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パリ・ファッションウィーク 2026年秋冬メンズコレクションガイド — 不確かさのワードローブ vol.1

Feb 17, 2026
2026年1月20日(火)〜1月25日(日)、パリ・ファッションウィーク 2026年秋冬メンズコレクションが開催された。今シーズンは、曖昧さや揺らぎを前提に、フォーマルの輪郭を更新する動きが目立った。帰属や正しさを固定せず、ズレや違和感をそのままスタイルとして受け止める姿勢が、数多くのショーを横断した。世界的ブランドから気鋭のデザイナーまで、注目のショーをvol.1からvol.3にわたってご紹介。

パリ・ファッションウィーク 2026年秋冬メンズコレクションガイド — 不確かさのワードローブ vol.1

Feb 17, 2026 - FASHION
2026年1月20日(火)〜1月25日(日)、パリ・ファッションウィーク 2026年秋冬メンズコレクションが開催された。今シーズンは、曖昧さや揺らぎを前提に、フォーマルの輪郭を更新する動きが目立った。帰属や正しさを固定せず、ズレや違和感をそのままスタイルとして受け止める姿勢が、数多くのショーを横断した。世界的ブランドから気鋭のデザイナーまで、注目のショーをvol.1からvol.3にわたってご紹介。

AURALEE/オーラリー

<AURALEE>は、「冬を喜びに満ちたものにするのは何か」という問いを起点にコレクションを構成した。淡く透ける冬の太陽や澄んだ空気の感触を、軽さと透明感を軸に衣服へ落とし込んでいる。しなやかなカーフスキンのレザーダウンブルゾンや立体的なベスト、ネップニット、ツイード、チェック柄スカーフ素材のカシミヤラップスカートが登場した。防寒着の重さを前提にしながら、シルクジョーゼットやシアーなテクニカルレイヤーを差し込み、冬の静けさの中に小さな高揚を灯した。

AURALEE 2026AW COLLECTION RUNWAY

KIDILL/キディル

<KIDILL>は「HEAVEN」を題し、演出を削いだ静かな進行で服そのものに焦点を寄せた。スモーキーで淡い色調にブラックシリコンラバーの汚し加工をぶつけるなど、混沌と静寂、カワイイとハードコアといった相反を一着の中で成立させている。<ALPHA INDUSTRIES>の黒いMA-1をチュールで覆い、質感とジェンダー感を交差させたほか、アーティストのトレヴァー・ブラウンのアートワークは無尽に配され、<UMBRO>とのコラボでは40カ所以上の切り替えにアジャスターを組み込んで着用者がシルエットを動かせる仕様を用意した。デザイナー末安が「HEAVEN」に託すのは理想郷ではなく、タブーや抑圧からの解放、社会通念へのシニカルな問いかけであり、未完成の力を抱えたまま前へ進む自由を、反骨の仕立てと並走させた。

KIDILL 2026AW COLLECTION RUNWAY

Louis Vuitton/ルイ ヴィトン

<Louis Vuitton>は「TIMELESS」と題し、ファレル・ウィリアムスが描く“未来のダンディ”が表現された。機能性と職人技を軸に、クラシックをテクノロジーでアップデートしたルックが揃った。水滴を思わせる刺繍や「LV ドロップスニーカー」、暗闇で光るモノグラムの「スピーディ P9」など、素材と仕掛けで未来感を加えている。伝統を守るだけでなく、変化を受け入れて前へ進むというメッセージを、ラグジュアリーの新しい形として発信した。

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LOUIS VUITTON 2026年秋冬メンズ・コレクション、水滴が映す“受け継がれる”テーラリング
Feb 12, 2026

LEMAIRE/ルメール

<LEMAIRE>は、演出家ナタリー・ベアスとの協業によるプレゼンテーションを発表した。ベアスの舞台作品「velvet」を手がかりにした動くタブローが展開され、衣服が演劇の時間感覚と交わる空間が広がった。メンズ・コレクションではシープスキンジャケット、トレンチコート、モヘアスーツといった西洋メンズウェアの定番を参照しつつ、シルエットはより流動的に再構築。カーフレザーのマンダリンジャケットや柔らかなスエードのスタンドカラージャケットも登場した。気象モチーフのプリントやローラン・トポールのイラストレーションをテキスタイルへ落とし込み、都市の風景に向けた新しいカモフラージュの言語を表現した。

LEMAIRE 2026AW COLLECTION

Dior Homme/ディオール オム

<Dior Homme>は、フランスのファッション・デザイナー ポール・ポワレの記憶を起点に、若い登場人物がパリを遊歩する物語を添えた。スリムで精密なテーラリングを軸にしながら、フォーマルの規範とストリートの要素を同じ装いの中で交差させている。ロングジャケットや燕尾服、クロップドの「バー」ジャケット、細身のパンツに加え、ドネガルツイード、ベルベット、ジャカード、刺繍が落ち着いた色調へ差し込まれた。新旧の要素を衝突させることで、装うことを秩序ではなく遊びとして開き、男性性と女性性の境界も軽やかに揺らした。

Walter Van Beirendonck/ウォルター ヴァン ベイレンドンク

<Walter Van Beirendonck>は「SCARE the CROW / SCARECROW」と題し、自身がこの業界で抱いてきたアウトサイダーとしての視点を出発点に据えた。アール・ブリュットやアウトサイダー・アートへの傾倒を背景に、攻撃性と優しさが同居する造形をコレクションへ落とし込んでいる。着脱できる3Dの鳥や銃、花のパーツ、花と混ざり合う“プラスチックの武装”、そして彫刻などを覆う保護シートの所作を服へ転写したカバー状のガーメントが登場。寄せ集めで人型を作る“かかし(Scarecrow)”のイメージに、矛盾を抱えたままの若さを重ね、かつてのサブカルチャーが消えた先に立つ「2026年のかかしたち」を描いた。

Walter Van Beirendonck 2026AW COLLECTION RUNWAY

Feng Chen Wang/フェン チェン ワン

<Feng Chen Wang>は「TWO FORCES, ONE MOTION」と題し、相反する力が同時に存在する状態をテーマに掲げた。中国哲学の「二つの力(Liang Yi)」を土台に、秩序と変化、理性と本能といった対立を、解決へ向かわせるのではなく、緊張を保ちながら続いていくバランスとして描いている。かっちりとしたテーラリングと解体的なパネル使い、ウールやダウン、レザーの重厚さと軽やかな素材の対比、インクの飛沫や引っかき痕のような表面加工、複数工程で仕上げたデニムがコレクションの軸となった。さらにモデルが実際のペットと並んで歩く演出によって、理性と本能、抑制と感情が同じ空間で自然に共存するというテーマを、より現実の身体感覚へと引き寄せている。

Feng Chen Wang 2026AW COLLECTION RUNWAY

CAMPERLAB/カンペールラボ

<CAMPERLAB>は、ラップランド地方の冬の記憶を軸にショーの世界観を描いた。吹雪の中で孤独へと誘う舞台設定のもと、縮みとルーズの間を揺れるシルエットで人物像を形づくっている。オーストリッチエンボスレザー、ワックスコットン、ロングパイルウール、加工デニムとプリントデニムのミックスが並び、カラーパレットはブラウンやグレーを基調にオーロラを思わせるピンクとペトロールを差した。ブーツ「TERROSO」やヒール「ESCANDALO」、3Dプリントアウトソールのスニーカー「CANICULA」、小型化したバッグ「LAUKKU」「LUNSSI」などで、吹雪に耐える装備性を足元と小物から強調している。

CAMPERLAB 2026AW COLLECTION RUNWAY

 


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