

髙橋:同じ価値観を持つブランド、優れた技術を持つデザイナーと価値のあるプロダクトを新たに作り上げたい、未来へ受け継がれるスタンダードを生み出したいという想いがこのプロジェクトに込められています。なので『BARNEYS NEW YORK by』は単なるコラボや別注とは一線を画すもので、新たに誕生したレーベルといえます。

—このプロジェクトにおいてブランドとの共創で大切にしている指針のようなものはありますか。

髙橋:ブランドの思想や個性は尊重したいという思いは強く持っています。同時にBARNEYS NEW YORKのお客様に刺さるアプローチは意識していきたい。取り組みの第一弾として<ANCELLM>に声をかけたのも山近さんの独自の視点、考え方というのが魅力的だったからです。<ANCELLM>は素材や加工を「時間」や「愛着」という価値に変換させることに長けているので、山近さんとなら「未来へ受け継がれるスタンダード」を生み出せると思いました。

—「別注とは一線を画す」ということですが、山近さんは今回のプロダクトはゼロから考えていったのでしょうか。

山近:ほぼゼロベースといっても過言ではありません。「どういうプロダクトであればBARNEYS NEW YORKのお客様に刺さるのか」というのを髙橋さんからヒントをもらいながら考えていきました。

—<ANCELLM>との取り組みでは「時間によって磨かれる」というキーワードを掲げていますが、それはどのような発想から生まれたのでしょうか。

髙橋:<ANCELLM>といえば加工技術です。新品であっても長年愛用していたような雰囲気が魅力なので、誰かが着続けてきた、穿き続けてきたような気配を「時間」という言葉に置き換えてみたらどうだろうと思ったんです。

山近:インディゴってワンウォッシュだけではコーディネートしにくかったりするんです。なので今回は茶色を重ねて表情に深みと柔らかさを出したデニムパンツを作りました。最初から穿きやすい、だからといって古着を模しているわけでもない。そんなバランス感で「時間」を表現しました。

—「服に時間の流れが宿る」というのは山近さんにとっては本領発揮ですね。

山近:「着てみたい」、「穿き続けていきたい」と思ってもらえるような服を作りたいというのはいつも思っていることです。加工に関しては「<ANCELLM>だったらここまでやるけど、BARNEYS NEW YORKとの取り組みだからここまで」と自分の中でラインは引きました。

—加工の出し入れのような線引きはどのような基準で決めたんですか。

山近:自分がイメージするBARNEYS NEW YORKのお客様というのもありますし、実際に店舗でお客様を観察もしました。そうすることで普段は<ANCELLM>では取り入れていない加工も「BARNEYS NEW YORKならアリかもしれない」と載せてみたり、そんな実験的なこともやらせてもらいました。

髙橋:おとなしすぎるとインラインの別注と変わらなくなるので、山近さんのクリエーションにあまり口出しはしませんでした。

山近:やりたいことをやっていいという感じで、BARNEYS NEW YORKの懐は本当に深かったですね(笑)。

BARNEYS NEW YORK仕様でも<ANCELLM>仕上げを貫く

—今回のプロジェクトのミッションでもある「未来へ受け継がれるスタンダード」をBARNEYS NEW YORKはどのように考えているのでしょうか。

髙橋:矛盾するような考えかもしれませんが、普遍性もあり新しさも感じる。流行に左右されることはないけれど、その時代の価値観にフィットしていく。それが「未来へ受け継がれるスタンダード」なのかなと思っています。


—そのようなストーリーをプロダクトにどのように落とし込んだのでしょうか。例えばレザージャケットは?

髙橋:着やすさでいえば柔らかいレザーを選ぶことが多いかもしれませんが、こちらはあえて無骨なホースレザー製です。着続けることで表面のブラックが擦れて下地のブラウンが現れ、奥行きのあるグラデーションが生まれます。時間をかけて育てることで唯一無二の風合いを楽しめます。

山近:インラインでは艶のあるレザーが多いのですが、そこは好みもわかれると思うので誰もが着やすいように質感はマットにしました。体型も年齢とともに変わってくるので、長年着られるようにフィット感も工夫しています。BARNEYS NEW YORKのお客様って世代も幅広いですからね。

—BARNEYS NEW YORKのお客様をイメージして組み立てていったんですね。

山近:カバーオールは衿をコーデュロイに切り替えているのですが、BARNEYS NEW YORKのお客様って大人のイメージもあるのでクラシックな表情を添えたかったんです。ステッチもシングルにしているのはカジュアルなアウターのようでも見た目は端正に仕上げたかったからです。

—今回でいえばBARNEYS NEW YORKですが、そういう特定の顧客のために作るというのはいつもの服作りと感覚は異なりますか。

山近:<ANCELLM>の服は自分が「これが正解」と思えば自信を持って発表しますが、今回は「BARNEYS NEW YORKは正解と思ってくれるかどうか」と探っていく感じもあったので、いつもの服作りの感覚とは少し異なりましたね。でも「これが正解に違いない」ぐらいのつもりで作りました。もう、そこは思い込みぐらいで(笑)。

髙橋:インラインのカバーオールはBARNEYS NEW YORKでも買い付けているのですが、それとは全く表情が異なって個人的にもすごく気に入っています。すでに<ANCELLM>を持っている人も次の一手に選びたくなるだろうなって思います。

山近:初めて見せたときに髙橋さんの表情が「ハッ!」ってなっていました(笑)。

髙橋:カバーオールだけではなく、山近さんの提案はこちらの想像を超えてくるものが多かったですね。

—いつもの<ANCELLM>とは別のスタイルも打ち出したかもしれませんが、「ここだけは<ANCELLM>らしさを貫いた」というのはありますか。

山近:加工やシルエットなどはBARNEYS NEW YORKを意識して調整したのですが、「着用したときに醸し出す<ANCELLM>らしさ」というのは絶対にブレないようにしました。細部はBARNEYS NEW YORK仕様でも、全体のバランス感は<ANCELLM>仕上げというのは貫いたところです。

モノづくりの深い領域にまで踏み込むことができたという実感

—山近さんには以前もQUIのインタビューに登場いただいて、地元の工場や職人さんとのコミュニケーションを大事にされているのが伝わってきたのですが、それは今回も同じですか。

山近:それは変わらずです。今回のプロダクトも岡山の工場や職人さんの技術が随所に活かされていますし、BARNEYS NEW YORKとの取り組みのおかげで新しい仕事を発注できて、良好な関係性を築けていると思います。

髙橋:山近さんは工場を訪れて職人の隣に立って直接レクチャーするって聞いて、そこまで近しい関係性を築いているデザイナーと職人ってあまりいないと思うんです。そのつながりも素敵ですよね。

—そういう山近さんのモノづくりの熱量もBARNEYS NEW YORKとしてはオファーの理由だったんでしょうね。

山近:BARNEYS NEW YORKから今回のプロジェクトのお話をいただいたときにインラインとは別のアプローチを考える必要があるので少し大変かもと思ったのですが、同時に通常のコレクションでは取り入れていないような加工が試せるという楽しみもありました。

—山近さんがよく口にされている「実験的な服作り」ですね。

山近:インラインと比べてどんな評価をされるんだろうと思いましたし、もしも現行よりも評判になったとしたら、それはそれでおもしろいなって。

髙橋:BARNEYS NEW YORKとしては別注では難しかったモノづくりの深い領域にまで踏み込むことができて、満足度はすごく高いです。<ANCELLM>のようなアイデンティティが明確なブランドと取り組むことで新しい価値、強い個性を生み出すことができると確信しました。タグひとつをとっても、加工前の生地を使うことで製品との違いを体感できるようになっています。そうした細部までブランドの思想を共有しながら形にできたことも今回のプロジェクトならではでした。

—<ANCELLM>以降のブランドが、BARNEYS NEW YORKをどう解釈して、どうアウトプットしていくか、山近さんとしてもこれから注目したくなるかもしれないですね。

山近:僕の解釈やアウトプットがBARNEYS NEW YORKのプロジェクトにとって正しい方向なのか、トップバッターなので全くわからないです。ですがBARNEYS NEW YORKにとってもまだ手探りのような第一弾だったからこそ、自由に楽しくやらせてもらえました。

—ファッションは自己表現をと考えるQUIとしては、装いの同質化と真逆に向かうBARNEYS NEW YORKのプロジェクトは注目し続けたいですし、応援もしたいです。

髙橋:ありがとうございます。BARNEYS NEW YORKとしてもファッションというジャンルに変化をもたらすような活動は積極的に取り組んでいきたいと思っています。


BARNEYS NEW YORK
特設HP:https://onlinestore.barneys.co.jp/feature/barneys-new-york-by-ancellm_lp
インスタグラム:@barneysjapan

ANCELLMのinstgramはこちら

  • Interview Photography : Kaito Chiba
  • Text : Akinori Mukaino(BARK IN STYLE)
  • Edit : Yusuke Soejima(QUI)

NEW ARRIVALS

Recommend