本展は、同ギャラリー専属作家として14年目を迎えたニワの、天王洲では2度目となる個展。市井の人物やキャラクターをモチーフに、誇張された表情や動きを用いて人間の滑稽さや無意識の行為を立体的に表現してきた作家が、今回は「光」をテーマに新たなステージへと進む。

代表作となる“清潔な人”シリーズでは、世間の目から解放された中年男性が自宅でリラックスする姿をユーモラスに造形。その造形には、滑稽さや不安、恐れ、喜怒哀楽といった感情が複雑に重なり合い、どこかで微かな希望の光が差し込むような余白がある。

展示作品《手をあげます。》は、まるで観念の中で自らの存在を肯定するような、静かで力強いポーズが印象的だ。

江戸時代の戯画や風刺、庶民文化にも通じる視点で、現代の「極楽浄土」を立体化しようとする試みは、どこか懐かしく、そして新しい。滑稽でありながらも魂の姿を見つめる作品群は、観る者に人間存在の肯定と再発見を促してくれる。

ニワタカユキ
日常に潜む人間の滑稽さや無意識の動作を、立体作品として表現。極端な表情や動きを用いた作風で、人間の「業」や愚かさを描きながら、そこに希望の光を感じさせる造形を追求する。江戸時代の庶民文化や戯画的感性を受け継ぎ、社会の周縁にある存在に焦点を当てることで、静かに魂の在りかを浮かび上がらせている。
Instagram：＠takayuki_niwa_

ニワタカユキ 個展「光の中に、」
会期：2025年7月11日（金）〜7月27日（日）
会場：gallery UG Tennoz
住所：東京都品川区東品川1-32-8 TERRADA ART COMPLEX II
公式サイト