中西夏之の思考に触れる「眩しいことの研究」、5/29(金)よりSCAI THE BATHHOUSEで開催
本展では、未公開の習作を含む1960年代から晩年に至る絵画群が並び、中西の実践を多角的に捉え直す試みが展開される。「絵画とは眩しいことの研究である」という言葉に象徴されるように、絵画の成り立ちそのものへ向けられた思考が、空間全体に通底していく。
中西は長きにわたり、絵と世界、あるいは「絵」と「絵に似たもの」のあいだに立つ感覚を探り続けてきた。その営みは単なる表象の否定にとどまらず、行為や身体、さらには知覚のあり方へと静かに広がっていく。画面に残される痕跡は、筆触というよりもむしろ原初的な身振りの集積として現れ、そこに「眩しさ」という感覚が滲む。
南雄介より寄せられたテキストでは、マグリットとフーコーをめぐる思考を手がかりに、中西の絵画における「類似」と「相似」の関係が読み解かれる。そこでは、モデルへ回帰する秩序としての類似と、終わりなき連鎖として展開する相似とが対置され、絵画がどのように既存の枠組みから逸脱しうるのかが示唆される。こうした視点を通して、中西の制作が単なる視覚表現を超え、思考の運動そのものとして立ち現れてくる。
また、長い棒の先に取り付けた筆で描く独自の手法や、乾かない絵具を重ねるプロセスなど、制作の身体性にも焦点が当てられる。それは絵画を完成された像としてではなく、行為の連続として捉える視点へとつながり、観る者の感覚にも微細な揺らぎをもたらす。
本展は、没後10年の節目にあわせて開催され、国立国際美術館をはじめとする巡回展とも連動するかたちで、中西夏之の実践をあらためて見つめ直す機会となる。絵画という営みの奥行きに触れながら、その根源にある問いへとゆっくり近づいていく時間が広がる。強い光に目を細めるように、絵画の内側へと感覚を預けてみたくなる。
作家プロフィール
中西夏之
1935年東京生まれ、2016年没。1958年東京藝術大学卒業。1963年、高松次郎や赤瀬川原平とともにハイレッド・センターを結成し、既存の美術制度を越える実践で注目を集める。以降、舞台芸術やインスタレーションなど領域を横断しながら活動を展開。紫や白、黄緑を基調とした抽象的な絵画シリーズを通じて、絵画の根源を問い続けた。国内外の主要美術館に作品が収蔵されている。
キュレーター
南雄介
開催情報
展覧会名:眩しいことの研究
会期:2026年5月29日(金)〜7月11日(土)
会場:SCAI THE BATHHOUSE
住所:〒110-0001 東京都台東区谷中6-1-23
開館時間:12:00〜18:00
休館日:日・月・祝日
公式サイト
Instagram:@scaithebathhouse
中西 夏之「緩やかにみつめるためにいつまでも佇む、装置」巡回スケジュール
・国立国際美術館(大阪)
2026 年3 月14 日(土)- 6 月14 日(日)
・山梨県立美術館
2026 年7 月4 日(土)- 8 月23 日(日)
・セゾン現代美術館
2026 年9 月5 日(土) - 11 月3 日(火・祝)
・茨城県近代美術館
2026 年11 月12 日( 木)- 2027 年1 月17 日(日)
