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レベッカ・ベイが語る、Marimekkoの「長く使う」を支えるデザインの仕組み

Jul 7, 2026
「Fashion in Helsinki」の期間中、フィンランドを代表するデザインブランド<Marimekko(マリメッコ)>によるメディア向けプレゼンテーションに参加した。鮮やかなプリントやテキスタイルデザインで世界的に知られる存在だが、今回のセッションで紹介されたのは、ブランドが力を入れているサステナビリティへの取り組みだった。ファッション業界では環境配慮に関する取り組みが広がっているが、<Marimekko>の場合は素材選びから生産工程、製品設計まで、ブランド全体で取り組みが進められている。プレゼンテーションやクリエイティブディレクターのレベッカ・ベイ(Rebekka Bay)氏のインタビューを通して見えてきたのは、「日常に喜びをもたらすタイムレスなデザイン」を生み出すことこそが「長く使う」を支えているということだった。

レベッカ・ベイが語る、Marimekkoの「長く使う」を支えるデザインの仕組み

Jul 7, 2026 - FASHION
「Fashion in Helsinki」の期間中、フィンランドを代表するデザインブランド<Marimekko(マリメッコ)>によるメディア向けプレゼンテーションに参加した。鮮やかなプリントやテキスタイルデザインで世界的に知られる存在だが、今回のセッションで紹介されたのは、ブランドが力を入れているサステナビリティへの取り組みだった。ファッション業界では環境配慮に関する取り組みが広がっているが、<Marimekko>の場合は素材選びから生産工程、製品設計まで、ブランド全体で取り組みが進められている。プレゼンテーションやクリエイティブディレクターのレベッカ・ベイ(Rebekka Bay)氏のインタビューを通して見えてきたのは、「日常に喜びをもたらすタイムレスなデザイン」を生み出すことこそが「長く使う」を支えているということだった。
Profile
Marimekko
ライフスタイルブランド

1951年にフィンランドで誕生したライフスタイルブランド。大胆なプリントと鮮やかな色使いを特徴とし、ファッションからホームコレクションまで幅広く展開。ブランドを象徴する「Unikko(ウニッコ)」をはじめとする独創的なデザインと、流行に左右されないタイムレスなものづくりで、世界中の人々に愛され続けている。

素材から生産まで、ブランド全体で進む取り組み

プレゼンテーションでは、現在進行中のサステナビリティ戦略について説明が行われた。

素材面では、オーガニック素材やリサイクル素材、再生型(リジェネラティブ)素材など、環境面・社会面の双方に配慮した素材への切り替えを進めている。また新しい素材を採用する際には、生産背景や原産地に加え、社会的サステナビリティまで追跡・確認できるトレーサビリティも重視しているという。

印象的だったのは、品質と耐久性についても繰り返し言及されていたことだ。長く使える製品をつくるためには、環境負荷の低い素材と製品そのものの品質の両立が欠かせない。素材選びと製品寿命を両立させることが重要なテーマとして語られていた。

生産面では、サプライチェーン全体の透明性向上や温室効果ガス排出量の削減にも取り組んでいる。こうした説明を聞いていると、同社のサステナビリティ戦略は素材だけに留まらず、製品が作られてから使われるまでの流れ全体を対象にしていることが伝わってきた。

製品設計の段階から循環を前提にしたものづくり

今回のプレゼンテーションで特に興味深かったのが、サーキュラーエコノミー(循環型経済)への取り組みだ。

<Marimekko>では、生産工程で発生した廃棄物から再生繊維を作り、新たな製品へ活用する取り組みも進めている。また、水資源やCO₂排出量、資源使用量などについても継続的な管理と改善を進めている。

近年、多くのブランドが再生素材の活用を進めているが、<Marimekko>の場合は製品設計の段階から循環を意識していることが特徴的だった。素材の選定、生産工程の改善、再生素材の活用。それぞれの取り組みは、循環型のものづくりという考え方の中でつながっているように感じられた。

タイムレスなデザインがこそが環境負荷の削減に

<Marimekko>のサステナビリティを語る上で欠かせないのが、ブランドのデザイン哲学だ。

プレゼンテーションでは、「長く使われること」が繰り返し語られていた。数十年前に誕生したプリントが今もコレクションに登場し、多くの人に愛され続けていることは、<Marimekko>の大きな特徴の一つである。

流行の移り変わりが早いファッション業界の中で、長期間使われる製品を作り続けることは、環境負荷の削減にもつながる。今回紹介されたサステナビリティ戦略は、素材や生産だけでなく、タイムレスなデザインというブランドの強みとも結びついていた。

レベッカ・ベイ氏に聞く、Marimekkoの現在地

<Marimekko> クリエイティブディレクター レベッカ・ベイ氏

プレゼンテーション後、<Marimekko>のクリエイティブディレクターを務めるレベッカ・ベイ氏にフィンランドのファッションシーンにおけるブランドの役割やデザイン哲学、そして現代におけるプリントデザインの可能性について聞いた。

——今年の「Fashion in Helsinki」では、多くの若いデザイナーが参加していました。フィンランドを代表するブランドとして、こうした新しい才能と同じ舞台に立つことをどのように捉えていますか。

レベッカ:フィンランドの新進気鋭のデザイナーたちが、その才能によって国際的な評価を得ているのを見るのは大きな喜びです。現代のデザイナーたちは、明確なビジョンと誠実さを持っています。それは1951年に創業者アルミ・ラティアがファッションやライフスタイルに対する新しい考え方を提案した当時の<Marimekko>そのものでもありました。

——創業から現在に至るまで、ブランドの役割に変化はありますか。

レベッカ:フィンランドを代表するファッション企業として、私たちの役割も今なお同じです。お客様に新しく驚きのあるアイデアを提示し続けることだと思っています。

——今後どのようなアイデアが披露されるのか期待が高まります。

レベッカ:今は次世代を代表するフィンランド人デザイナーであるロルフ・エクロスとの新しいカプセルコレクションを非常に楽しみにしています。現代的なストリートウェア、北欧的な機能性、そして<Marimekko>のプリント表現を融合した7つのスタイルで構成されており、9月に発売予定です。

——<Marimekko>は近年シルエットやコレクション全体のモダナイズも進めていると伺いました。ブランドらしさを保ちながら新しいものを生み出す際に大切にしていることは何でしょうか。

レベッカ:<Marimekko>のデザイン哲学は常に「日常に喜びをもたらすタイムレスなデザイン」を生み出すことにあります。デザインの核にあるのは、機能性、民主性、そして実際に着て暮らすための服であることです。動き、踊り、くつろぎながら身につけられる服を目指しています。私たちは、お客様が自分らしくいられるよう力を与える服をつくりたいと考えています。そしてプリントや色彩を通して、日常に小さな喜びの火花を届けたいのです。

——<Marimekko>といえばプリントデザインのイメージがあります。SNSやデジタルプラットフォームが主流となった現在、プリントデザインの役割はどのように変化していくと考えていますか。

レベッカ:<Marimekko>のプリントは、まず一点物のアート作品として生まれます。その後、高い技術を持つアートワークスタジオがデジタルデータ化し、最終的には印刷用スクリーンへと変換します。そしてヘルシンキにある自社のテキスタイルプリント工場で印刷されます。

私にとって、デジタル上のプリントは一つの形態です。画面上で見ることと、刷りたての布地の質感を実際に感じることは異なる体験です。プリントデザインというアウトプットの本質は今も変わりません。一方でデジタルプラットフォームによって、プリントデザインはさらに民主化され、表現の場も広がり続けています。

——世界的ブランドを率いるレベッカさんは、今日のデザインにおける「フィンランドらしさ」をどのように定義していますか。

レベッカ:私にとってフィンランドらしさとは「幸福な矛盾(Happy Contradictions)」です。フィンランドは寒く暗い冬と、太陽が沈まないほど明るい夏という大きなコントラストに満ちた国です。デザインにおけるフィンランドらしさは、機能主義、民主的なデザイン価値観、そして有機的なものと建築的なものの融合として表れると思います。

——今回の「Fashion in Helsinki」では多くの若いクリエイターも紹介されました。これからファッション業界でキャリアを築こうとする人たちへメッセージをお願いします。

レベッカ:もし一つだけアドバイスをするとしたら、自分の直感を信じることです。何が自分にとって正しいのか、何に誇りを感じるのか、そして自分が世界に何をもたらしたいのかを一番よく知っているのは自分自身です。そして経験を積んでください。尊敬する人から学び、本を読み、人の話を聞き、多くを見てほしいと思います。

日常に喜びをもたらすタイムレスなデザイン

<Marimekko>のプレゼンテーションとレベッカ・ベイ氏へのインタビューを通して感じたのは、「長く使われること」を支えるのは技術や素材だけではなく、人々に愛され続ける理由を持ったデザインなのだということだった。

オーガニック素材や再生素材の活用、循環型の取り組み、サプライチェーンの透明性向上。そうした施策の背景には、「日常に喜びをもたらすタイムレスなデザイン」というブランドの哲学がある。数十年前に生まれたプリントが今も人々の暮らしのなかで使われ続けていることは、その考え方を象徴しているようにも見えた。

レベッカ氏は、服やデザインを通じて人々が自分らしくいられることの大切さを語っていた。環境面と社会面の責任を果たすこと、そして人々の暮らしに喜びをもたらすデザイン。その両方を大切にしてきたことこそが、<Marimekko>の変わらぬ強さなのかもしれない。

Marimekko
ウェブサイト:https://www.marimekko.com
インスタグラム:@marimekkojapan

  • Reporting & Interview Support : Charles Kawamoto(QUI)
  • Edit & Interview : Yukako Musha(QUI)

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