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ヘルシンキの中心で“何もしない贅沢”を知る、Hotel St. Georgeで過ごした5日間 – QUI編集部シャルルのホテル体験記

Jul 7, 2026
コロナ期間から始まり、これまでリトリートを軸に日本各地のホテルや宿を取材させていただき皆様にお届けしてきました。今回、この連載初となる海外ホテルをご紹介する機会に恵まれました。初回を飾ってくれるのは「Hotel St. George」。北欧のベストシーズンである夏目前の素晴らしいホテルでの体験をお届けします。

ヘルシンキの中心で“何もしない贅沢”を知る、Hotel St. Georgeで過ごした5日間 – QUI編集部シャルルのホテル体験記

Jul 7, 2026 - LIFE/STYLE
コロナ期間から始まり、これまでリトリートを軸に日本各地のホテルや宿を取材させていただき皆様にお届けしてきました。今回、この連載初となる海外ホテルをご紹介する機会に恵まれました。初回を飾ってくれるのは「Hotel St. George」。北欧のベストシーズンである夏目前の素晴らしいホテルでの体験をお届けします。

舞台となったのは、フィンランド・ヘルシンキを代表するラグジュアリーホテル「Hotel St. George」。今回私は、毎年5月末にヘルシンキで開催されるファッションイベント「Fashion in Helsinki」に参加しました。取材を目的とした今回の滞在は、決してゆったりとしたものではありませんでしたが、街の中心部に位置するこのホテルで、快適かつ充実したワークステイを過ごすことができました。朝からショーやプレゼンテーション、ブランド訪問、工場見学が続き、ヘルシンキ市内を駆け回るような日々。慌ただしいスケジュールのなかでも、このホテルは常に変わらない拠点として旅を支えてくれました。

ヘルシンキ中心部、オールドチャーチパークの目の前に位置する「Hotel St. George」は、2018年に開業したラグジュアリーホテルで、歴史ある建築をリノベーションして誕生し、世界的なラグジュアリーホテルネットワーク「Preferred Hotels & Resorts」にも加盟しています。しかし、このホテルの魅力は単なる高級感だけにとどまりません。

館内に一歩足を踏み入れた瞬間から感じるのは、北欧ならではの静けさと知性。吹き抜けのロビーには巨大なアート作品が浮かび、館内の至るところに現代アートやデザインピースが点在しています。まるで美術館とホテルの境界線が曖昧になったかのような空間が広がり、滞在そのものが豊かな文化体験へと変わっていきます。そして何より印象的だったのは、「どこへ行くにもアクセスが良い」という実用性と、「街の中心にありながら驚くほど静かである」という相反する魅力を見事に両立していることでした。慣れない海外での取材では、移動のしやすさと心身を休められる環境の両方が欠かせません。このホテルがもたらしてくれた安心感は、想像以上に大きなものでした。

今回宿泊したのは、Atelier Room。「Hotel St. George」の客室のなかでも特に個性が際立つカテゴリーのひとつで、その名の通りアーティストのアトリエをイメージしてデザインされています。部屋に一歩足を踏み入れると、まず目を引くのは高い天井と大きな窓。たっぷりと差し込む自然光が空間を明るく照らし、開放感あふれる雰囲気を演出しています。

窓の外にはヘルシンキの街並みと豊かな緑が広がり、自然光が室内へ柔らかく差し込みます。北欧らしいミニマルな空間でありながら、鮮やかな色彩やアート作品が絶妙なアクセントとなり、無機質さは感じません。まさに私たちが想像する北欧感です。ベッドは驚くほど快適で、取材で歩き回った身体を優しく受け止めてくれました。さらに広々としたバスルームには上質なアメニティが揃い、細部に至るまでラグジュアリーホテルとしてのこだわりを感じました。

また、特に印象的だったのはこの部屋が単なる宿泊のための空間ではなく、創造性を引き出すワークスペースとしても機能していたことです。滞在中は部屋で原稿を書いたり、撮影した写真を整理したりする時間も多くありましたが、不思議なほど思考がクリアになり、作業に自然と没頭することができました。大きな窓から差し込む柔らかな光を眺めながらコーヒーを片手に次の記事の構想を練る時間は、今回の旅のなかでも特に印象に残っています。日々の業務と向き合っていると、どうしても思考はルーティン化してしまうもの。しかし環境が変わることで視点が少しずつほぐれ、新しい発想や気づきが生まれる。Atelier Roomには、そんな創作の余白を自然につくり出してくれる魅力がありました。


そして滞在中、わずかな空き時間を見つけて足を運んだのが地下のスパエリアです。フィンランドといえばサウナ文化で知られていますが、「Hotel St. George」のスパは、それを単なる旅行者向けの体験に終わらせません。サウナでじっくりと身体を温めた後は、静かなプールへ。水に身を委ねながら天井を見上げていると、慌ただしく過ぎていった一日の時間が少しずつ遠ざかっていくような感覚に包まれます。ヘルシンキ中心部にいることを忘れてしまうほど穏やかな空間で、取材のために街を駆け回る日々のなか、この時間だけは確実に身体と頭をリセットしてくれる存在でした。フィンランドではウェルビーイングが単なるトレンドではなく、日常に根付いた文化として息づいています。その価値観を最も実感できた場所は、このスパだったのかもしれません。ラグジュアリーホテルに滞在しているという感覚よりも、自身のコンディションを整えるための時間を持つ、そんな体験がここにはありました。

そしてもう一つ、このホテルの大きな魅力が毎朝の朝食です。北欧らしいシンプルなビュッフェを想像していましたが、その内容は期待を大きく上回るものでした。新鮮なフルーツをはじめ、上質なチーズやハム、丁寧に調理された温かい料理が並び、一日の始まりを豊かに彩ってくれます。

なかでも印象に残ったのがパンのクオリティ。その理由は、ホテルに併設された人気ベーカリー「St. George Bakery」にあります。宿泊客だけでなく地元の人々も足を運ぶこのベーカリーには、朝から焼きたてのパンの香りが漂い、心地よい活気に包まれています。

実際に滞在中も利用しましたが、観光客向けの施設というよりは、ヘルシンキの日常に自然と溶け込んだ場所という印象を受けました。旅先でありながら、その街の暮らしの一部に触れられる。そんなローカルな空気感もまた、このホテルならではの魅力だと感じます。ラグジュアリーホテルというと、豪華なインテリアや特別なサービスに目が向きがちです。しかし、「Hotel St. George」が提供している本質は、それだけではありません。この連載で何度も触れてきた「余白」という言葉が、まさにこのホテルを表していると感じました。

忙しいファッションウィークのなかで、このホテルは単なる滞在先以上の存在でした。取材の拠点として機能しながら、ときには思考を整理し、ときには何もしない時間を受け止めてくれる。ヘルシンキの中心にありながら別世界のような静けさを持つこの場所は、旅のリズムを整えてくれる大切な存在です。

海外で初めて紹介するホテルが、この場所で本当に良かったと思います。慌ただしいファッションウィークの記憶とともに、「Hotel St. George」で過ごした時間もまた、ヘルシンキという街を語るうえで欠かせないものになりました。

 


 

Hotel St. George

フィンランド・ヘルシンキ中心部に位置するモダンなラグジュアリーホテル。歴史ある建物を改装した洗練された空間に、北欧デザインと現代アートを融合させた上質な滞在を提供している。館内にはスパやサウナ、レストラン、ベーカリーを備え、心身ともにリラックスできる環境が整う。中央駅や主要観光スポットへのアクセスも良く、観光・ビジネスの拠点として人気の高いホテルだ。

Yrjönkatu 13 C, 00120 Helsinki, Finland

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Hotel St. George

  • text : Charles Kawamoto(QUI)
  • edit : Miwa Sato(QUI)

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