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楽天・ファッションウィーク東京 2026年秋冬コレクションガイド — 完成された像を揺らすデザイン vol.2

Apr 22, 2026
2026年3月15日(日)〜3月21日(土)、楽天・ファッションウィーク東京 2026年秋冬コレクションが開催された。今シーズンは、完成されたフォルムや価値観を前提とせず、偶然性や不完全さ、身体や時間の変化を取り込みながら、その輪郭を揺らす試みが各所で見られた。世界的ブランドから気鋭のデザイナーまで、注目のショーをvol.1からvol.2にわたってご紹介。

楽天・ファッションウィーク東京 2026年秋冬コレクションガイド — 完成された像を揺らすデザイン vol.2

Apr 22, 2026 - FASHION
2026年3月15日(日)〜3月21日(土)、楽天・ファッションウィーク東京 2026年秋冬コレクションが開催された。今シーズンは、完成されたフォルムや価値観を前提とせず、偶然性や不完全さ、身体や時間の変化を取り込みながら、その輪郭を揺らす試みが各所で見られた。世界的ブランドから気鋭のデザイナーまで、注目のショーをvol.1からvol.2にわたってご紹介。

YOHEI OHNO/ヨウヘイ オオノ

<YOHEI OHNO>が、TOKYO FASHION AWARD受賞後、2年ぶりのランウェイショーとして2026年秋冬コレクション「Ideal Palace」を発表した。フェルディナン・シュヴァルの「理想宮」の逸話を引きながら、これまで地道に蓄積してきたアイデアやテクニックを一つずつアップデートし、多種多様な人々が同じ地平で生きる空想上の世界と、デザイナー大野自身が憧れた「得体の知れない知性」を志向した。チャールズ・ジェームズのパターンメイキングの再解釈によるフォルムメイキング、ミニチュアボディの上で拾った「靴下のシェイプ」のニット、紳士用シャツを解体再構築したブラウス、型紙のアウトラインに着目したスカート、ありふれた服を転写したトップスやスカート、ニードルパンチの光沢素材、レーザーカットの葉を表現したボンディング素材、絣柄のプリント、さらに森夕香、<H.at>、<LASTFRAME>、<THREE TREASURES>らとの協業がコレクションを形づくった。こつこつ積み上げてきたことが一つの世界を形成するという創作への姿勢を、インディペンデントなブランドの生き方や心の在り方に重ねながら、商業性や話題性ではなく「未知の美しさ」へ向かう純度の高い取り組みとして着地させた。

YOHEI OHNO 2026AW COLLECTION RUNWAY

VIVIANO/ヴィヴィアーノ

<VIVIANO>が、2026年秋冬ウィメンズコレクション「Portrait of Her, Unnamed」を発表した。名前を与え、分類し、理解しようとする世界に対して、輪郭を早く定めすぎないことを選び、「自分が何者なのか」という問いがまだ言葉にならない瞬間に留まるひとりの姿を描いている。ブラウンやモノトーンのベースにピンクやブルーが差し込まれ、レザーやオーガンザなどコントラストのある素材使いが揺らぎのある佇まいを生み出し、<KIJIMA TAKAYUKI(キジマ タカユキ)>との協業で制作されたカツラのようなキャップが今季の世界観に花を添えていた。定義された誰かではなく、どこへ向かうのかも何者であるのかも定かではないまま衝動に導かれて歩き出す人物像を通じて、明確さではなく揺らぎの中に在り続けること、その可能性を閉じないまま存在することを主題としている。

VIVIANO 2026AW COLLECTION RUNWAY

FDMTL/ファンダメンタル

<FDMTL>が、2026年秋冬コレクションを発表した。平成の初めに触れた不完全なAIの記憶から書き起こしながら、創造の領域にもAIが入り込み、動画やイメージが生成されては流れ、消えていく現在において、己が何者であるかを拠り所に創作することの意味をあらためて問い直している。人の手の温もりを感じさせる刺し子やフリンジ加工など、着込むことで表情が変化していくプロダクトが展開された。人の手から生まれたコレクションを、人によって奏でられる音楽とともに届けるという宣言を通して、AIが知能を超えていくかもしれない過渡期に、人間の手仕事と創作のよりどころを明確に置いた。

FDMTL 2026AW COLLECTION RUNWAY

kotohayokozawa/コトハヨコザワ

<kotohayokozawa>が、西新宿での暮らしを背景にした2026年秋冬コレクション「IN THIS TEMPORARY CITY」を発表した。海外からの旅行者で賑わうコンビニ、LUUPのポート、東京マラソンのスタート会場になる街の光景など、普段はそれぞれの場所で別々の生活を送る人々が一瞬だけ集まる都市の姿をベースに、この街ではどんな自分でもいられるという感覚をショー全体に通わせている。本ショーでは2026年秋冬コレクションを軸に、すでに店頭に並ぶ2026年春夏アイテムやここ数シーズンのアーカイブピースも登場し、<todo kotohayokozawa>の残布を使用したオリジナルペーパーや、その紙を貼り合わせた厚紙とヘアゴムを組み合わせたブランドタグなど、日々のものづくりのプロセスを感じさせる要素も取り入れられた。前回のショーから4年を経て、これまでのコレクションをひとつの景色として見せながら、どこにいても異国の旅先にいるような気持ちと、暮らしの中に小さなときめきが溢れることへの願いが重ねられた。

kotohayokozawa 2026AW COLLECTION RUNWAY

MATSUFUJI/マツフジ

<MATSUFUJI>が、アキ・カウリスマキの「労働者三部作」に着想を得た2026年秋冬コレクション「DIGNITY」を発表した。社会の周縁に生きる人々の静かな日常、無言の時間、単調な労働、ささやかな希望を参照しながら、効率や消費のシステムに翻弄される中でも手放されない誇りや希望を、衣服を通して見つめた。ワークウェアの構造にテーラリングの精度を重ね、背面にアクションプリーツを配したジャケット、コットンの裏地や毛芯など天然素材を使った内部構造、ヌバック加工のレザーワークジャケット、外側に毛羽立つ素材と内側にエレガントなテキスタイルを配したジャンプスーツ、堅牢なウールやコットンにシルクやカシミア混を合わせた素材、ブラック、ネイビー、ベージュにホワイトを差し込んだ色構成など、対比する要素を重ねたルックが展開された。見過ごされがちな日常のなかにある人間の尊厳へ視線を向け、社会を支える存在の服装をコレクションの中で扱いながら、静かな強さと社会への問いを衣服に託している。

MATSUFUJI 2026AW COLLECTION RUNWAY

RYUNOSUKEOKAZAKI/リュウノスケオカザキ

<RYUNOSUKEOKAZAKAZI>が、4年ぶりのショーでコレクション〈005〉「Talk About the Habit」を発表した。〈000〉から続く「祈り」の探究を、時間を超えたものから今と個人へと降ろし、「私が祈る」のではなく「私に祈りが留まる」という感覚を、「着ること」を通じて個々人の内側へ浸透させていく可能性として思索した。ベロアやストレッチ素材による彫刻的なドレス、過去のコレクションの自己反芻ともとれる「ノーム」なドレス、ドレスのファブリックやデニムの織り目をよれや歪みを残したまま拡大複写した画像をプリントしたセカンドスキンのようなタイツ、存在しないポケットに手を差し込む所作、辻一徹とのアクセサリー、リアルとフェイクが混淆するレザーやファーなど、「なぞる」行為を起点としたルックが展開された。自然や人間社会を「なぞる」衣服の歴史を踏まえながら、真正と模倣、習慣や身についた癖、常識の揺らぎに切り込み、手を介して素材と対話しながら形を見出すことを、精神を汚染するものへの控えめな拒絶として貫いている。

RYUNOSUKEOKAZAKI 005 COLLECTION

ALAINPAUL/アランポール

<ALAINPAUL>が、2026年秋冬コレクション「RÉPERTOIRE」のランウェイショーを開催した。パリで発表した内容に6ルックを加え、18世紀の衣服構造と現代の身体感覚を重ねながら、「服を身体のまわりに振り付ける」というブランドの考え方を東京という場であらためて検証する内容となった。シルクオーガンザで全体を覆うルック、柔らかな素材で横に広がるボリュームをつくるパニエ構造、前後から引き合う力をもたせたコートやジャケット、圧縮やプリーツ加工の痕跡を残したサテン、ボウやリボン、金属要素を編み込んだニットジュエリー、18世紀のタペストリーをもとにした3Dプリント、シアリングジャケット、コルセットの原型を再解釈したニットなど、身体との関係性を問い直すルックが展開された。身体を固定する衣服と身体を動かす衣服の対比を現代へ引き寄せ、異なる身体や環境の中で服の設計がどう機能するかを具体的に示しながら、クラフトと感情、テーラリングと動き、アイデンティティと自由のあいだに橋をかけるメゾンとしての姿勢を明確にした。

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ALAINPAUL 2026年秋冬コレクション──東京で検証された“レパートリー”
Apr 15, 2026

ALAINPAUL 2026AW TOKYO COLLECTION RUNWAY

mukcyen/ムッシャン

<mukcyen>が、2026年秋冬コレクション「在; formed」を発表した。マリー・アントワネットの生涯とカフカ『変身』を下敷きに、人間の存在意義は役割によってしか肯定されないのかという問いを掲げ、現代における実存と不条理をランウェイの土台に置いた。スタンドカラーのジャンプスーツや、肩や袖にジッパーを配して形状を変化させる構造、非対称の開閉によるシルエットの操作、ドローストリングによるボリューム調整、金属パーツを用いたヘッドピースやハーネス状のディテール、シアー素材やカップロ素材を重ねたレイヤードなど、構造や素材によって身体と衣服の関係を問い直すルックが展開された。衣服を日常的な用途から切り離し、消費の対象ではなく、一度立ち止まり、耳を傾け、思考を凝らす心構えを必要とする聖なる価値あるものとして捉え直し、与えられた役割が剥がれ落ちたときに遺る純粋な欲望と尊厳を主題に据えた。

mukcyen 2026AW COLLECTION RUNWAY

 



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