KIDILLデザイナー末安弘明が語る、2021AWコレクションのバックグラウンド。
デザイナーの末安弘明に、発表したコレクション、今後の展望について話を聞いた。
「パリ」に参加を決めた経緯
3シーズンほど、オフスケジュールで発表を行ってましたが、ようやく下準備が整ったと思います。
協力してくれる仲間に恵まれて、コレクションをパリで発表しても強いものを打ち出せる環境になってきたと考え、参加を決めました。
PRも、セールスも周りに信頼できる仲間がいるからこそ、安心してコレクションを発表し続けられると実感しています。
オンライン空間でフィジカルショーを発信する想い
まだオンライン発表って不思議な感覚ですが、ショーは自分が作ったものを最もわかりやすく表現することができます。
同時に、人にファッションの力を純粋にわかりやすく伝えることができます。
だからフィジカルのショーにこだわりました。
自分がカッコいいと思ったことをやり切ることが、次の自分へのパワーにも繋がっていくと実感しています。
それがオンライン空間だとしても、その熱は必ず伝わると信じてます。
大切なのは、変化を恐れず自分を信じてやり切るだけだと思います。
コレクションタイトル”Desire”の由来
欲望や欲求や願望など。
自分の中に溜まったフラストレーションの行き場も込められています。
この状況下でファッションデザイナーとして、一体自分は何ができるんだろう?
そういった今の自分の気持ちをシーズンタイトルに込めてます。
コロナ渦だからと弱気になっても仕方ありません。
より良い未来を作るのは自分次第でどうにでも作れます。
精神的な意味でのパンクでありたいと思っています。
ビジュアル・アーティストのジェシー・ドラクスラーとのコラボレーション
JESSE DRAXLERのダークな世界観と白黒コラージュの美しさに魅了されました。
狂気的ですが、どこか儚くてロマンチックさを兼ね備えてるところが好きです。
Poppyの”I Disagree”やVOWWSのアートワークなど、JESSEが手がけているビジュアルも素晴らしいです。
メールで連絡を取り合ってコラボレーションさせて頂いてますが、 KIDILLの過去のコレクションを見てもらい、パンクやハードコアのイメージを伝えて、基本的にはJESSEにお任せで作ってもらうことにしました。
彼の仕事を絶対的に信頼してるので、良いものが仕上がってくると確信してました。
21AWシーズンのデザインにおけるこだわり
JESSEのグラフィックを使い、ジャガード織のテキスタイルを制作しました。
白黒のグラフィカルな世界観のイメージを生地に乗せて、メンズのテーラードでスーツやコートやなど作ってます。
生地がほつれて見えるようなカッティングで作ったシャツやパンツ、ブリーチ加工や染色など自分でDIYしたように、布パッチプリントやワッペンをシャツやデニムの好きな場所に縫い付けた雰囲気に仕上げてます。
10代の頃に好きなバンドのワッペンを、服に縫い付けてライブに行ってたリアル感は大切にしてます。
世の中に対しての”Desire”
基本的に周りに望むことは無いですね。
希望や光は自分と自分が信頼できる仲間達と作ろうと思います。
ファッションと本気で向き合うなら自分の覚悟が試されるし、次のレベルに行くための行動力が必要だと考えています。
自分と向き合って、苦しんで生み出して、それの連続が人生で、生きてる実感や意味があるんだと感じています。
KIDILLとしての”Desire”
一緒にやってみたいアーティストなど多いので、これからも一緒に楽しく物作りをしていきたいです。
あと重要だと感じることは、自分の頭の思考をもっと破壊的にしていくことですね。
僕がまともに服を作ってても仕方ないので、面白みのある服が作れるように、自分自身を常に新しくしておく必要があると思っています。
- Writer : Yukako Musha