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「服って何だ?」を問いつづける。座間なつみ|NATSUMI ZAMAデザイナー

May 27, 2019
「恐竜から逃げる」「宇宙飛行士の休日」など、毎回ユニークなテーマでコレクションを展開するNATSUMI ZAMA(ナツミ ザマ)。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、マシニストとしてコレクションブランドのサンプル縫製を経験したデザイナーの座間なつみに、これまでのキャリアや服作りについてきいた。

「服って何だ?」を問いつづける。座間なつみ|NATSUMI ZAMAデザイナー

May 27, 2019 - FEATURE
「恐竜から逃げる」「宇宙飛行士の休日」など、毎回ユニークなテーマでコレクションを展開するNATSUMI ZAMA(ナツミ ザマ)。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、マシニストとしてコレクションブランドのサンプル縫製を経験したデザイナーの座間なつみに、これまでのキャリアや服作りについてきいた。
Profile
座間なつみ(ざま・なつみ)
NATSUMI ZAMAデザイナー

文化服装学院Ⅱ部卒業後、渡英。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション在学中にLouise Goldinなどでアシスタントを経験。2009年よりNATSUMI ZAMAをスタートさせる。フリーランスデザイナー/マシニストとして活動後、2011年に帰国。帰国後、展示会を中心に活動中。

3年間のダブルスクールの後、ロンドンへ留学

子どもの頃からものを作るのは好きだったんですよね。リリヤンで遊んだり、ミサンガ作ったり。高校生のとき古着のリメイクが流行っていて、買ってきたジーンズを解体してスカートにしたりしていました。その頃から服を作って着るっておもしろいなとうっすら思うようになって。

将来の進路を考えるタイミングで、なんかデスクワークとか向かなそうだなって思ったんです(笑)。もっとクリエイティブな仕事とか身体を動かす仕事がいいと思ったとき、ちゃんと服の勉強をしようと考えました。

それと同時に留学をしたいという気持ちもあって、高校卒業後、昼は英語を学ぶ短大に、夜は文化服装学院のⅡ部にダブルスクールをして留学の準備。Ⅱ部は3年制だったので、短大を卒業した後の1年間は、留学の準備学校にも通っていましたね。いま考えると、あの頃はちゃんとしてたな(笑)。

 

留学先はセントラルセントマーチンズを考えていたのですが、準備学校でそれ以外の選択肢もあることを知って。最終的にロンドン・カレッジ・オブ・ファッションに行くことを決めました。セントマがデザインに強いとしたら、LCはもう少し技術面に特化したような学校ですかね。デザイナーとして自分でブランドをやるというより、どちらというと企業に勤めるイメージだったのでLCを選びました。

 

コレクションブランドで経験を積んだロンドン時代

ロンドン時代はホントにお金がなくて…(笑)。ポンドがすごく高かったんですよ!マクドナルドのセットが1,000円とかで。もう、もやししか食べられない!みたいな(笑)。あと、すごく安いインスタントラーメンとか。あれには助けられました。

LCの2年目はインターンをするというのが課題になっていて、コレクションブランドでサンプルの縫製をメインにロンドンコレクションのお手伝いをしていました。この経験は本当に貴重で、卒業後もコレクションブランドのサンプル縫製をする仕事に就きました。マシニストという職業なんですが、日本で言うと縫い子さんって言うんですかね?

コレクションブランドのサンプルを縫うのは、とても勉強になります。ブランドさんによって、すごく入り組んだパーツがたくさんあるものを組み合わせなくちゃいけなかったり。何度もトワル(試作)を作って詰めていくタイプのデザイナーもいれば、デザイン画も描かずにパタンナーさんに指示出しをして一発勝負みたいな方もいて。本当にいろんなスタイルがあるんだなと。

卒業から2011年に帰国するまで、マシニストとして働きながら自分の作品も同時に作っていました。「2→3」というコレクション(2011発表)は、日本の準備学校時代に作った作品を、ロンドンにいるときにコレクションとして完成させたものです。

テーマは「平面(2次元)と立体(3次元)」なんですが、服ってそもそも平面なのか?立体なのか?という疑問からはじまって、結局「中間」だなって思って、じゃあ、立体の服と平面の布を縫い合わせようって(笑)。

準備学校のときは課題の提出ギリギリに作ったので、とりあえず手元にあったシャツを分解して布に縫い合わせただけの間に合わせのものだったんですけど、ロンドンにいるうちにちゃんとコレクションとして展開しようと思ったんです。これ、大きい布に前身頃だけ縫い付けているんです。着るとキレイなドレープが出るんですよ。

2011「2 to 3」

“何かヘン”な服のおもしろさを伝えたい

わたし、いまでも「服って何だ?」っていうのをずっと考えているんですよね。平面なの?立体なの?っていうのもそうですが、「服ってなんかヘンじゃない?」って思っていて。そのおもしろさを自分のブランドで表現したいんです。

たとえば同じ服を真っ白と色付きで表現してみたり、同じ服を長さを変えて作ってみたり。最初の頃はとくに、ちょっと実験的なことをやっていました。

途中から、だまし絵をテーマにして、サロペットに見えてセパレートとか、セーラー服なんだけど前後逆とか、ちょっとポップなテーマをはじめて。服に対する根本的なテーマというよりは、カジュアルなコンセプトになっている感じがします。

2013 AW「colour / white」

2014 AW

2015 SS

私のコレクションって、なんとなく頭の中に思い浮かんだ言葉とか、いま気になっていることをテーマにして作っているので、なんでこのテーマにしたのか忘れちゃうこともあるくらい。ちなみに2019の春夏は「恐竜から逃げる」がテーマです。ちょっとサファリっぽい雰囲気で、ドローコードで腕まくりできるとか、逃げやすくなってる(笑)。

2019 SS「Escape from the Dinosaurs」

「今回はこの映画が着想源で…」みたいにちゃんと作られているブランドさんもあると思うんですが、そういうのに対するちょっとしたアンチテーゼなのかもしれません。もっとバカっぽくっていいじゃんみたいな。もちろんバカっぽさを目指してるわけじゃないけど、自然とそうなっちゃうんですよね(笑)。

 

展示会に来てくださるお客さんも、ただ服を見るのと、テーマを知って見るのだと違う反応があっておもしろい。「恐竜から逃げる」というテーマで作った服を、人が着たときにどう感じるかにもすごく興味があります。

やっぱり洋服って、人が着てはじめて完成するものだから、お客さんに着てもらった瞬間がいちばんうれしい。お客さんと直接話して反応をきけるのはすごく楽しいので、いつか服の移動販売とかやってみたいですね。

 


 

モデルがクールに着こなすコレクションルックも、その背景にあるテーマは「恐竜から逃げる」。こむずかしいコンセプトより、お客さんがクスッと笑ってくれるようなストーリーを大切にしている。カラカラとよく笑う茶目っ気たっぷりの座間さんが繰り出す作品に、今後も目が離せない。

 

 

あなたにとってファッションとは?

「まだ何だかわからないもの」

 

その他のデザイナーインタビューはこちら

  • Text : Midori Sekikawa
  • Photography : Miyuki Kuchiishi

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