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一枚の布から生まれる創造性「FLY WITH IM MEN」 | IM MEN 2025秋冬コレクション

Jan 31, 2025
<IM MEN(アイムメン)>が、PARIS FASHION WEEK で発表した2025/26年秋冬コレクション「FLY WITH IM MEN」。ブランドとしてパリでのショーは初のこと。パリ5区に位置する16世紀初頭の歴史的建造物「Le Rétrectoire des Cordeliers」を会場に、今回はショー形式だけでなく、ブランドとして初のエキシビジョンも実施。「エキシビジョンを通じてより多くの方々にブランドの哲学やものづくりの過程を知ってもらうことを目指しました。ブランド関係者だけでなく、ファッションに興味を持つ全ての方が気軽に触れる機会を作りたかった」と語る。
本記事では、コレクションレポートと合わせて、エキシビジョンの様子をお伝えする。

一枚の布から生まれる創造性「FLY WITH IM MEN」 | IM MEN 2025秋冬コレクション

Jan 31, 2025 - FASHION
<IM MEN(アイムメン)>が、PARIS FASHION WEEK で発表した2025/26年秋冬コレクション「FLY WITH IM MEN」。ブランドとしてパリでのショーは初のこと。パリ5区に位置する16世紀初頭の歴史的建造物「Le Rétrectoire des Cordeliers」を会場に、今回はショー形式だけでなく、ブランドとして初のエキシビジョンも実施。「エキシビジョンを通じてより多くの方々にブランドの哲学やものづくりの過程を知ってもらうことを目指しました。ブランド関係者だけでなく、ファッションに興味を持つ全ての方が気軽に触れる機会を作りたかった」と語る。
本記事では、コレクションレポートと合わせて、エキシビジョンの様子をお伝えする。

ブランドの哲学である「一枚の布」をテーマに、伝統技術と最先端技術を融合したコレクションを発表した<IM MEN>。眺めるたびに千変万化し、うつろう「一枚の布」を単なる素材ではなく、創造性や可能性が宿る「大胆な余白」として捉えた。「大胆な余白」という考えは布を単なる装飾品ではなく感情やアイデアを受け止める器として機能させ、日本的な美意識と未来的な思想が重なるデザインへと昇華されている。

変化する布、命を宿すインスタレーション


インスタレーション:吉岡徳仁

会場の中心には、大きな四角いパネルを用いたインスタレーションが据えられた。この作品は、世界的に活躍するデザイナー・アーティスト吉岡徳仁氏が手掛けたもので、<IM MEN>が掲げる「一枚の布」の哲学に共鳴して生まれたもの。ショーでは、布が生命を宿したかのようにゆっくりと動き、常に変化する彫刻のような存在感を放った。

さらに、ショーではモデルの動きと連動する仕掛けが施され、布そのものが命を持つかのような演出が行われた。フィナーレでは、モデルが着用している服が広がり一枚の布となり、それを手に羽根のようにして会場を駆け抜けるシーンを展開。「Fly with IM MEN」というコンセプトのもと、枠を超えた自由な発想と、軽やかに未来を飛び越えていくブランドの精神性が体現された。

「一枚の布」の概念が生み出す新たな服

「一枚の布」によって生み出される服は、一般的な洋服のアプローチとは大きく異なる。一枚の布をどのように身体にまとわせるかが出発点となっており、そこにはデザインとエンジニアリングの両方に精通したデザインチームの存在が欠かせない。

布を衣服にする際、どこを折るのか、どこを止めるのか、どのように平面を立体にしていくのか、そんな構造を意識したアプローチが求められる。布と身体との「間」をデザインすることで、そこに空気が取り込まれ、身体の動きに合わせた美しいドレープと揺らぎが生まれる。着る人によって異なるシルエットを生み出すという点も、このブランドならではの特徴となっている。

今回のコレクションでは、<IM MEN>の哲学である「一枚の布」を軸に、軽やかさ、機能性、革新的な素材を融合させた多様なシリーズが展開された。独自のデザインアプローチと先端技術によって、新しい美学と着用体験を生み出している。

フォーカスされた5つのプロダクトと「一枚の布」に込められたストーリーを伝えたエキシビジョン


2025/26年秋冬パリ・ファッション・ウィークでのコレクション発表に合わせ、2025年1月24日(金)~1月26日(日)に特別展示「FLY WITH IM MEN」も開催。ブランド初のパリ・コレクション発表を記念し、より多くの人々にブランドの哲学を伝える場として企画された。
本展では、「一枚の布」というコンセプトに基づく5つのプロダクトに焦点を当て、伝統技術と最先端技術を融合した布地や、布の可能性を最大限に探求した衣服のディテールを紹介。


1. FLY
織物の端 「耳」 を切り落とさず、布本来の形を生かしたシリーズ。上下を反転させたり、ボタンの留め位置を調整することで、多彩なフォルムを楽しめる。軽量な「AIR」シリーズのテキスタイルを進化させ、より浮遊感のある仕上がりに。

2. HERON
東レが開発した100%植物由来の人工皮革「Ultrasuede® (ウルトラスエード®)」を使用。衣服としての製品化は世界初。優れた柔軟性を持ちつつ、ラグジュアリーな質感を実現。ミリ単位の異なるドットを用いたグラデーションデザインが特徴。

3. METALLIC ULTRA BOA
部分植物由来の人工皮革「Ultrasuede®」に、リサイクルウールを含む複合繊維のボアを貼り合わせた人工ムートンを東レと共同開発。さらに表面に箔印刷を施したシリーズ。垂直スリットとジッパーを組み合わせ、軽くねじるように閉じることで、肘周りに立体的なシルエットを形成。

4. SAKIORI
日本の伝統的な織り技法である「裂織」を踏襲し、IM MENの「FLAT」シリーズに使用される部分植物性ポリエステル布地をテープ状にバイアスカットし、タテ・ヨコ両方向に配列して織ったストール型ベスト。ランダムな織り目やフリンジが手仕事の温もりを感じさせ、各製品ごとに異なる表情をみせる。織りのラインに沿って配置されたアームホールと紐により、自由な形に調整可能。

5. KASURI
伝統技法「絣」を現代的にアレンジ。太さの異なる3種の綿糸を「注染」で染め分け、ジャカード織機で織り上げた。縫い目を最小限に抑え、裾から脇にかけて配したファスナーを閉じることで、ゆるやかなカーブを描くデザイン。ポンチョとしても着用できる2WAY仕様。

-クレジット
© ISSEY MIYAKE INC.
Runway looks/Details: Frédérique Dumoulin-Bonnet
Show images: Olivier Baco
Installation image: Thomas Adank

<IM MEN>25-26秋冬コレクションはこちら
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All Photo
  • Text & Edit : Yusuke Soejima

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