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TOGA 2026年春夏コレクション──スピードの時代に“ふつう”を見つめ直す

Feb 1, 2026
ロンドン・ファッションウィークで発表された<TOGA(トーガ)>の2026年春夏コレクションは、「ORDINARINESS, MEDIOCRITY, VERSATILITY(平凡さ、凡庸さ、多用途性)」をテーマに、日常の中に潜む変化と美を見つめ直す提案だった。

TOGA 2026年春夏コレクション──スピードの時代に“ふつう”を見つめ直す

Feb 1, 2026 - FASHION
ロンドン・ファッションウィークで発表された<TOGA(トーガ)>の2026年春夏コレクションは、「ORDINARINESS, MEDIOCRITY, VERSATILITY(平凡さ、凡庸さ、多用途性)」をテーマに、日常の中に潜む変化と美を見つめ直す提案だった。

エネルギーに満ちたデザイナーたちが集うロンドン・ファッションウィークの中で、<TOGA>のコレクションは静けさと確固たる意志をもって際立っていた。個性や刺激があふれる都市で、日本的な感覚を内包するアプローチと丁寧な服づくりが、“普通”というテーマを新しい角度から掘り下げている。

今シーズンは、2025年秋冬コレクションのフォーマルな雰囲気から離れ、素材と形の関係を素直に見つめ直した。余計な装飾や仕掛けを抑え、布が動くときの表情や肌との距離感に重きを置いたデザイン。控えめな中に意図の確かさがあり、デザイナー古田泰子の考え方がより静かに研ぎ澄まされている。

コレクションを支えるのは、シャツやスカート、パンツといったワードローブの基本となるアイテム。肩のラインや袖の長さ、ボタンの位置など、細かな調整を重ねることで、着る人の動きに自然に寄り添うバランスを生み出している。大胆な変化ではなく、わずかな調整の積み重ねで“普通”の印象を更新する。その繊細な工夫に、日本のファッションシーンを牽引するブランドならではの鋭い観察眼がうかがえる。

素材はコットンや軽やかな布帛を中心に、実用的で快適な着心地を重視。タックやドレープの分量は控えめにし、布の落ち方や空気の含み方で動きを表現している。素材そのものの質感がデザインの主役に据えられていた。

(カルーセル)

カラーパレットはホワイト、ブラック、ネイビー、ベージュを基調に、鮮やかなイエローやレッドが印象的に配されていた。彩度の高い色が差し込まれることで、全体の静けさにリズムが生まれ、服の輪郭や動きがより際立つ。明快なトーンが空気を震わせるように、穏やかなベースとの対比がコレクション全体の呼吸をつくり出していた。

アイレットから伸びるチェーンやシルバーのメタルパーツは、さりげない光を添える要素として現れ、控えめな輝きがブランドの個性を引き立てていた。

スカートの丈やトップスの重なりを変えることで印象が移ろうデザインも多く、着る人の動きに合わせて服が表情を変える。こうした仕組みは、これまで長く探ってきた“人と服の関係”というテーマを、日常のリアリティの中で改めて問い直したものといえる。

Tシャツは今季を象徴するアイテムのひとつ。最も身近な服だからこそ、素材選びや縫製の精度にブランドの姿勢が表れる。軽やかで緊張感を宿したその仕上がりから、誠実なものづくりへのまなざしが伝わってくる。

さらに、ロンドンを拠点とするオンライン・ラジオステーション/メディアプラットフォームの「NTS Radio(エヌ ティー エス レディオ)」のロゴを配したTシャツも登場。音楽やカルチャーの文脈を静かに取り込みながら、服が持つ日常性と表現の自由をつなぐ存在として際立っていた。

ロンドン・ファッションウィークは、創造性と独立した表現を尊重する場所だ。<TOGA>がこの都市を拠点にコレクションを発表し続けるのは、自由な空気と多様な価値観が、自身の姿勢と自然に響き合うからだ。静けさと観察を軸にした今シーズンのコレクションは、その中でも確かな存在感を放っていた。

<TOGA>が見つめる“ふつう”とは、変化を拒むための安定ではなく、自分の感覚で日常を選び取ることを指している。
派手な主張ではなく、身近なものを丁寧に見つめ直すことで、新しい美しさを見いだそうとする姿勢だ。
日常の中にある小さな違いをすくい上げるこの静かな挑戦こそ、いまの<TOGA>を象徴している。
個性の強さや速い変化が注目を集める時代にあって、“ふつう”であることを意識的に選ぶという提案には、今の社会への穏やかな問いかけが込められている。
トレンドやスピードではなく、観察と積み重ねの中から新しさを見つけようとするこの姿勢は、ファッションを再び“生活とともにある文化”として捉え直す試みでもあった。

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