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うつわのルール、服のかたち ー〈CFCL〉と〈畑萬陶苑〉、その造形のあいだにあるもの

Mar 27, 2026
伊勢丹新宿店 リ・スタイルでは、4月8日(水)〜4月21日(火)まで、本館3階 センターパーク/ザ・ステージ#3にて、〈CFCL〉と〈畑萬陶苑〉が協業したテーブルウェア“PORCELAIN POTTERY”を販売するポップアップを開催する。会場では、日常使いに適したうつわをはじめ、磁器の色彩と呼応する伊勢丹別注ウェアも展開。ファッションと工芸、それぞれの領域を横断する新たな視点を提示する。

壺や花器のような、丸みを帯びたフォルム。〈CFCL〉の「ポッタリー」シリーズは、磁器のかたちから着想を得ていることで知られる。その発想の源ともいえるうつわを、実際に伊万里の地でかたちにしたのが〈畑萬陶苑〉だ。両者が同じ空間に並ぶことで、これまでとは異なる見え方が立ち上がる。
本企画にあわせて、〈畑萬陶苑〉の畑石修嗣氏と、リ・スタイルのバイヤー橋本航平氏に話を聞いた。(画像:©YOSUKE SUZUKI)

うつわのルール、服のかたち ー〈CFCL〉と〈畑萬陶苑〉、その造形のあいだにあるもの

Mar 27, 2026 - FASHION
伊勢丹新宿店 リ・スタイルでは、4月8日(水)〜4月21日(火)まで、本館3階 センターパーク/ザ・ステージ#3にて、〈CFCL〉と〈畑萬陶苑〉が協業したテーブルウェア“PORCELAIN POTTERY”を販売するポップアップを開催する。会場では、日常使いに適したうつわをはじめ、磁器の色彩と呼応する伊勢丹別注ウェアも展開。ファッションと工芸、それぞれの領域を横断する新たな視点を提示する。

壺や花器のような、丸みを帯びたフォルム。〈CFCL〉の「ポッタリー」シリーズは、磁器のかたちから着想を得ていることで知られる。その発想の源ともいえるうつわを、実際に伊万里の地でかたちにしたのが〈畑萬陶苑〉だ。両者が同じ空間に並ぶことで、これまでとは異なる見え方が立ち上がる。
本企画にあわせて、〈畑萬陶苑〉の畑石修嗣氏と、リ・スタイルのバイヤー橋本航平氏に話を聞いた。(画像:©YOSUKE SUZUKI)

うつわは、ルールの中でかたちになる――〈畑萬陶苑〉5代目・畑石修嗣氏

©Masaki Ogawa

〈畑萬陶苑〉が窯を構える佐賀県・大川内山は、江戸時代、佐賀藩が徳川家への献上品を焼かせていた場所だ。外部に技術が漏れないよう、あえて人里離れた地に移されたという歴史を持つ。
そこで育まれてきたのが「鍋島様式」と呼ばれる美意識だ。

「色使いにもルールがあります。下絵の藍に加えて、上絵は赤・黄・緑の3色。合わせて4色で構成するのが様式美としての捉え方です」

制約の中で完成されていく造形。それは単なる伝統ではなく、ある種の“設計思想”のようにも聞こえる。

時代によってそのルールも変化してきた。倹約令の影響で色数が制限され、より簡素な表現へと移行した時期もあるという。

「政治や時代背景が、そのまま焼き物の表現に反映されているんです」

うつわには、時代と職人たちの試行錯誤の積み重ねが刻まれている。

©Masaki Ogawa

限られた条件の中で磨かれてきた表現。とりわけ、色を出すことには難しさが伴うという。

「焼き物は、焼いてみないと最終的な色がどう出るか分からない部分があります。狙った通りの色に仕上げるのは簡単ではありません」

今回は、〈CFCL〉 のカラーをうつわで表現する必要があり、その難しさはより際立った。

「〈CFCL〉の色味は繊細で、焼き物で再現するのは簡単ではありませんでした。試行錯誤を重ねながら、少しずつ近づけていきました」

そうした試行錯誤の積み重ねが、今回のうつわの表現につながっている。

〈CFCL〉との共通点

今回のコラボレーションについて聞くと、その接点は意外なほど自然だったという。

「〈CFCL〉の服は、ミニマルな要素の組み合わせによってかたちを立ち上げている印象があります。装飾というよりも、設計によって立体をつくる。その考え方が、僕らのものづくりと近いと感じました」

特に象徴的なのが、「ポッタリー」シリーズのシルエットだ。

「実際に見てみると、“ああ、これはうつわだな”と思いました。重力のかかり方とか、膨らみ方とか、すごく似ている」

服とうつわ。用途は違えど、どちらも「かたち」を成立させるための構造を持っている。その共通言語が、今回のコラボレーションを可能にした。

畑萬陶苑 | CFCL “PORCELAIN POTTERY” 磁器商品ラインナップ

うつわをつくるという“翻訳”

今回制作された磁器は、〈CFCL〉の服を単純に写したものではない。むしろ、服の思想をうつわとして置き換えていったような存在だ。

「シルエットだけでなく、どういう考えでつくられているのかを意識しました」

編み地によって立体をつくる〈CFCL〉に対し、磁器は焼成によって形が決まる。プロセスは異なるが、完成に至るまでの“設計”には共通するものがある。

「難しさもありましたが、それ以上に発見が多かったですね」

異なる領域だからこそ、見えてくる構造。それが今回の制作の核だった。

製作の起点となったPORCELAIN POTTERY TEA CUP

350年の延長線上にあるもの

伊万里鍋島焼は、およそ350年の歴史を持つ。その中で今回の試みをどう位置づけるのか。

「新しいことではありますが、やっていること自体は昔から変わっていないとも思っています。時代ごとに求められるものに応じて、かたちを変えてきただけなので」

伝統とは守るものではなく、挑戦し続けるもの。その連続性の中に、今回のコラボもある。

日常とファッションのあいだに橋をかける ――リ・スタイル バイヤー 橋本航平氏

Photo by Yuta Nakazawa

リ・スタイルが扱うのは、デザイナーズブランドだけではない。食器や染めといった、日常に根ざしたものも同じ空間に並ぶ。
橋本氏は、その関係性を「つなぐ」ことに意味があると考えている。

「特別なものとしてではなくて、日常の延長にあるものとして見てもらえたらいいなと思っています」

デザイナーズブランドと、日常のもの。本来であれば異なる文脈にあるものを、同じ場所で提示する。
強い編集性によって独自のカルチャーを築いてきたショップもある。そうしたあり方と重なる部分もあるが、リ・スタイルの目指す方向は少し異なる。

「カルチャーとしての強度は大事にしたいんですが、閉じた場所にはしたくないんです。誰にとっても開かれた場でありたい」

排他的な編集ではなく、開かれた接続。それがリ・スタイルのスタンスだ。

「つなぐ」ことを見せる

今回の〈CFCL〉 と〈畑萬陶苑〉の組み合わせも、その思想の延長線上にある。

「〈CFCL〉は構造で服をつくっているブランドで、その考え方が工芸とすごく近いと感じたんです。だったら、実際に並べて見せてみたいと思いました」

服とうつわ。用途は異なりながらも、どちらも日常に関わるものだ。そうした二つを同じ空間に置くことで、見え方は少しずつ変わっていく。

「どちらか一方としてではなく、行き来しながら見てもらえたらと思います」

行き来するように見ることで、これまで距離を感じていたものが、少しずつ身近なものとして立ち上がる。
その延長線上に、デザイナーズファッションへの関心もひらかれていく。

「そうした変化が生まれたらうれしいですね」

 


伊勢丹新宿店 リ・スタイル が掲げるのは、デザイナーズブランドと“日常“をつなぐという視点だ。
今回の企画もまた、その試みのひとつに位置づけられている。
このポップアップを皮切りに、リ・スタイルでは30周年を通じて、領域を横断する企画が続いていく。

その入り口は、この場所から、ひらかれていく。

畑萬陶苑 | CFCL “PORCELAIN POTTERY” POP UP

4月8日(水)〜4月21日(火)
伊勢丹新宿店 本館3階 センターパーク/ザ・ステージ#3
※4月15日(水)より本館3階 リ・スタイル内で展開
※本館1階 イセタンシードでも展開予定

NEWS
CFCLと畑萬陶苑がコラボ、新宿伊勢丹リ・スタイルにてポップアップを開催
Mar 27, 2026
  • Text : Kaori Sakai(QUI)
  • Edit : Shun Okabe(QUI)

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