鈴木翔太
attic メンズバイヤー
宮城県仙台市を拠点に活動するセレクトショップ Attic の代表。2016年4月に仙台で同店を開業し、以降は運営とバイイングを担う。アパレル販売職を経て独立。仙台のファッションシーンの充実を目指し、「理想のクローゼット」を軸に国内外のブランドをセレクトしている。
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@attic_sendai

「FASCINATE」メンズバイヤー 森崎徹 ー daisuke tanabe
森崎さんが<daisuke tanabe>を初めて見た時の印象を教えてください。
最初にセールスの方からご紹介いただいてルックを拝見したときから、雰囲気があって素敵だなと感じていました。実際に拝見すると、トレンドの要素もしっかり盛り込まれているのですが、それ以上にブランドの色や個性、独特のムードが強く立ち上がっている印象でした。デザインは効いているのに決してうるさくない。目立つけれど静かに存在するというか……。数多くの服が並ぶ中でふと目に留まり、「あそこだけ少し違う」と思わせてくれる。いい意味でカテゴライズできない魅力があると感じました。
ブランドに惹かれたポイントを教えてください。
まず、オリジナリティがあってファッションとしてかっこいいという大前提があります。そのうえで、すべてのアイテムに確かな背景があり、どの角度から掘り下げてもきちんと語れる点に惹かれています。明確な哲学があり、何をどのような表現で、どうつくりたいのか、その姿勢がしっかりと伝わってくるブランドだと感じています。しかもそれはデザインだけではなく、素材、縫製、構成要素のすべてにおいて「こうしたい」という意志が宿っていて、その想いが作品自体の説得力につながっていると思いました。デザイナーのバックボーンも興味深く、お話を伺っていると、ものづくりへの圧倒的な“熱量”も感じられます。だからこそ、その説得力に厚みがあるのだと感じます。立ち上がりの段階から、これほど強い芯を持っているブランドには、やはり強く惹かれます。
ブランドらしさはどんな部分に表れていますか?
自分の感性と理論をうまく掛け合わせてものづくりをしているところです。感覚と理屈のバランスが非常に取れていると思います。着眼点やポイントの作り方も独創的で、一つ一つのアイテムはもちろん、コレクション全体として独自の色をしっかりと表現されている印象です。また、今のトレンドや市場をよく理解したうえで、「どこに価値を見出すか」という視点が、パッと見ではわからない細部から分かる部分まで、とても細やかに設定されていて、徹底してやりきっている点も素晴らしいです。さらに、「おっ」と思わせるようなちょっとした仕掛けも散りばめたり、あえて目立つ形にしてみたりと、デザインへの工夫も感じます。
新作アイテムについて教えてください。

pluto Calf Leather Jacket ¥346,500/daisuke tanabe 購入はこちら
「「Vintage Green」という色合いは、Season 02 “syvash”のコレクションテーマを深く映し出しています。青々とした植物を思わせる“ポジティブな緑”と、軍服を想起させる“ネガティブな緑”という、相反する二つのトーンが混ざり合い、時間の経過で風化したような複雑な色調を生み出しています。意図的に施された特殊なダメージ加工は、そのテーマを視覚的にも触覚的にも伝えるためのデザインです。素材には、イタリアの INCAS(インカス)社によるベジタブルタンニンカーフレザーを採用。しっかりとした厚みがあり、存在感のある仕上がりになっています。バイカージャケットというと無骨な印象が強いですが、ファスナーをあまり表に見せないデザインにすることで、その印象を和らげている点も、まさにこのブランドらしいと感じます」。

Coffee Black Denim Trousers ¥41,800/daisuke tanabe 購入はこちら
「生地の組成とシルエット、さらに手に取りやすい価格が魅力の一本です。経糸には硫化染めの黒糸、緯糸には茶綿を使用しているため、表面の黒がほんのり青みを帯びて見えます。「コーヒーデニム」という名前の通り、暖色と寒色が絶妙に混ざり合った、不思議な色味です。染料の特性や色彩学的なアプローチも感じられる独特の風合いで、インディゴでも真っ黒でもない、その中間のニュアンスが楽しめます。また、無機質な鉄ボタンやアルミのリベットを合わせている対比も印象的。シルエットもとにかく美しく、セーラーパンツのように腰回りから腿にかけて余計なもたつきが出ないよう設計されています。ハイウエストかつ長めの丈で、スタイリングの幅が広い点もポイント。きれいめにも、少し腰を落としてストリートライクにも着こなせます。ロールアップもアレンジしやすく、もちろん裾上げしても問題ありません。リジッドであることによる自由度の高さも魅力です。まっさらな状態から育てていくのも良いですし、最初に洗ってしまっても大丈夫。穿き込むほどに生地が柔らかくなり、少しずつさまざまな表情を見せてくれます。色の変化だけでなく、風合いの育ち方も楽しめる一本だと思います」。
森崎徹
FASCINATE メンズバイヤー
社歴10年。現在は主に国内ブランドを担当。現場で培った確かな審美眼を軸に、素材やクリエイションの背景にまで深く目を向けながら、ブランドの魅力を丁寧に伝える提案を続けている。
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@fascinatejapan
「acacia」オーナー 河村圭介 ー daisuke tanabe
河村さんが<daisuke tanabe>を初めて見た時の印象を教えてください。
今のドメスティックブランドにはない大胆かつ繊細なデザインでとても印象的でした。
ブランドに惹かれたポイントを教えてください。
素材の活かし方、そしてその素材によって生まれる生地とデザインのバランスがとても面白いからです。
ブランドらしさはどんな部分に表れていますか?
現在のトレンドに左右されることなく、自分が追求したいコレクションを貫いているところです。
新作アイテムについて教えてください。

atlas ¥396,000/daisuke tanabe 購入はこちら
「フランス原産のムートンならではの柔らかさによる極上の着心地と、青緑のような独特の色合いによるコントラストが美しい一枚です」。

Mehve (silk) ¥242,000/daisuke tanabe 購入はこちら
「モール糸を用いたシルク100%のコート。非常に軽く、滑らかな質感が特徴です。特に注目したいのは、そのデザイン。<HAIDER ACKERMANN(ハイダー アッカーマン)>を思わせる大胆なアプローチがあり、先ほど述べたように、現在のドメスティックブランドにはなかなか見られない要素だと感じます」。
河村圭介 acacia オーナー
静岡を拠点にセレクトショップ acacia(アカシア)を運営するオーナー兼バイヤー。独自の視点で国内外のブランドやアイテムをセレクトし、地域のライフスタイルに寄り添う品揃えと提案力で支持を集める。ショップ運営だけでなく、クリエイターやブランドとの対談・コラボレーション企画にも積極的に取り組んでいる。
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「lloomm」オーナー 南裕介 ー YUTASETOGAWA
南さんが<YUTASETOGAWA>を初めて見た時の印象を教えてください。
最初に目に留まったのが、ピンクのモーターサイクルコートでした。おそらく2023年春夏プレタでのファーストコレクションだったと思いますが、ややレディースライクな雰囲気を含んだラインナップで、クリーンなムードの中にウッドボタンやテーラーリングなど、トレンドに寄りすぎない“ひとクセ”が感じられました。コレクション全体の脈絡とは少し距離があるように見えつつも、「瀬戸川さんがどうしても作りたかったのだろう」と思わせるあのモーターサイクルコートには、強い存在感がありました。00年代の<YUJI YAMADA(ユウジ ヤマダ)>を思わせるような、テーラードを落とし込んだ雰囲気にもどこか懐かしさを覚え、惹かれたのを覚えています。
ブランドに惹かれたポイントを教えてください。
毎シーズン、ゼロから始めているように見えるところです(笑)。定番アイテムを軸に据えてコレクションを構築するのではなく、毎回“1から”向き合っている印象で、シーズンごとの新鮮味が強い。初めてチェックした時は、サステナブルな視点を持つ再構築的なコレクションが強い印象でしたが、その要素を持ちながらも、リメイクを今の気分で更新していたり、「次はどんなコレクションを見せてくれるのだろう」と期待させてくれる。うつろいながら進化していく瀬戸川さん自身に注目しています。
ブランドらしさはどんな部分に表れていますか?
「瀬戸川さんが今やりたいこと」が率直に表れているルックや構成など、コレクションの見せ方にも毎回試行錯誤が感じられる点です。「YUTASETOGAWAらしさ」に縛られない姿勢こそが、まさにらしさなのだと思います。作り手本人が髪型を突然真っ白のドレッドにしてきたりするなど(笑)、その変化も含めてブランドが進化しているところが魅力的です。
新作アイテムについて教えてください。

"ME" DOCTOR COAT COTTON PIQUE -Beige- ¥85,800/YUTASETOGAWA 購入はこちら
「最初のコレクションで印象的だったモーターサイクルコートを、2025年秋冬仕様に再解釈した一着だと思います。程よい打ち込みのあるドリル素材は、ワーク特有の無骨さとは異なり、柔らかさと上品さを併せ持っています。リベット打ちにも耐えうる絶妙な肉厚でありながら、仕立ての美しさも備えている。無骨なワークコートを洗練させ、<YUTASETOGAWA>らしく昇華したコートです」。

YS REMAKE COTTON KERSEY JACKET ¥96,800/YUTASETOGAWA
「<YUTASETOGAWA>のインラインにはこれまで展開のなかった、テーラードジャケット。イタリアでテーラリングを学んだ瀬戸川さんのバックグラウンドを、もっともストレートに表現しているアイテムだと感じました。加えて、装飾による“崩し”のアプローチも、瀬戸川さんらしい遊び心があって興味深いです」。
南裕介
lloomm オーナー
京都のセレクトショップ「Ha-Ha apartment」にてバイイングおよびマネージメントを経験した後、独立。2009年に大阪・中崎町で「rroomm」を立ち上げ、2018年には京都に姉妹店「lloomm」、2024年には大阪・天満に「nnuudd」をオープン。国内外のブランドを横断し、ジャンルにとらわれない視点でバイイングを行っている。
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@lloomm_kyoto_official
「HAKU」オーナー 鈴見 侑大 ー YUTASETOGAWA
鈴見さんが<YUTASETOGAWA>を初めて見た時の印象を教えてください。
単に美しいデザインにとどまらず、明確なメッセージを宿したプロダクト。素材の加工や造形から生まれる静かな美しさと、未来へ向けた強い意志が同時に存在していることに、深く惹かれました。
ブランドに惹かれたポイントを教えてください。
私が注目している最大の理由は、サステナビリティに対する真摯でモダンなアプローチです。環境問題への配慮を掲げるブランドは多い一方で、<YUTASETOGAWA>はアップサイクリング素材の使用を義務ではなく、新たな美の表現へと昇華させています。その結果、プロダクトには一切の妥協のない美しさが宿り、「we can make our beautiful world for tomorrow」というコンセプトを、言葉ではなくデザインによって体現している点に、非常に大きな可能性を感じています。
ブランドらしさはどんな部分に表れていますか?
過去と未来をつなぐデザインアプローチと、その根底にある哲学にあると感じています。具体的には、ミリタリーやワークウェアといった実用性に根差した歴史的ウェアから着想を得て、それらを現代的に再構築している点です。服に物語性を持たせながら、未来を見据えた新しい形として提示しているところに魅力があります。また、デザインは洗練されたミニマルな表情でありながら、素材の加工やシルエットには、人間の営みや記憶の断片を辿るような奥行きが感じられます。静けさの中に熱量と哲学を宿すそのバランスこそが、<YUTASETOGAWA>のらしさだと思います。
新作アイテムについて教えてください。

Crepon 4Gauze Coverall Jacket Col.SUMI ¥69,300/YUTASETOGAWA 購入はこちら
「2026年春夏シーズンからのお取り扱いとなる、このジャケットはブランドのらしさが凝縮された一着だと感じています。まず、袖を通した瞬間に驚かされるのは、優しすぎるほどの包容力。四重ガーゼを縮絨したこの素材は、従来のワークウェアの概念を軽やかに覆します。さらに、京都の職人による墨染めが、上質な生地に静謐で奥行きのある表情を宿しています。過去の機能服をルーツに持ちながら、未来に向けた理想の姿を提示する、その佇まいに、ブランドが目指す“美しい世界”へのビジョンが明確に映し出されているように思います。入荷が今からとても楽しみな一着です」。

Anchor Classic Shirt - Ed. Sun-stripe ¥42,900/YUTASETOGAWA
「<YUTA SETOGAWA>が得意とする繊細なテーラリングが存分に発揮された一着。トルコ産の長繊維コットンを用い、播州で織り上げた生地は、清涼感と上品な光沢を兼ね備え、まさに日常着の完成形といえる佇まいです。左肩に配されたループディテールは、着る人の遊び心をさりげなく表現する“ズレ”として秀逸。展示会では、瀬戸川さんのドレッドヘアに模したコードが付属しており、そのユーモアも印象的でした」。
鈴見侑大
HAKU オーナー
石川県白山市出身。大学在学中に県内のセレクトショップへ入社し、バイイングや店舗運営の経験を積む。2024年、独立しコーヒースタンド併設のショップ 「HAKU」 をオープン。「余白」をテーマに、ライフスタイルに寄り添う提案を行い、服を買う時間が日常の延長となるようなリラックスした空間づくりを追求。人と人、人と物が自然につながる“サードプレイス”としてのショップを目指している。
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@haku_ishikawa