Have a strong will — starring Aoi Morikawa
女優・森川葵の強い気持ち。
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Interview with Aoi Morikawa
森川葵インタビュー
— 短編映画9作品のオムニバス『MIRRORLIAR FILMS Season1』の中の1作『さくら、』に出演されましたが、安藤政信監督からのオファーをどのような気持ちで受け止めましたか?
実はかなり昔に山田(孝之)さんから「葵ちゃんにお願いすることがあるかもしれない」と言われたことがあったので、『MIRRORLIAR FILMS』というプロジェクトの情報が流れたときに「このことだったのか」と。でも私には声をかけてもらえなかったなと、ちょっと寂しい気持ちになっていました(笑)。その後お声掛けいただき、私も作品の一部として参加できたことがすごく嬉しかったです。
— 『さくら、』に登場する森川さん、山田さん、安藤さんの3人の関係性はシンプルですが、解釈を委ねられる部分も大きい作品だなと感じました。役を演じるにあたってどこから手をつけていきましたか?
脚本を読んで話の流れを汲み取りながら、映画で描かれている状態になる以前の3人について考えたりもしました。
— 今作でもそうですが、森川さんのお芝居は役そのものに見えてきます。どうやって役になるんでしょうか?
現場の雰囲気を汲み取って演じることが一番多いかもしれません。あんまり前もって考えていくタイプじゃないので。今回だと安藤さんがかけてた音楽だったり、素敵な衣装だったり。あとは安藤さんが撮りたい世界観の写真にも影響されました。
— 先日、安藤監督にもインタビューさせていただいたのですが、森川さんと山田さんに対する信頼感を強く感じました。今回共演して、山田孝之と安藤政信はどんな俳優だと感じましたか?
日本の俳優界の宝みたいな存在ですよね。2人とも初めてご一緒させていただいて、現場でやるぞとスイッチが入ったときの空気が全然違いました。普通に打ち合わせしたりしゃべったりしているときの2人の空気感とは全く違いますし、圧倒される。踏ん張ってないと押し倒されてしまうような圧を感じました。ほんとうにいい経験になりました。
— その圧のようなものは、2人それぞれに違いはありますか?
山田さんはちょっと控えめで、自分の内側でグツグツするものを抑えながらテンションを上げていってる感じ。安藤さんはもう少し表面が熱くなって、触ろうとするとやけどする感じ。山田さんは引いていて、安藤さんは前のめりに出てくるような。
— 熱量は似ているけど、火力調整の仕方が違うんですね。森川さんはどっちのタイプですか?
どっちだろう……安藤さんの方が近いタイプですかね。
— では新人監督としての安藤さんはいかがでしたか?
少年みたいに俺はこういうことをやりたいんだということを強く話してくださったり、撮影に入ってからもどうしたらもっとよくなるのかということを一緒に話す時間を設けてくださったり。やっぱり安藤さんに対して何かあってもなかなか言いにくいじゃないですか。でもそこで発言しやすい関係を作ってくださったのかなと思います。
でも初監督ということもあって安藤さんもすごくテンション高くて、大事なシーンを撮るときにベッドに寝転がったらポケットから小銭をばーっと散らばしちゃうような、かわいらしくておちゃめなところもあって。山田さんからは「これからも監督を続けるなら、ああいうことは控えた方がいいですよ」と言われていました(笑)。
— お話を聞いていると現場の風通しもよくて、チームで作っている感覚がありますよね。
それはうれしかったです。(安藤さんと山田さんの)お2人が強く信頼し合っているので、その関係性に混ぜていただけた気がしました。
— できあがった作品をご覧になって、率直な感想を教えてください。
安藤監督ワールドだなと思いました。入りきらなくて使われていないシーンもいっぱいあるんですけど、安藤さんのこうしたいという思いがそのまま詰め込まれてて安心したというか。ただ観やすい、おもしろいという映画でなく、ちゃんと安藤さんの世界観が広がっててよかったなと。観る人によってはわからないと言われるかもしれませんが、それでも私は好きな作品です。
— 初監督作としても今後に繋がる作家性がすごく表現されてて見応えがありました。森川さんが好きなシーンを教えていただけますか?
肉に食らいついているところでしょうか。撮ってるときもどういう風に使われるんだろうってよくわからなかったので。私にはまったく考えつかないシーンでした。
— 少し映画から離れた質問になるんですが、森川さんは最近バラエティ番組でさまざまな達人技を驚異の速さで習得することから “ワイルド・スピード森川”とも称されていますよね。今回インタビューさせていただくのにあたって調べていたら、ダイススタッキングとシャボン玉の達人が森川さんについて話している動画を見つけまして。ご覧になりました?
観ました(笑)。
— なぜ森川さんが達人技をすぐに習得できるのかということをテーマに話されていて。その理由のひとつが、普通の人は「絶対できない」からスタートするのに、森川さんは最初から「やります」と前のめりであること。やる気とポジティブが服を着て歩いてると。ご自身でもその自覚はありますか?
いい言い方をするとやる気とポジティブなんですけど、つまりめちゃくちゃプライドが高いという。できないことが許せないという負けず嫌い。だれかにできているんだったら私にもできるよねという負けたくない精神というか。しかもテレビ番組なのでいろんな人が観て、この子できないんだと思われるのが嫌なんですよ。だからやれるところまでがんばりたいというのが、やれるという気持ちに繋がっているんだと思います。
— 負けず嫌いなのは昔からですか?
昔からですね。母が言うには昔からいろいろできていたらしくて、たぶんその経験があるから自分には何でもできるというプライドの高さがあるんだと思います。
— 流行りの言葉だと、プライドというより自己肯定感でしょうか。休憩中もすごく練習されているそうですね。
なんとなく雰囲気を汲み取って休憩しますと言うんですけど、別に疲れていないんです。結局その時間さえ惜しいとなって、やっちゃいます。
— あとは見たものをコピーする能力がすごいと。それも昔から?
上手かもしれないですね。絵を描くのが好きで、いろんな絵の真似をしていたんで。それも関係しているかもしれません。
— そういう姿勢が“ワイルド・スピード森川”に繋がっていくわけですが、お芝居もひとつの技芸ですよね。取り組む姿勢は変わりませんか?
初めはお芝居でも「私はやれる」と思ってましたけど、自分1人で技を決めるわけじゃないですから。だから長く続けてもお芝居に関しては成功したと感じたことがないかもしれないです。
— ダイススタッキングと違って明確なゴールもないし、心折れそうになることはないですか?
なります(笑)。心折れてもまたやって、でもどこに向かっているのかわからないし……(気持ちの)波はありますね。
— では話を映画に戻して、『MIRRORLIAR FILMS Season1』でご自身の出演作品以外で気になった作品があれば教えてください。
花田陵監督の『INSIDE』、藤原知之監督の『無題』、針生悠伺監督の『B級文化遺産』は記憶に残っています。『B級文化遺産』が撮られたのは7年前とかなんですよね。でも映像を観るとぜんぜん古くなくて、(VFXの高い)技術ってこんな昔からあるんだなと驚きました。
— まったく古く感じませんでした。技術もどう使うかが大切なんでしょうね。最後に『MIRRORLIAR FILMS Season1』をご覧になるお客さまへのメッセージをお願いします。
本当にいろんなテイストの作品が詰め込まれています。どの作品も説明しすぎないからこそすごく考えさせられる作品になっているので、どんな人にもひっかかる1本があると思うし、その作品と出会ったことで自分の思考が変わることもあると思います。この映画を観て、自分の考えも撮ってみたいとか、脚本として参加したいとか、将来映画に関わるクリエイターの方が増えてくれたらうれしいです。
Profile _ 森川葵(もりかわ・あおい)
1995年6月17日生まれ。愛知県出身。2010年にファッション誌「Seventeen」の専属モデルとしてデビュー。最近の出演作品は『嘘八百 京町ロワイヤル』(20)、『魔女見習いをさがして』(20)、『天外者』(20)、『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』(21)など。現在「太田光のつぶやき英語」(NHK)、「それって実際!?どうなの課」(中京テレビ/日本テレビ系)にレギュラー出演中。9月30日から上演される朗読劇「ハロルドとモード」の出演を控える。
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Information
森川葵さん出演
映画『MIRRORLIAR FILMS Season1』
2021年9月17日(金)よりアップリンク吉祥寺、イオンシネマ他全国順次公開
境界線(ボーダー)を疑え。“変化”をテーマに、俳優、映画監督、漫画家、ミュージシャンなど総勢36名が監督した短編映画をオムニバス形式で4シーズンに分けて公開するプロジェクト第1弾。
監督:安藤政信、枝優花、武正晴、西遼太郎、花田陵、針生悠伺、藤原知之、三吉彩花、山下敦弘(五十音順)
出演:安藤政信、飯島望未、宇野祥平、奥村心結、春日潤也、河井青葉、木村多江、友近、永井理子、仁村紗和、本田響矢、水澤紳吾、森川葵、山口まゆ、山田孝之、山中蓮名、山本浩司、山本剛史、横田真悠、吉田美月喜、渡辺大知、渡辺哲(五十音順)
©2021 MIRRORLIAR FILMS PROJECT
- Photography : Hiroki Mochizuki
- Styling : Masako Hirata
- Hair&Make-up : Naoki Ishikawa
- Art Direction : Kazuaki Hayashi(QUI / STUDIO UNI)
- Text&Edit : Yusuke Takayama(QUI / STUDIO UNI)