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4月17日は、恐竜の日 – 繁栄と絶滅の恐竜史

Apr 16, 2023
1922年の今日、ロイ・チャップマン・アンドリュース率いる探検隊が、広大なゴビ砂漠に人類の起源を求めて旅立ちました。そして彼らが見つけたのはヒトの痕跡ではなく、数多くの恐竜の化石。さらにこの時、世界で初めて恐竜の巣や卵の化石を見つけたことから、4月17日は恐竜の日に制定されました。
今日は、意外と知らない恐竜のこと、そして最新の研究に基づく恐竜の新説をご紹介します。

4月17日は、恐竜の日 – 繁栄と絶滅の恐竜史

Apr 16, 2023 - LIFE/STYLE
1922年の今日、ロイ・チャップマン・アンドリュース率いる探検隊が、広大なゴビ砂漠に人類の起源を求めて旅立ちました。そして彼らが見つけたのはヒトの痕跡ではなく、数多くの恐竜の化石。さらにこの時、世界で初めて恐竜の巣や卵の化石を見つけたことから、4月17日は恐竜の日に制定されました。
今日は、意外と知らない恐竜のこと、そして最新の研究に基づく恐竜の新説をご紹介します。

意外と知らない恐竜の基本

恐竜とは、古代の爬虫類の一種です。恐竜は、地球上に存在していた長い期間に渡って進化を続け、最も有名な恐竜の一種であるティラノサウルス・レックスのように、巨大な体を持つものから、小型の肉食恐竜まで、様々な姿をしていました。

世界最大級の恐竜は、なんと全長30メートルとも言われています。 (一説には60mとも!)

(※1)

地球上のさまざまな場所でみつかる恐竜の化石は、彼らが存在していた時代の地球の環境や生態系を伝えてくれる非常に重要な証拠となっています。

恐竜の生きた時代・人類の祖先の意外な姿

恐竜は今からおよそ2億3千万年前に地球上に現れ、それから絶滅までの1億6000万年もの間、この地を支配した生きものです。

地球の誕生がおよそ46億年前なのを考えると、地球の歴史の30分の1は恐竜の時代だったわけです。

では、恐竜の時代、私たちのご先祖様はどんな姿をしていたかというと、「プルガトリウス」という哺乳類で、ネズミのような姿をしていました。この生きものが、サルやヒトの共通の子孫と考えられています。

ちなみに私たち人類が誕生するのは、今からたった700万年前です。

人類の祖先 プルガトリウス(※2)

大陸移動と恐竜の多様性

恐竜は、1億6000万年もの間、地球に君臨し続けました。

恐竜はまさに世界中を制覇した王者で、中には北極や南極にまで恐竜が存在したことも分かっています。

北極圏に生息していた「ナヌークサウルス」の復元図 全長6m(※3)

恐竜はなぜこのように多様に進化できたのか。それには恐竜が生き続けた「1億6000万年」という時間がかかわっています。

じつはこの途方もない時間の中で、大陸の大移動が起きていたことが分かっています。

恐竜が登場した2億3000万年前の地球には「パンゲア大陸」という一つの地続きの巨大な大陸しかありませんでした。

この大陸が恐竜を載せたまま果てしない時間をかけて分裂、移動したことで、恐竜は世界に広がり、各地で多様な進化を遂げたと考えられています。

パンゲア大陸が存在した2億3000万年前から現在までの大陸移動の変遷(※4)

そして、かつて存在したこの「パンゲア大陸」の存在が証明できたのは恐竜のおかげです。

現在は遥か彼方に離れた地域で、同じ時代、同じ種の恐竜の化石が帯状に見つかることから、かつてのパンゲア大陸の姿が明らかになりました。

(※5)

恐竜はなぜ絶滅したのか?

(※6)

1億年以上、地球の覇者として君臨した恐竜が絶滅した理由については諸説ありますが、最も有力な説は「メキシコ湾の隕石衝突説」です。

この説によると、約6,600万年前に、メキシコ湾に巨大な隕石が衝突し、その影響で地球全体に火山活動が起こり、大量の塵や煙が発生、気温が大幅に下がって寒冷化したことで、植物や動物の生息環境が激変したとされています。この影響で、恐竜を含む多くの生物が絶滅したと考えられています。

変わる学説 恐竜は絶滅していなかった!?

恐竜は羽毛で覆われていた!

(※7)

かつて図鑑に載っていた恐竜たちは、みな爬虫類のようになウロコで覆われた姿で描かれるのが一般的でしたが、現在の通説では恐竜の姿は大きく変わっています。

先ほどのナヌークサウルスの復元図からもわかるように、現在は、恐竜は羽毛に覆われていた可能性が高いと考えられています。

これらの羽毛は、必ずしも飛ぶためにあったわけではなく、体温の維持が目的だったのではと考えられているほか、鶏のとさかのような装飾的な羽毛の存在も確認されることから、異性への求愛行為にも使われていたと考えられています。

あのティラノサウルスにも、体の一部に羽毛が生えていたというのが、現在の通説となりつつあります。

(※8)

恐竜の卵の色はカラフルだった!

(※9)

さらに、最新の研究によって恐竜の卵の色も明らかになりました。

研究者が卵の化石の表面に残った物質をレーザーで分析したところ、現生の鳥の卵と一致する化合物の存在が判明。その結果、一部の恐竜の卵は青みがかった色をしていたことまで分かってきました。

現代にも恐竜の生き残りがいた!

(※10)

一般的に、恐竜は6600万年前に全て絶滅した、とされていますが、実は絶滅を免れて現代まで生き延びている恐竜が存在します。それは、トカゲでも、ワニでもなく、もっと身近な生きもの、「鳥」です。

鳥は、恐竜が絶滅した後に地球上で生き残った唯一の「恐竜」です。

これは歴然とした事実であり、分類学的には鳥は恐竜の一種である「獣脚類」に分類されます。ちなみに、獣脚類の中には、最近羽毛が生えていることが判明したティラノサウルスも含まれています。

学者の中には「鳥は恐竜の子孫なのではなく、恐竜そのもの」という人もいます。

実際に羽毛を持つという共通点があるほか、鳥の卵は恐竜の卵に非常によく似ており、骨格や解剖学的な特徴も、恐竜と共通する部分が多いことが知られています。

始祖鳥はかつて鳥の祖先だと言われていました。しかし、現在は「恐竜から鳥に進化する途中の姿」とされています。

クチバシと羽毛を持つ恐竜も

ディノケイロスの復元図 全長11m(※11)

1965年にゴビ砂漠で2.4mもの巨大な手だけが見つかっていた「ディノケイルス」は、2009年に胴体が発見され、全長11mほどの巨大な鳥のような姿をしていたことが明らかになりました。ディノケイルスは歯のないクチバシを持ち、お腹の中には大量の石を飲み込んでいました。現代の鳥にも、消化を助ける胃石を持つものが多くいます。

鳥と恐竜の共通点は非常に多く、後ろ脚の形状は恐竜と鳥で全く同じ三本指、翼は恐竜の前脚が進化したものと考えられています。

現代を生きる最小の「恐竜」ハチドリ 全長10㎝(※12)

環境に適応し進化した恐竜と人類

地球上の生物の75パーセントが絶滅した白亜紀末の隕石衝突。

それまで地球上を支配していた巨大な恐竜たちが絶滅するなかで、哺乳類のご先祖である「プルガトリウス」が生き残れたのは、体が小さく少しの食べもので生き残れたことと、1億年もの間、恐竜を避けるために夜にひっそりと行動する「夜行性」に進化していたからと言われています。

隕石の衝突による塵に覆われ、太陽が届かない暗い世界になっても、闇夜のなかで食べ物を探す嗅覚と聴覚を持ち、感覚器官を司る脳を発達させていた夜行性のご先祖さまは生き残ることができたのです。

虐げられた小さな弱者から、地球の支配者にまで登りつめた人類。私たちは、かつて地球を制覇した恐竜たちの絶滅から、学ぶことがあるのではないでしょうか。

 


(※1)Steveoc 86, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons
(※2)Nobu Tamura, CC BY 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/3.0>, via Wikimedia Commons
(※3)Nobu Tamura email:nobu.tamura@yahoo.com http://spinops.blogspot.com/, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons
(※4)Kious, Jacquelyne; Tilling, Robert I.; Kiger, Martha, Russel, Jane, Public domain, via Wikimedia Commons
(※5)Osvaldocangaspadilla, Public domain, via Wikimedia Commons
(※6)The original uploader was Fredrik at English Wikipedia., Public domain, via Wikimedia Commons
(※7)Michael Barera, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons
(※8)Matt Martyniuk, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons
(※9)Gary Todd, CC0, via Wikimedia Commons
(※10)H. Raab (User: Vesta), CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons
(※11)FunkMonk (Michael B. H.), CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons
(※12)Charles J. Sharp, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons

  • Director : Takashi Okuno
  • Writer : Kuuki Asano
  • Edit : Ryota Tsushima

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