QUI

FASHION

ReStyle30周年|アニバーサリーイヤーのための特別な企画にQUIが密着

Mar 27, 2026
2026年に30周年を迎えた伊勢丹新宿店本館3階の「ReStyle(リ・スタイル)」。これから「ReStyle」で開催される特別なイベントやコラボレーションなど、アニバーサリーイヤーの企画に込めた想いを、これまで多くのデザイナーズブランドをメディアとして取り上げてきた「QUI(クイ)」を通してを発信していく。そのプロローグとして30周年の旗振り役でもあるバイヤーの橋本航平が、「ReStyle」がこれから世の中に届けていきたいことを語った。(Photo by Yuta Nakazawa)

ReStyle30周年|アニバーサリーイヤーのための特別な企画にQUIが密着

Mar 27, 2026 - FASHION
2026年に30周年を迎えた伊勢丹新宿店本館3階の「ReStyle(リ・スタイル)」。これから「ReStyle」で開催される特別なイベントやコラボレーションなど、アニバーサリーイヤーの企画に込めた想いを、これまで多くのデザイナーズブランドをメディアとして取り上げてきた「QUI(クイ)」を通してを発信していく。そのプロローグとして30周年の旗振り役でもあるバイヤーの橋本航平が、「ReStyle」がこれから世の中に届けていきたいことを語った。(Photo by Yuta Nakazawa)

人生を謳歌するためにデザイナーズファッションがある

—30年前に伊勢丹新宿店はどういう想いで「ReStyle」を立ち上げたのでしょうか。

橋本:30年前はセレクトショップという形態もまだまだ少なかったそうですが、新しいスタイリングを通じて、新しい生き方までを提案するために、独自セレクトのショップの必要性を感じて「ReStyle」をスタートさせたと聞いています。

—30年前から「ReStyle」が変わらずに大切にし続けていることはありますか。

橋本:インキュベーションというのは僕を含めて歴代の「ReStyle」バイヤーが大切にしてきたことで、これから世に出てきてほしい、世に知られる存在になってほしいという新しい才能を感じさせるデザイナーズブランドを発掘することが「ReStyle」の使命のように考えています。ブランドの成長をサポートすることで、「ReStyle」も一緒に成長していきたいという想いはずっと変わらないです。

—新しい才能をフックアップするというのは伊勢丹新宿店らしさだと思いますが、同時にファッション好きのお客さまのためでもある?

橋本:伊勢丹新宿店のお客さまはファッションに刺激を求めて、まだ見たことも聞いたこともないようなブランドに出会いたいという方は多いと思います。顕在ニーズに応えることは当然ながら、驚きや感動を届けるために少しだけ先回りして潜在ニーズに応えることも百貨店の重要なことだと伊勢丹新宿店としても「ReStyle」としても考えています。そういう考えは「ReStyle」に連綿と宿るDNAのようなものですね。

—インキュベーションという核はブレることはなくても、30年もショップを続けていくと転換期などもあったのでしょうか。

橋本:僕がリアルに現場を知る限りではファッション業界にとってコロナ禍というのは大きな転換期ではありました。百貨店はエッセンシャルワーカーではないとされたわけですから、「ReStyle」としてもあらためて自分たちの立ち位置を見直すきっかけにはなりました。

—立ち位置を見直して新たに自分たちがやるべきことは見えてきましたか。

橋本:ファッション業界がエッセンシャルワーカーではなかったとしても、ファッションへの思いが強い方たちとは「洋服は人生を彩るためにある」という共通認識を持てるのですが、百貨店は公共施設のような側面もあり、来店されるすべてのお客さまがファッションに対して熱量が高いわけではありません。「かっこいい」や「おしゃれ」だけではダメで、ファッションはさまざまな付加価値までを提案していかなければいけないというのはコロナ禍を機に強く感じたことでした。

—かっこよくなれる、おしゃれに見えるだけではなく、ファッションにはそれ以上の価値や役割があると。

橋本:「ReStyle」は25周年のときに「Beautiful Choice」というスローガンを掲げたのですが、そこに込めたのは「日々の洋服を選ぶことは、自分の人生を選ぶこと」という想いです。「サステナブル」と「ファッショナブル」の架け橋になるのが「Beautiful」ではないかと考えて選んだもので、「自分のためになり、世の中のためもなるファッションって素敵だと思いませんか」というメッセージを発信したかったんです。

—30周年の「ReStyle」はどのようなテーマを掲げているのでしょうか。

橋本:コンセプチュアルなデザイナーズファッションをお客さまの日常とつなげていくことを目的として「ライフスタイリング」を30周年のテーマにしています。自己表現の手段が洋服だけではなくなっていて、ファッションといつもの毎日のつながりが薄くなってきているように感じています。「ReStyle」がセレクトしているのはデザイナーズブランドですが、クリエイティブとしては申し分がなくても、お客さんの反応は「このようなデザインの服をどこで着たらいいんだろう?」で終わってしまうこともあります。なので「ReStyle」はデザイナーズブランドをお客さまの日常とつなげていく役割を担わないといけないと思い、「ライフスタイリング」というコンセプトを策定したんです。

—橋本さん自身はデザイナーズファッションの存在意義をどのように捉えていますか。

橋本:デザイナーの思想や哲学、ブランドのストーリーが落とし込まれたデザイナーズブランドの服ってパワフルだと思うんです。そういう服は着ることで気持ちがあがったり、元気をもらえたりする。もしかしたら生き方にまで影響を及ぼすかもしれない。そんな強いパワーが宿る服って女性が人生を謳歌するためにも必要だと思っています。

—橋本さんが「ReStyle」のセレクトとして意識されていることはありますか。どんなブランドに惹かれますか。

橋本:百貨店のお客さまは世代もバラバラ、服の好みもさまざまですから「ReStyle」のセレクトにはジャンルやテイストの縛りをかけていません。それでもなんでもありではショップの方針も伝わらないので、「世の中に届けたいメッセージが明確で、ブランドのアイデンティを感じられること」をセレクトのひとつの基準にしています。「この服が世に出たら社会や女性の心境に変化が生まれるはず」と想像ができるようなブランドと出会えるとバイヤーとしても喜びは大きいです。

—「心境変化が想像できる」というのは女性の日常とつながる服でもありますよね。

橋本:デザイナーズブランドなのでパーソナルなナラティブなことがクリエーションの起点であってもいいと思います。ただ、それが独りよがりでは共感もできません。パーソナルなことではあるけれどパブリックに広がっていけるブランドというのは、やはりパワフルさを感じますし、日本のブランドでも世界に進出できる可能性を秘めていると思います。

「日常に溶け込む」というデザイナーの願いを叶えたい

ReStyleと共に成長してきたデザイナーからの寄せ書き(Photo by Yuta Nakazawa)

—ReStyleは30周年として多くのイベントも開催するそうですが、伊勢丹新宿店のひとつのショップが大々的に周年を祝うのはあまり記憶にないです。

橋本:僕も記憶にないです(笑)。あくまで個人の考えではありますが、デザイナーズってすべてのファッションの先頭を走っている存在であるべきだと思っています。デザイナーズが新たなファッションカルチャーを切り開いて、そこにラグジュアリーやリアルクローズが続いている。なので企業スローガンは変わっても今でも「ファッションの伊勢丹」と言われる百貨店としてデザイナーズブランドへのリスペクトがあり、それを取り扱う「ReStyle」を会社として盛り上げようということなのかもしれません。社長の考えを聞いたわけではないので本当のところはわかりませんが(笑)。

—周年を祝うというのは「これまでやってきたことを振り返り、これからも変わらず続けていきます」という宣言のようなものですよね。

橋本:本当にそうだと思います。

—30周年にふさわしいイベントとして、どのような企画が用意されていますか。

橋本:「ファッションをお客さまの日常とつなげていく」という考え方をベースに、「ファッションではないフィルターを通してファッションを楽しむ」と「誰かのための一点物」という大きな軸が2つあります。どちらもデザイナーズブランドならではのコンセプチュアルなクリエイティブを日常に溶け込ませるための架け橋になってほしいという想いで企画を考えました。

—「ファッションではないフィルターを通してファッションを楽しむ」とは?

橋本:具体例でいうと、<mina perhonen(ミナ ペルホネン)>と「ReStyle」で考案した旅行ツアー※というのがあります。僕が皆川さんのモノづくりの考え方がすごく好きで、旅を通じて<mina perhonen>のクリエーションの源泉に触れたり、思想をリアルに体感してもらいたいと思って企画しました。「ReStyle」のファンはこういうお店でランチを楽しむのが好きだろうなとか、<mina perhonen>のファンはこういう名所をめぐるのが好きだろうなと想像してツアーを組んだんです。直接的に洋服を買う、着るではないけれど、旅が終わったときには<mina perhonen>や「ReStyle」が大切にしていきたいファッション観を五感のすべてで体感できているイメージです。
※旅行ツアーの募集は終了しました。

—「誰かのための一点物」というのはどういう切り口でしょうか。

橋本:こちらはもう少しブランドのプロダクトへのフォーカスを考えていて、<mister it.(ミスターイット)>は「Haute Couture For Everyday life(誰かのための服)」というのをテーマにしていて、最近ではなにかと荷物の多い友だちのために、ポケットがいっぱいついたジャケットを作っていました。それを「ReStyle」のお客さまのためにやりたいと思っていて、デザイナーの砂川さんにお客さまと直接会話をしてもらって、その人のためだけの仕様を施したジャケットを作ってもらおうと思っています。例えば、いつも誰かからボールペンを借りているお客さまなら、ボールペンを挿せるポケットをつけたり。

—レアなアイテムを集めるというわけではなく、「パーソナライズされたあなただけの一点物を生み出す」ということなんですね。

橋本:<mister it.>との取り組みはそうなると思います。「一点物」にもさまざまなレイヤーを用意したいので、捉え方は企画によって変わっていきます。

—30周年という節目を迎えて、あらためて「ReStyle」をどういうショップにしていきたいですか。

橋本:「ファッションをお客さまの日常とつなげていく」というのは次の10年も見据えてのことです。それはデザイナーズブランドの置かれている現状を考えると取り組んでいかなければいけないことだと思うんです。デザイナーと話をすると「私の作った服がお客さまの日常に溶け込むとうれしい」という声をよく聞きます。

—とっておきの日だけに着るというよりも、なんてことない普段の日にも着てもらえるのはデザイナーとしてもうれしいはずですよね。

橋本:ある1日だけを彩ってくれるとっておきの服というのも素敵だと思うんです。特別な場面だとしても、それもその人の日常の一部ですから。デザイナーは見て楽しい、飾ってうれしいではなく、着ることで喜びをもたらす服を作っているので「誰かの日常に溶け込みたい」と皆さん口にするんだと思います。そんなデザイナーの想いを「ReStyle」としては積極的に汲み取っていきたいです。

—QUIとしても「デザイナーズブランドは人生を楽しむためにかかせない存在」という思いがあるので、これからも「ReStyle」の取り組みには注目していきたいですし、応援もしたいです。

橋本:ありがとうございます。

Photo by Yuta Nakazawa

—QUIは「ReStyle」に親和性を感じていることもあり、30周年に密着してイベントやコラボレーションを随時取材させてもらうつもりです。ちなみに橋本さんにはQUIというメディアはどのように映っていますか。

橋本:ファッションジャーナリズムとは距離を置いているような印象があって、そこに好感を抱いています。「ReStyle」は自分たちが素敵だと思ったデザイナーやプロダクトを世の中に届けることを最終的なゴールとしています。それはきっとQUIさんも同じだと思います。現時点ではまだ物足りなさがあるようなブランドであっても可能性は秘めていると感じたら「ReStyle」なりのアドバイスを送ることもあります。一刀両断だと、その先には何も生まれません。そういう意味でQUIさんのコンテンツはすごくフラットで、批評などはまったくないですよね。

—QUIがメディアとして大切にしている方針が伝わっているようでうれしいです。

橋本:QUIさんからはファッション業界を盛り上げたい、デザイナーズブランドを応援したいという想いが素直に伝わってきます。なので「ReStyle」としても取り上げてもらえるのはありがたいです。これから、ぜひよろしくお願いします。

伊勢丹新宿店 本館3階 リ・スタイル

ひとりひとりの価値観・生き方というスタイルに、美しい選択を。最新コレクションからヴィンテージまで、国内外のブランドを衣服に限らず独自のコンセプトで編集・発信しつづける、スタイリングショップ。

公式ウェブサイト
公式オンラインストア
Instagram

  • Text : Akinori Mukaino(BARK IN STYLE)
  • Edit : Shun Okabe(QUI)

NEW ARRIVALS

Recommend