【BEHIND THE RUNWAY】VIVIANO が贈る、ロマンチックで鮮やかな調和が魅せるプレイフルな世界 |Rakuten Fashion Week TOKYO 2024S/S
中国出身、アメリカ育ちであるViviano Sue(ヴィヴィアーノ・スー)は、2015年に自身の名前を冠したブランド<VIVIANNO SUE>を設立。 2020秋冬よりブランド名を<VIVIANO>に変更。
自然や芸術からインスピレーションを受け、クチュールドレスとプレタポルテかがシームレスに存在するコレクションを製作している。
8月28日から9月2日まで行われたRakuten Fashion Week TOKYO 2024SS。そのラストを飾ったのはチュールやフリルがふんだんにあしらわれ、ビビットなカラーパレットが鮮やかな<VIVIANO>。2024春夏コレクションでは映画「ロシュフォールの恋人たち」をインスピレーション源に、“LeBelÉté(美しい夏)”というテーマで発表された。
映画はフランス西南部、軍港町ロシュフォールを舞台に双子の姉妹がそれぞれの夢を追いかけながら、恋に落ちていく物語。リズミカルに駆け抜けていく陽気な姉妹とカラフルな街並みによって漂ようプレイフルなムードはコレクションでも表現されていた。会場はフランスの広場をイメージしたという3対のアーチ、そしてそこからランウェイになるであろうブルーのシートが伸びている。ショーが始まる静けさを合図に会場は暗点し、ゆっくりじんわりと橙色が顔を見せた会場はまるで陽が沈む夕暮れの街並のよう。そこから、一変して現れた輝きを放ったルックに誰もが釘付けにされた。
最初に登場したのはセーラーハットやマリンシャツ。映画の冒頭に出てくる海兵を連想させ、真夏の太陽の光に反射して輝く、海の煌めきのようなスパンコールは一気にその世界観へと引き込んでいく。
メイクにもさりげなくビジューの輝きが映って、一層夏の輝きが潤いを増す。
大きく四角い背中の襟には<VIVIANO>からの愛のメッセージ”L’amour”の文字が。また、シグネチャーであるたっぷりとあしらわれた柔らかなチュールはフレッシュなピンクやイエローによって爽快に彩られ、モデルが歩くたびにふわふわと揺れるその動きを楽しんだ。
チュールやフリルなどボリュームのあるルックがテンポよく登場し、気分も高揚。そんな最中に静寂な空気を纏ったそれは現れた。先程とは対照的な上品で凛としたネイビーに、大きなラペルが特徴的なテーラードルックだ。他のルックと比べてスタイリッシュに削ぎ落とされたこのルックはあまりにも新鮮で、少々驚いたが<VIVIANO> の新たな一面が拡張された瞬間に、内心ドキドキしていた。
中盤から後半にかけて注目をさらった大盤のアンスリウムの花や作中で流れる歌の歌詞が全面にプリントされたアイテムたちは大胆でストレート。鮮やかなショッキングピンクにひらひらと靡くフリル、頭から足先まで余すことなく歌詞のグラフィックに身を包んだルックは一切の迷いがなく、デザイナーの貫かれた強い意志を感じる象徴的なピースであった。
美しい夏の情景を鮮明に表現し、迷いのない華やかさを表現したコレクションの実現にはデザイナー自身の人柄とクリエイションに対するまっすぐな純粋さ、そして意志の強さが感じられる。
痛烈なまでにストレートな<VIVIANO> のクリエイションは、夏の暑さも吹き飛ばす勢いと共に恐れや不安を抱えて悩む多くの人々の背中を押してくれたに違いない。